舞浜アンフィシアター、2022年5月16日16時。
今から200年ほど未来。地球は度重なる戦争と疫病とで荒廃し、有毒の雨が降り注ぐ星となっていた。人類は月や火星への移住を図り、今まさに地球をあきらめようとしている。太陽系のはるか彼方に存在する海王星ネプチューンには、ダイヤモンドの雨が降るという。そんな噂を聞きつけた伝説のトレジャーハンター、シャトー・ド・カロー♦(月城かなと)はロマンを求め、仲間たちと共に海王星へやってくるが…
作・演出/谷貴矢、作曲・編曲/太田健、高橋恵、多田理紗。70分ほどの芝居に40分ほどのフィナーレがついた一幕のドラマチック・ショースペース。
「当初の予定では地球とかここまで関係無かったし、もう少しドロドロしていたんですが、アンハッピー脳が死んでしまった」のでこういうお話になったんだそうです。「歌劇」を読んでナウオンを見ただけで観たので、帰宅してゆっくりプログラムのあらすじを読んだら「あ、そんな設定だったの…?」って私はなりましたけどね。いやノートルダムに有毒の雨が降って孤児院の子供たちが大きな帽子だのマスクだのをつけてる、というのはもちろんわかりましたが、その他の人々、もっと言えばおそらくは裕福な人々はとっくの昔に地球なんか見捨てて他の惑星に移住している、つまりそれくらい宇宙工学的な科学は進んでいる時代の話なのだ、ということは私にはわからなかったのです。ずばり『銀河鉄道999』みたいな世界観ってことですよね。歌詞とかでちゃんと歌われていたならすみません、私が聞き取れなかっただけかもしれません。
そのあたりがよくわからなかったので、シャトーと仲間たちがコールドスリープを使って太陽系を渡り海王星に至る、というのもわりとよくあることなのかものすごく特殊なことなのかそもそも技術的にできることとされているものなのかがよくわからず、つまりこれはSFというよりはあくまでなんちゃってSFでファンタジーなのかな?と私はそのあたりで困惑してしまったのでした。
で、海王星の王だというトリトン(鳳月杏)や彼が創造したらしい生きて動く宝石たち?が現れるんだけど、そして彼は実はもとは地球人でアプリコという名の科学者だったらしいことが語られるんだけど、クローンやAIの研究みたいなことと鉱物が生命や意志を持って動く云々ってだいぶ遠くない? この人の本当の専攻はなんなの?? とか思ってしまったり…
さらに、少年シャトー(蘭尚樹)が姉のように慕っていたベルメール(海乃美月)という少女と、海王星に住む氷の女王ネプチューン(海乃美月の二役)とが似ていて…となるわけですが、ネタバレすると要するにアプリコの妻は娘ベルメールをおいて亡くなっていて、絶望したアプリコは海王星に移住して自分の楽園を築き、妻に似せてクローンのネプチューンを作った、ということですよね。その後ベルメールは孤児院で育って少年カローと仲良くなった、でも星間サーカスに売られ、ちょっとは歌手として活躍したものの雨の毒に侵されて死んだ、と…で、いろいろあって(笑)シャトーと意気投合したネプチューンは地球に行ってみたいと言い、トリトンも認めてくれて、シャトーの仲間たちと共に地球を目指すことにする。そして…そこから地球?の海やディズニーやSFアニメや宝塚歌劇のショーの主題歌のフィナーレになる、という構成だったのでした。
あらすじにあるシャトーの恋が海王星を変える、みたいなことはあまり感じられなかったのだけれど(^^;)、まあそこまでシリアスというかしっかりした芝居でもないし、まあいいのかな、と思いました。タカヤ先生もアンハッピー脳、シリアス脳が死んでちょっとライトななんちゃってSFショー作品に仕立てたくなったのでしょう。本来のコンセプトとしては、帰還したシャトーたちが地球を救う…までがあったんでしょうけれどね。「関係無かった」地球を絡めることにしたならそこまでやるべきでしたよね。あ、ラストのアンコールに雨に関する歌をれいこが歌っていたけれど、そうかアレで、つまりタカラヅカの歌と踊りの愛と希望と祈りの力で地球が浄化され独のない雨が降るようになりました、ってことなのか…へー…(棒)イヤちょっとここに関しては無垢なハートのない、小うるさいSFファンで申し訳ないです。
ヒロインの設定に関してはそれこそ『999』のメーテルとプロメシュームのような、いやアレとはまたちょっと違うんですけど、要するにザッツ松本零士的というか古き良きSF(まあ『エヴァ』とかもこの設定ですよね、これももう「古い」と言ってしまっていい作品なのかもしれないけれど)みたいな感じで、私は微笑ましかったです。新世代のタカヤ先生といえども理想の女性像が単一で母だの娘だのクローンだのって発想になるんだから、男性はあと1万年経ってもここから逃れられないのかもしれませんね…
まあでもれいこちゃんは「鬼のようにキレイ」で、みんなのお衣装が良くて、楽しかったのでいいです。個人的にはアメシストの麗泉里の圧とトパーズの美海そらたんのキュートさ、サファイアの白河りりたんの凜々しさに釘付けでした。『コブラ』のパンチ、最高! あ、クール♥(彩みちる)のみちるももちろんめっカワでした!!
