駒子の備忘録

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宙海11大劇場千秋楽雑感~カウントダウン澄輝日記

2019年06月03日 | 澄輝日記
 初日雑感はこちら、中入り雑感はこちら

 最後の遠征(イエまたお稽古待ちも行くんですけれど)は金曜から3泊で、25日11時、26日15時(前楽)、27日13時(千秋楽)を無事に観劇できました。
 仲良しのお友達たちが集まり始めていた日曜の朝ご飯だったかな、「ところでなんでテスってダニーとヨリ戻すんですかね」みたいな話になって、さすがだな我が友よ…!とか思いました。
 贔屓の退団公演ですから、みんなそれぞれできる範囲でそれなりにたくさん通っていて楽しく観ていて、それはお取り次ぎ含め本当にありがたいんですけれど、それはそれとして作品そのものにはやっぱりモニョるよな、という、こういう感覚を同じにしつつ贔屓に同じテンションでわいきゃいできるお友達が持てたことが本当に奇跡的だし宝物だとしみじみ思うのです。
 で、テスですが、そもそも何に怒ってるんだっけ?みたいな。夫が犯罪者だったこと? というかそれを夫自身から知らされていなかったこと? 確かに夫婦なのにこんな重大な隠し事って、冗談じゃないって気持ちになるのはわかります。で、もう知ったんだし、隠し事はなくなったんだからまあいいか、ってこと? だってダニーは刑期を終えて出てきたけれど、だからその時点では罪を贖ってもう犯罪者ではなくなったんですけれど、でもまた犯罪を犯して犯罪者になったんですもんね? 告発されていないけど、逮捕されていないけど、金庫破りって立派な犯罪ですもんね? お話としてはより悪いことをしている者を懲らしめるためだし愛のためだったからまあいいか、ってことにしているけど、結局テスは犯罪者のままで変わらないダニーを容認し受け入れた、黙認したということで、犯罪の片棒担ぐも同然、ってオチですよね? 死なば諸共、それでもいいのよ愛があるんだから…というのはもちろん恋愛至上主義の宝塚歌劇としてアリなのかもしれない、というかアリだから話として成立しているんだろうしここまで再演されてきたんだろうけれど、でもそんな愛しかないの? もっといい愛はないの? そんな愛なら要らないよって選択肢はないの? と、時代が進むにつれて言いたくなってきている私たちがいるわけで、そこがやはりモニョるワケだし、このままやるなら次の上演はマジでもうないな、って演目だなと思います。別に犯罪を推奨しているわけではない、ってことはわかっていますし、大人の娯楽、エンタメ、虚構だってのもわかってます。でも、たとえば不倫の関わる恋愛ものを公序良俗に反する、という見方で糾弾するのはナンセンスだ、というのとこれとはちょっとレベルが違う問題だと思います。
 というかテーマは「愛こそすべて」でいいんだけれど、こんな愛で満足していないでもっといいもの目指そうよかりにも宝塚歌劇なんだからさ、という、より高みを目指す要求をしていきたいのだ、という話です。恋愛ものだってもちろん不倫なんざ出さなくてももっとおもしろくて感動的なものが描けるならその方がいいに決まっているし、だからこそ柴田ロマンは古くなりつつあるわけじゃないですか幸か不幸か。
 ま、今回の場合は、このあとゆりかダニーは詐欺師から足洗ってちゃんと額に汗して植林するとかまっとうな仕事に就く可能性も感じなくもなくもない、というのが救いかな…
 まどかテスも、せっかくやっと歌えるテスで歌手を目指しているのが納得の歌唱力の持ち主なんだから、もっとディーバっぽく見せてもいいと思うんですよ。なのにあんなフリフリのキャベツドレスを着せられて、これじゃ才能もないのにやみくもに歌手になりたがって金持ちのカレシをスポンサーにしてちゃっかりデビューしようとしている環境運動家気取りのただのおバカの可愛子ちゃん、に見えかねないんですよ。でもそれじゃダメでしょ? もしかしたらイケコはテスはそういうキャラクターだと捉えているかもしれないですけど、そうじゃないんですよそうあるべきじゃないんですよ。
 テスはキャリアウーマンなはずなんです、自分の力量でビジネスとムーブメントを起こそうとしている立派な大人の女性なんです。だから緑のスーツのときの、フレアースカートはデザインだとしても黒ストッキングをやめてくれダサいんだよあんなビジネスウーマンはアメリカにはいないよ(イヤ知らんけど。でもダサいのは本当でしょ?)。全体に、おじさんが考える若い女の子の格好、をさせられているテスがホント嫌。まどかは本質的にはロリータタイプじゃ全然ないってのがなんでわからないんでしょうね?
