駒子の備忘録

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愛した日々に偽りはない。~もはやナンバリングを忘れた澄輝日記

2019年03月08日 | 澄輝日記
 2019年3月7日、7月21日の宝塚歌劇宙組『オーシャンズ11』東京公演千秋楽をもって卒業することを、澄輝さやとさんが発表しました。

 集合日お稽古入り出待ちなるものに、初めて行きました。たまたま行ける日だったので。その巡り合わせに、感謝しています。
 ご本人の顔が見られて、話が聞けました。私が愛し信じてきた以上に、強くて優しい人でした。きっと大丈夫です、何がかはともかく(^^;)。
 そのことが、まずは、幸せです。あの日薔薇一輪、てなもんです(自己満足ですみません)。

 思えば大空さんのときは、たとえばこんなだったりこんなだったりしたようです。今読むと自分でも「へえ」とか思います(笑)。それくらい遠いことのような、だいぶ忘れているような、でもちゃんと覚えていて大切な思い出のような…そしてあたりまえですが、全然違うことなのでした。
 だから今回も、書いておかないと忘れてしまうのかもしれない…という焦りはあります。私は自分の記憶をあまり信用していないのです。
 でも今回は、お友達たちのおかげで、また気にかけて声を掛けてくださるたくさんの方々のおかけで(大空さんファン時代は意外とツイッター初心者でもあり、そういうお友達、交遊がまだ少なかったのでした…)、改めて胸にしまっておくこと、だけど忘れてしまわないこと…がたくさんできた気がしています。 
 それはそっと取り置いて、でもやっぱり言いたいこと、みなさまと共有してもええやろと私が考えちゃったことは、なんでもここに書いてしまうスタイルで、今後も参りたいと思っています(笑)。

 本当のことを言うと、この次の公演くらいかな、と思っていました。完全なる私の希望的観測にすぎないのですが。
 永遠にいられるところではないし、周りがどんどん代替わりしていって、ご本人もいろいろな役どころを経験していって、フェアリーと言えどそこはみんな平等に実年齢を重ねていくのだし、いつかどこかでやっぱり決断するものなんだろうな、とは思っていたので。もうわりと長く大部屋の長でしたし、しばらくずっと宙組生え抜き男役最上級生でしたしね。先日音校を卒業した初舞台生を迎えるのは、正式にはこの集合日になるのかな? とすると研15になりますしね、立派な上級生ですよね。肩叩きターンは終わったかなと思うので、あとは本当にご本人の気が済むまでというか、ご本人の思うところ次第で、だろうなとは思っていたのです。
 でも、なんせ私が『オーシャンズ11』を演目としてあまり買っていないというのがありまして。だから、ここでは、嫌でした。
 あと、ショーのある公演で卒業して、やはり餞場面のひとつも仕立ててほしかった、というのもあります。まんちゅーのピックアップもよかったし、遡れば当時もっと全然スターさんだったけどPちゃんの銀橋ソロ場面とか、別にアレくらいしてくれても全然いいと思っているのです。今や創立20周年を迎えた宙組の、生え抜き男役最上級生なんですよ?
 それか、トップコンビのデュエットダンスの傍らで歌う歌手、とかを観てみたいとずっと思ってきました。とにかく歌手起用をもっとされていいはずだ、とずっとずっと思ってきました。そしてそういう機会が、残念ながら最後でないとなかなかもらえないものなのだろうな、とも思っていたのです。だから、卒業するのはショーのある二本立て公演がよかった。