『センセ』のひらめもだけど今回のくらげちゃんの背中も仕上がりきっていて、娘役として完成されてきましたな…!と感心しました。
私はセラムンはかすってもいない世代なので知識でしか知りませんでしたが、盛り上がっていたので良きでした。あとはやはり『るろ剣』をここでやってくれたのは、ファンには嬉しかったのではないでしょうか。
でもみちるとりりちゃんは歌っていたけどあとはるねっこもうーちゃんもソロがなくて、若手陣にはもちろん何もなくて、ちょっともったいなかったかな…
このハコはこれまで花組でも星組でも観てきましたが、今回はDブロックのお席に当たり、私的に今までで一番近く観やすかったと思います。
でもここって、サイドブロックの席もS扱いなんですかね? 半円形に張り出したような舞台なんですが、花や星のときに比べて舞台奥の部分を使ってそこに一列に横に並んだり、あくまでセンターに向けてまっすぐ隊列を組むことが多く、生徒が円周状に並んだり放射状に向いたりすることがあまりないように思えたので、サイド席の観客はほぼ横顔か後ろ姿しか見えなかったのでは…とちょっと心配してしまいました。奥は見切れも多いだろうし…ちょっと残念。照明や装置など、このハコにしかないおもしろいものもいろいろあるので、いっそうの工夫と配慮が欲しいなと感じました。
次の宙のゆりかちゃんリサイタルはまた新たなハコなので、楽しみです。
星組大劇場公演の再開も決まりましたし、どうぞどの公演もご安全に、引き続きなるべく予定どおりに上演されていきますように…!
今から200年ほど未来。地球は度重なる戦争と疫病とで荒廃し、有毒の雨が降り注ぐ星となっていた。人類は月や火星への移住を図り、今まさに地球をあきらめようとしている。太陽系のはるか彼方に存在する海王星ネプチューンには、ダイヤモンドの雨が降るという。そんな噂を聞きつけた伝説のトレジャーハンター、シャトー・ド・カロー♦(月城かなと)はロマンを求め、仲間たちと共に海王星へやってくるが…
作・演出/谷貴矢、作曲・編曲/太田健、高橋恵、多田理紗。70分ほどの芝居に40分ほどのフィナーレがついた一幕のドラマチック・ショースペース。
「当初の予定では地球とかここまで関係無かったし、もう少しドロドロしていたんですが、アンハッピー脳が死んでしまった」のでこういうお話になったんだそうです。「歌劇」を読んでナウオンを見ただけで観たので、帰宅してゆっくりプログラムのあらすじを読んだら「あ、そんな設定だったの…?」って私はなりましたけどね。いやノートルダムに有毒の雨が降って孤児院の子供たちが大きな帽子だのマスクだのをつけてる、というのはもちろんわかりましたが、その他の人々、もっと言えばおそらくは裕福な人々はとっくの昔に地球なんか見捨てて他の惑星に移住している、つまりそれくらい宇宙工学的な科学は進んでいる時代の話なのだ、ということは私にはわからなかったのです。ずばり『銀河鉄道999』みたいな世界観ってことですよね。歌詞とかでちゃんと歌われていたならすみません、私が聞き取れなかっただけかもしれません。
そのあたりがよくわからなかったので、シャトーと仲間たちがコールドスリープを使って太陽系を渡り海王星に至る、というのもわりとよくあることなのかものすごく特殊なことなのかそもそも技術的にできることとされているものなのかがよくわからず、つまりこれはSFというよりはあくまでなんちゃってSFでファンタジーなのかな?と私はそのあたりで困惑してしまったのでした。
で、海王星の王だというトリトン(鳳月杏)や彼が創造したらしい生きて動く宝石たち?が現れるんだけど、そして彼は実はもとは地球人でアプリコという名の科学者だったらしいことが語られるんだけど、クローンやAIの研究みたいなことと鉱物が生命や意志を持って動く云々ってだいぶ遠くない? この人の本当の専攻はなんなの?? とか思ってしまったり…
