駒子の備忘録

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宝塚歌劇雪組『ODYSSEY』

2022年07月26日 | 観劇記/タイトルあ行
 梅田芸術劇場、2022年7月23日11時半。

 躍動感あふれるダンス・ショーケースと古今東西の名曲で綴る華やかな世界巡りのレヴュー。作・演出/野口幸作。今年1月に東京国際フォーラムで上演予定だったが全公演中止になり、当初とは一部メンバーが違うものの「再出航」したミッドサマー・スペクタキュラー、全2幕。

 まあ私はショーを観るのが下手なので批評もまったく正しくできませんが、休憩込み2時間45分は長かったですよね…長く単調に退屈に感じる場面も多かったし、全体の尺としても長く間延びして感じられました。ショーとしてたいしたコンセプトもないわけですし、アポロン(朝美絢)とセレネ(朝月希和)が誘う海賊ブルーム(彩風咲奈)の航海、ったって要するに手垢のついた各国巡りで、そのイメージも選曲もベタというかなんちゃってイメージのオンパレード場面ばかりで、目新しさもおもしろみもこだわりも私には感じられなかったので。ただ、2幕の方がおもしろくは感じました。あとは、先日の月組の『RoN』なんかもそうだけれど、最後に日本(月組公演では地球)にたどりついてタカラヅカをやっておけば万事丸く収まる、と思っている節があるのがホントどうかと思うけれどある種の真理でもあるので、それで丸め込まれてしまったところはあるのでした…
 28日以降はB日程として、先日まで星組東京公演に出ていた美穂圭子が専科として特出するそうですが、それ以前のA日程ではそこはすべてはばまいちゃんがやっています。もちろん歌えるし劇団が押したい新進娘役さんであることもみんな知ってるものだとは思うんですけど、でもなんかちょっと…ともかやありすちゃん、なんならひまり、もっと言えばひらめちゃんにももっと歌わせてくれてもよくない? みんなで分け合ってもよくない?? と私は思いました。私はB日程を観る予定はないのですが、これはB日程では「もっと組子に歌わせてくれてもよくない?」ってなっちゃうんじゃないかなあ…美穂姐さんが歌えるのもみんな知ってるんだけどさ、でもさあバランスとしてさあ…
 とブツブツ一応もの申しておきますけれど、でもはばまいちゃんは素晴らしかったです。けっこう内心ドキドキしてたりするんじゃないの?という破格の登場の仕方やピン場面など多々ありましたが、物怖じせず堂々とやっていて、もちろん歌は上手いし綺麗でキュートで、よかったです。
 ついガタガタ言いたくなるのは娘役の扱いが全体にちょっとなんだかなー、だったからでもあります。まずメイン男役の女装祭りは、まあサービスとしてはアリだと思うしいいんですけれど、はいちゃんに二度やらせるのはどうかと思いました。中国の美女(眞ノ宮るい)だけでいいじゃん、ジャンヌはなんならぶーけちゃんとかでよかったんじゃないの?
 女装祭りでは囚われた王妃(華世京)のかせきょーがよかったかなー。背が高い…というか単純にでっかいんだけど、トールハンサムウーマンって感じで素敵でしたし、咲ちゃんにはそれを受け止めるだけの包容力がちゃんとありました。このアラビア場面のダンスは、身長が同じくらいのアイスダンスのカップルみたいなダイナミックさがあって、見応えがありました。選曲はベタすぎて失笑ものでしたけれどね…
 あがちんの女装はスペインのカルメン(縣千)。凜々しく肩もデコルテも腕も立派で強そうなカルメンでしたが、これまた物怖じせずノリノリでやっていたのがよかったと思いました。ミカエラ(野々花ひまり)はひまりで、『赤と黒』ではマチルドをやらされていて、どっちかは配役変えろよ芸がないな野口!と思いましたけどね…もちろんひまりはどっちも素敵でした。でもそういうことじゃないでしょ? 第二ヒロイン、当て馬キャラを同じ生徒にやらせてどーする!
 咲ちゃんの女装は2幕のイタリア、マーメイドの美女Sで神々しいまでのダルマ。ホント脇の下から生えてそうな長いおみ足で、そら拝むよね…とありがたく堪能させていただきました。
 あとはあすくんの歌手のリオの女(久城あす)がとてもよかったです、さすがでした。てか今回メインは咲ちゃんあーさあがちんはいちゃんかせきょーで、りーしゃもあすくんも叶ゆうりも完全バック扱いで驚いたんですけれど、たとえば雪祭男子なんかでは叶ゆうりの色気とアピールの上手さが素晴らしく、これまたさすが上級生と唸らされたんですよね。このあたりのスターもちゃんと大事にした方がいいよ野口…
 しかし一方でかせきょーの明るく華やかなオーラや大物感、スタイルや体格含めた持ち味などはさすが逸材なわけで、そら上手くのびのび育ててほしいと思いました。なのでひまりと多く組ませたのは大正解で、ひまりはお姉さんっぽく大人っぽく色っぽく組むこともできるし、組んだ男役をより素敵に見せるチャーミングさやフレッシュさやテクニックもきちんと持っている上級生娘役さんなので、サポート態勢として万全でした。
 あとはこの人数だと、私はやっとうきちゃんを識別できるようになりました…残念ながら好みの娘役さんではないのですが。でもたまにいるよねこーいう超絶小顔で超絶スタイルのダンサー娘役…上級生では祭りの女といい、杏野このみちゃんがさすがの上手さでした。でも沙羅アンナの顔が好きでつい見てしまう…あと私の麻花すわんセンサーの感度が上がり、ビシバシ見つけられるようになりました。ともかとかりあんも好きでけっこう追っていましたよ…
 さききわでは1幕のオーロラのデュエダンと2幕のあーさのカゲソロで踊るデュエダンがやはり素敵でしたね。ひらめちゃんは前回公演で仕上がりきってるなー!と思ったら卒業発表だったわけですが、今回もすさまじいまでの娘役力で、ひとりで踊るときは本当に伸びやかで、咲ちゃんと組むときはしっかり息を合わせていて、これまた唸らされました。反りはすごいし、片脚を高く上げる振りが何度かありましたが決してドレスの裾がぺろんとめくれたり落ちちゃったりして脚を丸見えにさせることなく、優雅にキープしていて感心させられました。下級生たちはたくさん学んでほしいです。
 『海が見える街』リプライズ場面はまあ楽しかったけれど、やはり前回の方がよかったかな…そしてジェラール・フィリップのくだりは、なんか『アパショ』のヴァレンチノ場面みたい…?と思いましたが、なんにせよ世代としてもあまり客に刺さっていない気がしました。実際のところ、どうなんでしょうかねえ?
 というわけで一度しか観ていませんし、フラッグも買わず振りにも参加しないノリの悪い客の浅い感想で申し訳ありませんが、ドラマシティ公演が千秋楽まで中止となってしまったので、こちらだけでもなんとか千秋楽まで無事航海し続けてほしいとは思っています。
 健康と安全を、祈っています! 太陽と月の神様のお恵みがありますよう…!!





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