 あと、キキちゃんラスティーって地下へ何しに行くの?ってのもこのとき出た疑問で、確かによく考えたことなかったけど、あのシーン、何? 地下深くには金庫があることをそれ以前にスリージュエルズが歌っていたけれど、金庫破りはダニーたちがしてるんだからラスティーが行く必要ないよね? ホテルから脱出しようとしているってこと? ならあのまま救急車に乗ればよくない? このあとエデンのプロモーション・ショーに紛れるので、ステージが地下にあるってことなの? よくわからない…なんとなく泥棒っぽそうってだけなのかもしれないけれど…
 ラストでラスティーは山分けした分をリカルドにやった、と言うんだけれど、それでリカルドがベネディクトに借金を返すならベネディクトのお金がぐるっと戻っただけだよね…というか、リカルドが豆の相場で失敗したのは彼の責任であって、借金はちゃんと返すべきものだし返せないなら抵当に入れたものを取り上げられるのは当然なのであって、エル・チョクロの件がヘンな美談みたいになっていることにも私はかなりモニョります。暴利な借金契約だったとか今も譲渡を迫るのに高圧的すぎるとかもちろん問題はあるんだろうけれど、それこそベネディクトのことだから違法スレスレのところでやっているんだろうし、だとしたら冷たいようだけれどリカルドの自己責任では?と思ってしまうわけです。観客はみんな現実の世界では自己責任でがんばって働いてるのに、たまに夢を見に宝塚歌劇に来て、ちょっと無責任な登場人物たちが脳天気に調子よくやってるのを見せられたんじゃ、「なんじゃそら」って気にちょっとなっちゃうじゃないですか。そう感じさせないよう、演出家には丁寧に作品を紡いでいただきたいのです。なのにこのザルさ、私は本当に気に障るのでした。
 演技としても深くなるとか変化するといったタイプの作品ではないので、回数を観るとさすがに飽きる、というのも問題だったかな。ただ「カードこそ我が人生」の歌、というかそのナンバーの中での表情や仕草、ダンスはどんどん濃くなっていく変化が味わえたので、それは楽しくはありました。
 というわけでブーブー言いつつもありがたくも千秋楽は無事に拝見させていただき、そしてそれは本当に温かい時間、空間で、それは体験できて本当に嬉しかったし楽しかったのでした。

 私が観ている中では土曜11時の回で初めて、プロローグの「FATE CITY」でのあきりく再登場に拍手が入って(総見だったキキ会が入れてくれたとも聞きました、ありがとうございます)、本当に嬉しくて千秋楽ではオペラ我慢して自分でも入れようと思っていたんですけれど、まずその前に千秋楽では、ゆりかちゃんをひとり残して全員一度ハケる際に最後にあきりくが引っ込むとき、もう拍手が入りました。あれは残ったゆりかちゃんへの拍手でももちろんあったかもしれないけれど、確かにあきりくへのものでもありました。そしてキキちゃんが加わって拍手、あきりくが再び出てきて拍手。もうその温かさに泣けました。あとやっとここのまっぷーが発見できた(笑)。
 観光客バイトはアフロが白かったり旗が白かったりしたらどうしよう、と思っていましたがいつもどおりでした。
 エデンの記者発表場面で、さよちゃん記者の歌に乗ってせーこダイアナがポーズするところで拍手。そういやここ入れられるよね、最初からずっと入れててもいいくらいだったよね、と気づかされました。せーこに関しては最後の引っ込みへの拍手がいかにも、だったんだけれど、たとえばイレブンメンバーは(ソロがないルーベンやソールは別にして)出てきただけで拍手もらってるんだし、ダイアナももらって当然のキャラクターだしスターさんだよね、と思いました。それで言うとエル・チョクロのガールズのステージはららたんポーラのために拍手してみたかったけど、それはさすがに控えました(^^;)。でもホントはここに心ちゃんかさりちゃんがいるんだよね、してあげられなくてごめんね…