 お芝居も、理想を言えばオリジナル新作の、ご本人に当て書きのお役を観てみたかったです。どんななんだろう?って初日までドキドキ待つ、みたいなのをしたかったのです。『エルベ』のかいちゃんトビアスまでなんて望まないけれど…だって、今まであまりにも再演ものが多かったですよね。振り返ってみてちょっと愕然としました。
 私が会に入ってからでも、『白夜の誓い』のアルムフェルトは、当て書きというよりは家臣グループ芝居の長だから、といった程度のお役でした。実在の人物でもあったのかな? 『王家に捧ぐ歌』カマンテは再演、『メランコリック・ジゴロ』のベルチェも再演。『Shakespeare』のトマス・ポープは確か実在の俳優で、パリスもオーベロンもシェイクスピアの原作があります。まあアレがほぼほぼ生田先生のあっきーイメージなんだろうけれど、だからそういう意味では当て書きなんでしょうけれどね。博多座『王家』ケペルももちろん再演、『エリザベート』のルドルフ/エルマー/シュテファンももちろん再演、『バレンシアの熱い花』ロドリーゴも再演、『王妃の館』まこちゃんは原作あり、『不滅の棘』アルベルトも再演。『天河』ネフェルティティは原作ありだけれど、あの役をああピックアップして男役のあっきーにわざわざ当ててくれたのには、さすがになーこたんの意志を感じたかな。『WSS』リフももちろん再演。『異人たちのルネサンス』のペルジーノは実在の人物、『黒い瞳』ベロボロードフも再演。
 だから『神土地』コンスタンチンくらいなんですよね、あっきーのために書かれた役って…ありがとうくーみん!
 まあ遡れば『WMW』のネッドとかもあって、あれも生田先生のあっきーイメージのお役なんだろうけれど、これまた私はあの作品自体をあまり買っていないのでした…『』のヨーゼフ・ヨアヒムももちろん素晴らしかったけれど、やっぱり実在の人物でしたしね。でもくーみんの性癖というか、あっきーへのドリーム、ロマンは感じますよね。ありがたや。
 あっ、『クライタ』のエットーレは好きでした。イヤ名前なんか出てこない程度のお役でしたけどね、大空さんサルヴァトーレの秘書の役です。私はなんかすごくよく覚えているのです。愛ちゃんがすっしぃさんの方の秘書をやっていて、ちょっとシンメみたいになっていて、勝手に萌えていました。ありがとう景子先生!
 ああ、『華日々』の振り付け師のジェームスってのもありましたけれどね…ああいう役でやらされがちなオカマ芸を当てられなかったのはよかったね、くらいしか思うところがない役だったからなあ…
 こう考えると、当て書きしてもらうことって、昨今ではとってもとっても貴重なことなんですね…!

 これからも110年、150年、あるいは200年と続いていくであろう宝塚歌劇の歴史の中で、長い目で見ればおそらくは忘れ去られ、おそらくは『エリザ』ルドルフ配役に名が残る生徒、程度ということになっていくのでしょう。『NW!宙』も「主な出演者」扱いですからね、バウ主演者カウントされていませんからね。そういう枠でいろいろ線引きされてきたことは、ファンはちゃんとわかっていましたからね。出てない写真集とかね。
 でも、演目発表当日、私なんかに「おめでとう」と言ってくれるLINE通知が止まらなかったことを私は今でも覚えています。先行画像がピンで出たとき、動揺のあまり出先の駅のホームの端から転げ落ちそうになったことを覚えています。初日、あまりにも明るい声の開演アナウンスをうまく咀嚼できないままに幕が上がり、上がって上がってやっと見えた階段のてっぺんに板付いていたシルエットを脳が上手く認知できなかった数秒間を覚えています。お友達が友会で当ててくれた最前列に座れた日、私を華麗にスルーして隣のお友達に猛烈アピールしてもらって、お友達とふたりして大爆笑大満足した日を覚えています。「星に願いを」のマイクが入らなかった回の生歌声と、単なる癖もしれませんがブルブル震えていた右手親指を覚えています。
 『シェイクスピアイズ』大劇場初日、拝賀式に向かう凜々しい紋付き袴姿を見送れたこと。ルドルフ初日が誕生日だったこと。『バレンシア』初日の「瞳の中の宝石」の甘やかさにボロ泣きしたこと。『王妃の館』大劇場初日のこんクレチューに自然と湧いた拍手喝采。『AM』会総見の「ぼくらが旅に出る理由」ラストにみんなで入れた「あっきー!」の掛け声が、それはそれは綺麗に揃ったこと。『不滅』大楽に、席の位置のおかげで完全にフリーダになれたこと。博多座『黒ビバ』千秋楽のパレードとカテコで、いつもはわりとけろりんぱと、ただニコニコしているだけのことが多いのに、珍しくうるうるしているように見えたこと…
 宛名まで手書きだった最初のお礼状。羽根モチーフのスカーフ。鹿児島のチャック全開ナイト。ジェッツの女のコスプレ。ご本人不在のお誕生会。臙脂と紺のマフラー。
 全部全部覚えています、忘れません。たとえ記録に残らなくても、なかったことにはなりません。思い出は目に見え、手に触れるものにしか宿らないわけではないのです。
 こんなに濃くて幸せな日々を送らせてもらうことになろうとは、入会当時は全然思っていませんでした。それだけでも、ありがたいことです。

