北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

当世歯科医事情

2009-08-13 23:37:50 | Weblog
 道内の地方都市にいる高校時代の友人達と一杯飲んできました。それぞれの立場で仕事をしながら地域や社会に貢献している世代です。やはり違う世界にいる人たちの話を聞くのは面白いものです。

 その町で人気に高い歯科医として開業しているA君の話。
「最近は歯科医も増える一方で、歯の衛生教育が行き届いてきた。だから患者も少なくなってきて本当に経営が苦しい歯科医が出ている。調べてみると、経営がうまくいって伸びているのは全体の15%で、残りの85%はトントンかそれ以下だそうだ」
「そうは言うけど普通のサラリーマン並みの収入はあるだろう?」

「全然! 歯科医の2割はワーキングプアで年収300万円以下なんだよ。年収だよ!」
「本当かそれ?」

「本当だよ。更に言えば全体の5%は赤字で、貯金を取り崩して生活しているともいうんだ。そういうのは技術が古いお年寄りの歯医者さんに多いみたいだけど」
「歯科医も増えて受難の時というわけか~。確かに虫歯って減っているんだろうな」

「俺も歯科医になってすぐの頃は、夏休みと言えば子供たちがわんさか虫歯の治療に来るというのが定番だったけれど、最近は全くそう言うことがないね。学校の歯科検診に行っても、虫歯のある子の方が少ないんだよ」
「へえ、時代は変わったなあ」

「虫歯って明らかに現代病で、昭和40年代までは砂糖の消費量が増えるに連れて虫歯が増えていったんだ。しかし日本ではそのあたりから歯科衛生教育が浸透してきて、砂糖の消費量の伸びに対して虫歯が増えない国になった。だから俺たちが子供の頃はまだ当たり前に虫歯の子供っていたんだ。でも本当に診れば分かるけれど、最近は親の年収や子供の成績が高ければ虫歯はないね」
「そんなに違うものかね」

「これは現場で分かる現実だよ。レベルの高い高校だと本当に虫歯は少ないし、その逆も真。高校になるともう学業で選別されているから全体として傾向が出てしまう。その前の小、中学校でも、見るからに身なりもちゃんとして賢そうな子は虫歯が少ないし、虫歯の多い子というのは服装がだらしなかったり態度がきちんとしていない子なんだよ。これは診れば親も虫歯が多いことがよくあるんだ」

    ※    ※    ※    ※

 結局、歯の健康とは何かという関心が高ければ虫歯にならないような行動も取れるのに、そういうことに無関心であれば虫歯一つ防げないということなのでしょう。

 生活態度の規律は口の中にも現れてしまうのだそうです。それにしても、歯科医の2割がワーキングプアだというのは衝撃です。

 A君のところではネットでの広告宣伝はしていなくて、それは口コミで質の高い患者さんが十分に来てくれているからだそう。

 彼自身は年に何度も最先端治療の研修を受けに行くなどして、地域に最新の治療技術を持ち込むことに熱心です。人気歯科医でいるための陰なる努力も欠かしません。プロにしか見えない現実がここにもありました。 

 
コメント
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