 パラディソのステージ・リハ場面でもせーこに拍手。プンスカして去るダイアナへのかなこハロルドのフォローは「蛇も白くするから!」でした。かなこのアドリブは毎回気が利いていましたよね、スカーフも色や結び方が毎回違っていて。ここも白にはしてきませんでしたが。
 そしてベネディクトのオフィスでの恒例アドリブは「テスへの思いの丈を訴えていたんだ!」だったかな? ここはもあちゃんにはナイショで、でも他のみんなはある程度打ち合わせていたんでしょうか。山手線ゲームみたいな、手拍子挟んでテンポよく一言ずつ言っていくアレで、「可愛い」「スタイル抜群」「クールビューティー」「男前」「女前」「女神さま」「お洒落」と来て、テスがそのまま参加して今までのリズム崩して「いつも本当に優しくてお姉さんみたいに思ってる、もはや家族!」みたいなこと言って、最後に「ボスは?」と振られてずんちゃんベネディクトが「心から、ありがとう」と締めて、場内大喝采! テスもさすがに泣き笑いで「仕事に戻りましょう」と書類を拾っていました。やるなあみんな!!
 パラディソの金庫にダイアナが乱入してくるくだりでは、せーこがいつものピンクのエコバッグではなく赤と黒の公演バッグ持ってて目立つ目立つ(笑)。300万せしめてバッグ見せびらかして退場、これまた拍手喝采でした。
 ラスト・ジャンプはさすがにきゅんとなりましたね。フランクさんの袖まくり、踊っている間に下りちゃってましたけどね(笑)。レストランでスリージュエルズに渡すバシャーの薔薇も赤いままで白にはならず、でもここの「♪生きてるうちに…」のアタマにも拍手が入りました。テスとベネディクトのディナーを邪魔したあとのダニーがフランクとゲームしていくところ、初日の舞台稽古と初日に出たというブラックジャックがまたもやここでも出たようですね。さすがですよね持ってますよね! マジでふたりとも驚いてやたら長く見つめ合っていましたよね、これまたきゅんときました。
 そして1幕ラストのイレブン揃っての後ろ姿のピラミッド、本当にフランクさんのスタイルが異常…!(笑)
 2幕のソールの演技指導、台詞は「お客様、当ホテルのご利用まことにありがとうございました。またのご利用をお待ちしております」だったかな、比較的短め。でもウィンクと投げキス付きで客席から歓声! みんなもほっとした表情でまずまずこなし、ウィンクも投げキスもきちんとキメていましたが、そこでソールが「フランクとバシャー、できてなかったからやり直し」と粋なダメ出し! あきりくがふたりしておたおた前に出て、再度一緒に始めようとするも息が揃わず、というかそもそもふたりともすでにしてやや台詞が怪しかったんだろうけど、あっきーフランクだけが「お客様、当ホテルの…」と始める形になっちゃって、「えっ、ひとり!?」と素で動揺して中断するあっきーと、「わりぃ」とあくまでバシャーとして謝ってみせるりく、ってのがもう最高でした。で、今度はふたりして揃って始めて、シメにはちゃんとウィンクと投げキスつけて、場内大歓声! ソールは「6月からまた忙しくなるぞー」とか言って締めていたと思いますが、ウケすぎて記憶があいまいですすみません。ホントありがたい、温かい…!!
