今日の夜は、ローカルデザイン研究会という会合で、映像作家三上正(みかみ・ゆうせい)さんのお話を聞きました。タイトルは「美しい日本の風景」とされています。


三上さんは現在73歳ながら現役のカメラマンで、今でも依頼半分、ボランティア半分に映像政策に携わられています。
そんな三上さんはカメラマン、映像作家として約50年にわたって映像に関わる活躍をされてきました。そのジャンルはCF(コマーシャルフィルム)、映画の予告編、NHKを始めテレビ、映画の制作と幅が広く、最近は日本の子守歌を集めたDVDも作られたとか。
代表的なCFは、「腕白でもいい、たくましく育って欲しい」でお馴染みの丸大ハム、オーソン・ウェルズを使ったサントリーウィスキー、チャールズ・ブロンソンのマンダム、「ぴかぴかの一年生」の小学館など、私の世代なら懐かしいコマーシャルが数多く登場しました。



三上さんはこの50年間映像をとり続けてきて、特に最近女性ディレクターと日本を北から南まで7000km走って子守歌を集めて回ったときに、「日本から風景が消えたなあ」と感じたそうです。そして同時に「日本から生活が消えた」とも。
ある海沿いの町へ行った際に、その町で魚でも食べようかと思ったら全くそんな店がない。町の方に「どこか食堂やお店はないのか」と訊いたところ、「この町には山の上に一軒だけ店がある」と言うので行ってみたところ、大きな百円ショップだったとか。
その町は隣に大きな企業があって、そこから補助金をもらえばよいというような町に成り下がってしまったのだとか。我々の社会から健全な営みが消えかけています。
※ ※ ※ ※
三上さんが映像の仕事で、福井県に行ったときのこと。学生の頃行って好きだった風景の東尋坊へ行ってみようということになり、行ってみたところそこにはみやげ屋と駐車場が広がっていてがっかりしたとのこと。
それに対して、岩手県へ行ったところそこでは景勝の地に駐車場を作っていたのですが、眺望のポイントとなるところからは300m程離れたところに駐車場が作られていたのだそう。観光客からは「え~、そんなに歩くの?」という声も聞かれたそうですが、そういう配慮が大切で、三上さんは「岩手県が好きになりましたよ」と言っておられました。
※ ※ ※ ※
質問で「三上さんは、フィルムとデジタル映像のどちらがお好きですか、またこだわりがありますか」と質問をしてみました。すると、「最初はフィルムにこだわりがあったのですが、NHKからデジタルビデオでやってみてくれ、と依頼を受けてやってみたところ、デジタルにはまりました。もうデジタルなしではやれないでしょう」と明確に割り切られていました。
「コンピューターグラフィックスも技術が進歩して値段が下がり、映画一つ作るにも簡単に使えるようになりましたね。日本から風景が消えた分は、CGで作れるようにもなりました。『Always 三丁目の夕日』などは子供の時の風景とだぶって、良い映画です。あの映画は基本はフィルムですから、ああいう使い方は良くできていますよね」とCGにも割と好意的です。
「しかし映画が、スポンサーを集めるのが先立ってしまって、それが集まればもう後はできるだけ、という風になると質が下がるのではないでしょうか。昔は、親の遺産で映画を作って、それが当たれば財産が増えてそれでまた映画が作れる、というやり方でしたからねえ」
昔懐かしいコマーシャル映像とノスタルジーに、ちょっと感傷的な一時でした。


三上さんは現在73歳ながら現役のカメラマンで、今でも依頼半分、ボランティア半分に映像政策に携わられています。
そんな三上さんはカメラマン、映像作家として約50年にわたって映像に関わる活躍をされてきました。そのジャンルはCF(コマーシャルフィルム)、映画の予告編、NHKを始めテレビ、映画の制作と幅が広く、最近は日本の子守歌を集めたDVDも作られたとか。
代表的なCFは、「腕白でもいい、たくましく育って欲しい」でお馴染みの丸大ハム、オーソン・ウェルズを使ったサントリーウィスキー、チャールズ・ブロンソンのマンダム、「ぴかぴかの一年生」の小学館など、私の世代なら懐かしいコマーシャルが数多く登場しました。



三上さんはこの50年間映像をとり続けてきて、特に最近女性ディレクターと日本を北から南まで7000km走って子守歌を集めて回ったときに、「日本から風景が消えたなあ」と感じたそうです。そして同時に「日本から生活が消えた」とも。
ある海沿いの町へ行った際に、その町で魚でも食べようかと思ったら全くそんな店がない。町の方に「どこか食堂やお店はないのか」と訊いたところ、「この町には山の上に一軒だけ店がある」と言うので行ってみたところ、大きな百円ショップだったとか。
その町は隣に大きな企業があって、そこから補助金をもらえばよいというような町に成り下がってしまったのだとか。我々の社会から健全な営みが消えかけています。
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三上さんが映像の仕事で、福井県に行ったときのこと。学生の頃行って好きだった風景の東尋坊へ行ってみようということになり、行ってみたところそこにはみやげ屋と駐車場が広がっていてがっかりしたとのこと。
それに対して、岩手県へ行ったところそこでは景勝の地に駐車場を作っていたのですが、眺望のポイントとなるところからは300m程離れたところに駐車場が作られていたのだそう。観光客からは「え~、そんなに歩くの?」という声も聞かれたそうですが、そういう配慮が大切で、三上さんは「岩手県が好きになりましたよ」と言っておられました。
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質問で「三上さんは、フィルムとデジタル映像のどちらがお好きですか、またこだわりがありますか」と質問をしてみました。すると、「最初はフィルムにこだわりがあったのですが、NHKからデジタルビデオでやってみてくれ、と依頼を受けてやってみたところ、デジタルにはまりました。もうデジタルなしではやれないでしょう」と明確に割り切られていました。
「コンピューターグラフィックスも技術が進歩して値段が下がり、映画一つ作るにも簡単に使えるようになりましたね。日本から風景が消えた分は、CGで作れるようにもなりました。『Always 三丁目の夕日』などは子供の時の風景とだぶって、良い映画です。あの映画は基本はフィルムですから、ああいう使い方は良くできていますよね」とCGにも割と好意的です。
「しかし映画が、スポンサーを集めるのが先立ってしまって、それが集まればもう後はできるだけ、という風になると質が下がるのではないでしょうか。昔は、親の遺産で映画を作って、それが当たれば財産が増えてそれでまた映画が作れる、というやり方でしたからねえ」
昔懐かしいコマーシャル映像とノスタルジーに、ちょっと感傷的な一時でした。