さらに、少年シャトー(蘭尚樹)が姉のように慕っていたベルメール(海乃美月)という少女と、海王星に住む氷の女王ネプチューン(海乃美月の二役)とが似ていて…となるわけですが、ネタバレすると要するにアプリコの妻は娘ベルメールをおいて亡くなっていて、絶望したアプリコは海王星に移住して自分の楽園を築き、妻に似せてクローンのネプチューンを作った、ということですよね。その後ベルメールは孤児院で育って少年カローと仲良くなった、でも星間サーカスに売られ、ちょっとは歌手として活躍したものの雨の毒に侵されて死んだ、と…で、いろいろあって(笑)シャトーと意気投合したネプチューンは地球に行ってみたいと言い、トリトンも認めてくれて、シャトーの仲間たちと共に地球を目指すことにする。そして…そこから地球?の海やディズニーやSFアニメや宝塚歌劇のショーの主題歌のフィナーレになる、という構成だったのでした。
あらすじにあるシャトーの恋が海王星を変える、みたいなことはあまり感じられなかったのだけれど(^^;)、まあそこまでシリアスというかしっかりした芝居でもないし、まあいいのかな、と思いました。タカヤ先生もアンハッピー脳、シリアス脳が死んでちょっとライトななんちゃってSFショー作品に仕立てたくなったのでしょう。本来のコンセプトとしては、帰還したシャトーたちが地球を救う…までがあったんでしょうけれどね。「関係無かった」地球を絡めることにしたならそこまでやるべきでしたよね。あ、ラストのアンコールに雨に関する歌をれいこが歌っていたけれど、そうかアレで、つまりタカラヅカの歌と踊りの愛と希望と祈りの力で地球が浄化され独のない雨が降るようになりました、ってことなのか…へー…(棒)イヤちょっとここに関しては無垢なハートのない、小うるさいSFファンで申し訳ないです。
ヒロインの設定に関してはそれこそ『999』のメーテルとプロメシュームのような、いやアレとはまたちょっと違うんですけど、要するにザッツ松本零士的というか古き良きSF(まあ『エヴァ』とかもこの設定ですよね、これももう「古い」と言ってしまっていい作品なのかもしれないけれど)みたいな感じで、私は微笑ましかったです。新世代のタカヤ先生といえども理想の女性像が単一で母だの娘だのクローンだのって発想になるんだから、男性はあと1万年経ってもここから逃れられないのかもしれませんね…
まあでもれいこちゃんは「鬼のようにキレイ」で、みんなのお衣装が良くて、楽しかったのでいいです。個人的にはアメシストの麗泉里の圧とトパーズの美海そらたんのキュートさ、サファイアの白河りりたんの凜々しさに釘付けでした。『コブラ』のパンチ、最高! あ、クール♥(彩みちる)のみちるももちろんめっカワでした!!
『センセ』のひらめもだけど今回のくらげちゃんの背中も仕上がりきっていて、娘役として完成されてきましたな…!と感心しました。
私はセラムンはかすってもいない世代なので知識でしか知りませんでしたが、盛り上がっていたので良きでした。あとはやはり『るろ剣』をここでやってくれたのは、ファンには嬉しかったのではないでしょうか。
でもみちるとりりちゃんは歌っていたけどあとはるねっこもうーちゃんもソロがなくて、若手陣にはもちろん何もなくて、ちょっともったいなかったかな…
このハコはこれまで花組でも星組でも観てきましたが、今回はDブロックのお席に当たり、私的に今までで一番近く観やすかったと思います。
でもここって、サイドブロックの席もS扱いなんですかね? 半円形に張り出したような舞台なんですが、花や星のときに比べて舞台奥の部分を使ってそこに一列に横に並んだり、あくまでセンターに向けてまっすぐ隊列を組むことが多く、生徒が円周状に並んだり放射状に向いたりすることがあまりないように思えたので、サイド席の観客はほぼ横顔か後ろ姿しか見えなかったのでは…とちょっと心配してしまいました。奥は見切れも多いだろうし…ちょっと残念。照明や装置など、このハコにしかないおもしろいものもいろいろあるので、いっそうの工夫と配慮が欲しいなと感じました。
次の宙のゆりかちゃんリサイタルはまた新たなハコなので、楽しみです。
星組大劇場公演の再開も決まりましたし、どうぞどの公演もご安全に、引き続きなるべく予定どおりに上演されていきますように…!
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