 ジョルジュに変装したバシャーの薔薇が赤から白に変わっていたらどうしよう、と思いましたがここもママで、ハロルドの迫り方はひゅっと懐に入り込んで「好きです」と告白するパターン。りく一瞬受け入れそうになってましたよね(笑)、東京大楽までには押し倒せハロルド!
 プロモーション・イベントのリハのせーこにも拍手。ジョンソン先生はシンプルに老医師バージョンで、でも同意書の代わりに「千秋楽」と大書きされた紙を取り出し、ハケ際にはスマホで「6月14日、日比谷ね」と診療予約も受け付けて(救命救急医じゃないのか!?笑)去って行きました。やたら長くなるばかりだったみっちゃんと違ってキキちゃんはホント毎回キレのあるアドリブで、楽しかったです。白衣を脱いでラスティーに戻るところを見せるようになったのも、良い変更だと思いました。
 あとは一気に大団円へ。せーこダイアナの去り際への拍手はいっそう熱く、フィナーレの初舞台生ロケットへのねぎらいの拍手も熱かったです。翌日からはもうそれぞれの組子だもんね、怪我せずがんばって羽ばたいていくのだよ…!
 ゆりかちゃんを囲む娘役群舞では、もあちゃんが白、心ちゃんがピンク、かさりちゃんがシルバーみたいに見えるコサージュだったでしょうか。というかこの群舞ホント好きだったなー、後半みんな地毛になって、ごくシンプルなポニーテールとかさらりと全下ろしとか、お手入れ大変だろうにみんな本当に素敵でした。エビちゃん以下しかいなかったのは残念でしたが。
 そしてずっと見ていたいのに男役たちがざかざか大階段下りてきちゃうのでラストのキメがいつも見られていないのですが、それより何よりここのあっきーのブートニアがまさかの赤い薔薇で! りくの方がすっきり白いお花で! 意外なような、そういうとこホントあるよねアンタ!って感じで(何様)、もう食い入るように見つめてしまいました。
 ホントSHUN先生ありがとう案件の粋でカッコいい振りで、いい感じにチョーシ乗ってイキってて、両脚開いて沈み込むところが誰より低くて、ホント身体柔らかくていいダンサーだよなとしみじみしました。首が柔らかいのでのけぞるとかろとか顎の裏が綺麗に見えるのが好き。
 ゆりかちゃんが抜けてキキちゃんセンターになってからのまず下手のあっきーメイン、そして上手のりくメインのピックアップではともに熱い拍手! もちろんそのブロックの下級生たちはみんな嬉しかったことでしょう。風輝くん見られてなくてホントすまん…!
 デュエダンのまどかは綺麗にアップにしていたりテスふうに下ろしていたりとなんパターンかのヘアスタイルがあったようですが、私はスッキリまとめていたものがわりと好きでした。下ろしてなくてもイメージがテスってのはちゃんとわかりましたしね。だから東京ではこのドレス、せめてスリット入れて脚見せませんかね。ダニテスにしてはセクシーさが足りなくてもったいないんですよ…蘭テスみたいなミニドレスじゃなくてもいいからせめて、さ…
 そしてパレード。なんとせーこあきりくともに白のお花でしたね。あっきーはカラーかな? もあちゃんは赤、心ちゃんがまたピンクっぽくて、かさりちゃんは黄色とオレンジみたいな明るい色のお花に見えました。これまた風輝くんが見られてなくてすみませんが、みんなそれぞれ素敵でした。

 そして緞帳前で、すっしぃさんによる退団者の経歴紹介とメッセージ代読。あっきーの好きだった役は今年のおとめと同じで、サルヴァトーレ・フェリネッド・バントラインNW!のすべて、ルドルフロドリーゴ・グラナドスリフでした。
 男役っぽく横抱きの花を持つところも見てみたかったのですが、緞帳が上がったらエビちゃんが青い薔薇が水色へ白へとグラデになるブーケを持っていて、そう来ましたかホント青好きだね、と微笑ましくなりました。もう片割れはあられが持っていて、どういうこと?と思っていましたが、キキちゃんが同期へのお花渡しに立ち会う間の係だったんですね。なのであっきーは組からのお花は2番手スターのキキちゃんからもらう形になったのでした。まどかからもらえばエビちゃんと両手に花になるな、とかこれまた勝手に考えていたのですが、トップ娘役はこういうときに役目をもらわないことも多く、どうかなと思っていたところ、まどかはちゃんと同期へだけでなく組からのお花としてもあちゃんに渡す役を負っていました。本当に懐いていたようだし、よかったねと思いました。組からのお花は順にまっぷー、りんきら、きゃのん、あおいちゃん。上級生で、いいですね。
 すっしぃさんに呼ばれて応える「はい」という声の明るさ温かさが、私が本当に大好きな声でした。ご挨拶は、提携文の範疇ではあったと思うけれど、すっきりと、またきちんとしていましたし、個人的に「携わる」という言葉をこういうときにこういうふうに使うのが嫌いなので、その言い回しでなかったことが嬉しかったです。
 「男役が好き」という言葉には改めてハッとさせられました。もしかしたら『天河』のときに当初あんなにも女役を嫌がっていたのは、もうこのときには卒業時期を決めていて、あと数えるほどしか男役ができないのにその貴重な一回が奪われるなんて、ということだったのかもしれない、とやっと思い至りました。
 そう、前楽当たりでふいに思ったんですよね。フィナーレとかホント、イケイケでノリノリでキレッキレでそれはそれは楽しそうで、本当に舞台で化ける人で、でも入り出とかお茶会とかではゆるほわでまったく役を引きずらなくて、そっちが素なんだろうと思いつつも、こんなにも楽しそうにやっているこの化けるお仕事をこの先しなくなってこの人大丈夫なのかしらん…と、急に心配になったのです。男役って現役だけのものだし、卒業後も不本意な芸能活動を無理にしてもらいたくはないと思ってはいたのですが、でもじゃあこういう場を失って、今までここで燃えていたこの人のエネルギーはどこに行くの? 大丈夫? と改めて心配になってしまって。つまり最後の最後まで(イヤまだ東京公演があるんですけれど)私は贔屓を見損なっていてまだまだ発見があって、ああまだまだいろいろ舞台でやらせてあげたいと私は思っているくらいなのに、でも当人はそのはるか以前にある程度納得して満足して卒業を決めたのだろうから、ちゃんと先を行っていてだからこんな心配なんか要らないんだろうけれど、ああでもなんかその悩んだり決心したりの過程に付き添えなくて本当にごめん、親身につきあえず、全然予感してもあげられずわかってあげられず、ただただ脳天気に好き好き楽しいとだけで周りをうるさく飛び回っててごめん…とか思っちゃいました。
 楽しいばかりではなく、悩んだことやつらかったこと、悔しい思いをしたこともあった…というのは、言うかな、となんとなく思っていました。不器用だし頑固だし、だから全然順風満帆なんかじゃなかったと思うし、でもそういう中で、でも好きだから、こうやりたいという想いがあるから、がんばってがんばって努力し続けてきたんだろうし、たとえば先に卒業した同期なんかもみんなそういう姿勢をずっと見守っていてくれていてわかってくれていて、インスタなりブログなりですごくそういうことを言及してくれていて、ファンには言わないタイプだったけれどそれでも漏れて見えるものだしファンはみんなわかっててそして黙っててただ見守ってきていて、それで最後だから言えるし受け止められる、というのもあるな、と思ったのでした。感謝してくれたのは、そういう温かさもあったんだろうな、やっぱりちゃんと伝わっていたんだろうな、と思いました。
 あと、こういうときに生徒さんが観客とファンを分けて言及してくれるのも個人的にすごく好きで、それを踏襲してくれたのもすごく嬉しかったです。
 芸名の存在を生徒本人とファン、そして観客がともに作り上げていく、というようなことを最近よく考えていたので、そんなようなことが盛り込まれていたことにも感動しました。たとえ本人でも生徒ひとりだけではその芸名のスターはできあがらないんですよね、不思議なことに。私たちファンは生徒の友達ではないけれど、そのスターの共同経営者である…とまで言うのはおこがましいんだけれど、でもとにかくなんらか寄与している存在だったってことなんだと思うんですよ。一緒に作って、それが完成したから、終えるの。卒業って、そういうゴールなんだと思うのです、だから悲しいことではないんです。寂しいけれどね、儚いけれどね…
 ラインナップになってゆりかちゃんの大羽根の懐に入るにあたり、雉羽根に刺さっちゃうところも可愛かったし、上手側に比べてやたら距離が近くなっちゃってるのも、そういえばゆりかあきりくとエチオピアチームになってるのも、肌色そんなに黒くないなとか思ったけどみんなと並んだらやっぱ色が濃かったのも、おもしろすぎましたし楽しすぎたし嬉しすぎました。
 りく、もあちゃん、じゃなくてすみれ、あやこと呼ぶゆりかちゃんがホント良くて、キリッとした一言じゃなくて可愛いしゃべりになっちゃうりくがホント「すみれちゃん」で、もあちゃんの「宙組最高です」を受けてあっきーが「宙組最高!」と言ったら客席から「あっきー最高!」「あっきー!」と次々声が飛んだのでゆりかちゃんとせーこにうりうり促されてあわて気味に「はい!」ってお返事するあきちゃんがホントあきちゃんでした。
 幸せなものをたくさんたくさん目撃しました。いい千秋楽でした。

 あ、でもひとつだけ。
 珍しいことに幕間に、「出演者への過剰な掛け声はおやめください」みたいなアナウンスが流れたんですよね。それはそう劇場側にクレームが入ったからなんだろうな、主に退団者への拍手をうるさい、過剰だと感じた観客がいたのだろうな、と私は思いました。でも千秋楽なんてファンが観るものだし、退団者のファンじゃなかったとしても誰かのファンならいつか自分も迎える日なのに、ずいぶん冷たいなあ…と感じてしまった私はわがままでしょうかね。それとも東京と違って大劇場なので、特にファンではない、リピーターでもない人ってのも観るものなのかな…私の周りでは爆竹拍手系は全然いなかっただけに、とても不思議に感じました。
 パレードのラストの「ジャンプ」に腕を上げてる人も確かにいたけど、というか私もついちょいちょいやりましたが、舞台が観づらいほど高々と上げてる人なんか私の見ている限りではいませんでした。私も後ろが通路だし、とちょっと甘えたことは事実です。でもこれも目障りに感じた人がいたようですね。まあハイではあったかもしれませんし、万人が同じテンションで盛り上がれないのは残念ではありますが当然でもありますし、今後の課題として考えたいです。

 ところで一日本当にいいお天気でいい陽気で、恵まれましたありがたかったです。さわやかな五月晴れでした。
 東京大楽の入り出ガードは『白夜』からこっち毎回入っていたのでノリがわかっていましたが、大劇場千秋楽は私は経験がなく、大空さんのときはトップ会で板付きだったのでまた全然ちがう進行で、どうなるものかと心配していましたが、本当にすべてが楽しく、スムーズにトラブルなく進み、素晴らしかったです。
 てかファンってみんなちゃんとあんなに真っ白で来るものなんですね、そしてみんな全然お洋服も鞄も靴も被っていない。清々しかったなー!
 そして白軍服の青年貴公子にお姫さまな白ワンピの婚約者、白いスーツの幼なじみの親友、白のお着物の兄嫁(未亡人)…みたいな鹿鳴館華やかなりしころのメロドラマがハウジングで展開されそうになった気がしましたが私だけですか私だけじゃないよね!?
 あんなギュウギュウの楽屋口での「行ってらっしゃい」、ホント楽しすぎました。掛け声にみるみる瞳がうるうるキラキラして、でも涙をぐっと引っ込めたのがわかりましたよ。そこからの大運動会、ホントおもしろすぎたし、自分ってまだこんなに走れるんだなと自信にもなりました(笑)。
 河岸を変えてのランチも楽しかったし、昼から呑んじゃったし、ハンバーグのお皿はりく(牛)でした(笑)。
 楽屋出待ちも下級生の車をみんな見送れましたし、再度の大運動会もやっぱりおもしろかったし、私はビールの苦みの美味しさがやっとここ数年でわかるようになって呑めるようになったのですが、フェアウェル・パーティーで呑んだ最初の一杯はホント水みたいにスルスル呑めて超美味しかったですね!(笑)あれが今のところ人生最高ビールかもしれません。
 フェアウェルもどんなものになるのやら…と密かに心配していたのですが、組子から愛され慕われ懐かれ頼られていた様子が窺えて、本当に我がことのように安心しました幸せでした。
 土曜に真名瀬みらくんのお茶飲み会に始めて参加したときに、まあもともと顔が好きで気になってはいたんですけれど、何度か新公をやってくれているしお手伝いもしてくれていると聞いたので、何か話が聞けるかなと下心満載で出向いたのですが、想像以上の澄輝愛に感動しまくったのと同時に、ちゃんと「男役道」伝えてるんじゃん!とわかって驚いたし感心しちゃったんですよね。ホントそういうところファンには語らないからさあ! まあ私たちは男役を目指していないから話しても無駄だと判断されたのかもしれないし(笑)、苦労したところとか水面下での足の動きを見せたがらないタイプなのかもしれませんが、まさかホントにただ感覚的なだけでやってこられるわけはないわけで、ちゃんとあったんですよ追求し続けてきた「道」が。それをちゃんと後輩が受け継ごうとしてくれていたんですよ。それがわかって本当に嬉しかったし、この日はまなちゃんだけじゃなくたくさんの下級生がそうしたことを語ってくれて、本当に本当に嬉しかったです。
 もう全然湿っぽくなくて、最初から最後までホントにニマニマ笑っていました。
 宝塚ホテルにそのまま泊まるお友達たちと別れて、阪急の駅までお友達と歩いて、ひとりになってコインロッカーからキャリーを引き出して梅田の宿へ移る間も、ずっとニマニマしていました。
 まだ東京があるから、というのもあるし、作品そのものが結局のところライトなエンタメコメディだから、というのもあるのでしょうが…こんなに泣いてなくていいのかしらん、という気もします。でも、もうこんなには遠征しないかも…というのは嘘でそれは全然ないんだけれど(^^;)、でもいずれやっぱり自分の中で何かが変化するだろうし、そういうことも含めた喪失感みたいなものを、うっすら予感しなくもない、です。
 でも、まだできることがあるので。
 お稽古待ちにも行きますし、お手紙たくさん書きたいし、組子もファンもみんな事故なく怪我なく完走できるよう、心を込めて応援し、自分も仕事その他もしっかりがんばって、楽しく元気に健康に、また劇場に通いたいです。
「感謝の気持ちを忘れずに」って、生徒とさんはよく言いますよね。「Thank you for everything」…肝に銘じて、この先の日々も大事に過ごしたいです。
 また語らせてください、毎度うだうだした日記ですんまへん。




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