 ご本人は、その当日、これまでも何度も何度も言ってくれていましたが、うちの会を最高だと言ってくれました。ここまで来られたのはみなさんのおかげだと言ってくださいました。前後の話から、その言葉におべんちゃらやファンへのお追従がまったくない、この人にとってはそれが純然たる真実なのだということがよくわかりました。もちろん本当は、会の雰囲気がいいのもご本人の人柄故であり、今のポジションもご本人の努力の賜なのです。でも私たちの応援が負担にならず、支えや励みになったのならよかった、と真実思えました。
 そして、最後の、再演だろうとなんだろうとご本人にとっては初めての、新たなお役への挑戦にはりきっていました。抱負も語ってくれました。だからみんな、もう辞めるのやめてなんて言えないし、そんなことは言うべきじゃないしもうしない、泣いちゃうけどでもなるべく泣かない、そして今までどおり自然体で、笑顔で応援し続けよう、と改めて決心したんだと思うのです。少なくとも私はそうでした。
 だから泣いていません。そして愛した日々に偽りはないと言いきれます。それが主役の歌のタイトルというだけでなく。かつてスカステの音楽番組でご本人が歌った歌だというだけでなく。

 かさりちゃん、美人枠で起用されてきてまだまだこれからだと思っていたのに、もったいない。こころちゃん、ダンサー枠で起用されてきたけど『群盗』お芝居もよかったのにもったいない。風輝くん、まだちゃんと認識できてなくて申し訳ない。りく、こんなところまであきりくでなくていいのよ…!(ToT) もあちゃん、『パパ~』でのコメディエンヌっぷりが素晴らしくてこれからますます活躍していくといいと思っていたのにもったいない。そしてせーこ、組長クラスまでがんばってくれると思っていたよ…!
 けれど、それぞれ、ご本人の決断ですよね。支持することしかできないし、きっと最高のものを見せてくれることでしょう。だからイケコ頼むよマジでフィナーレ…!!!

 てかイケコ初日からお稽古はりきりすぎだから! 初日から、というか卒業発表のその日にその生徒の出待ちなし解散とか冗談じゃないからってみんなしてかなり真面目に心配したから! 出てきてくれて本当によかったけれどマジ寒かったから! のぞみの最終なんかもちろん間に合わなくて、0時半大阪発の寝台特急で帰京する羽目になってるから私! だって木曜は休めたけどその分金曜は仕事いっぱいあるし! 震災からこっちホントいろいろ持ち歩くことにしていて、急なお泊まりでもなんとかできている自分をマジで褒めたいです。てかよく寝た(笑)。自分の図太さにあきれます…

 なので、これからも。
 ご卒業のその日まで。
 あの赤い薔薇一輪に心を込めたように。
 贔屓の幸せを祈る気持ちに偽りはひとつもない、と誓えます。
 
 お気遣いくださったたくさんの方々に感謝します。実は、わざと、あえて、つぶやかない日を作ってみました。5月でツイッター10周年になりますが、初めてのことだと思います。でもそれくらいのことではあったのです、私にとっては。
 ご心配をおかけしたことをお詫びします。現地でおつきあいいただきました方々、ここでなんですが改めてお礼申し上げます。てかみなさんホント放置ありがとうございます、同定できててもスルーしてくださっているフォロワーさんもありがとうございます…!

 このブログは毎度こんなんですが、今後ともおつきあいいただけたら嬉しいです。


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2 コメント

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Unknown (あーちゃん)
2019-03-09 13:04:10
以前ノータカラヅカノーライフというブログとツイッターをやっていて、そのとき駒子さんには大変お世話になりました者です。

以前からこのブログは楽しみに読ませていただいていたのですが、
この記事を読んで、私は本当にバレンシアのあっきーのロドリーゴが大好きだったと、本当に素晴らしかったと私は思っていると、改めてお伝えしたくて、コメントを書き込んでしまいました。
何度も再演されている作品なので、演じている方はたくさんいますが、私はその中でも、あっきーのロドリーゴに出会えて本当によかったと思っています。
もちろん他の作品の他の役も、いつもとても素敵でした。お芝居もショーも、いつも本当に素敵でした。

これからお忙しくなると思いますが、健康にだけは気をつけて、最後まで楽しく悔いなく過ごされますよう。
ご贔屓さんにも、駒子さんにも、最後の日まで、たくさんの幸せが降り注ぎますように…。
返信する
コメントありがとうございました! (あーちゃんさんへ)
2019-03-10 21:16:22
最近忙しくて宝塚ブログめぐりができておりません…
コメントとても嬉しかったです。
今ツイッターで「マイベスト3澄輝さやと」みたいなツイートがチラホラありますが、
私も一番はロドリーゴかもしれないなーと思っていて、
そこから先に思考が進みません(^^;)。
キャラクターとして大好きだし、それを贔屓がやってくれるのが嬉しかったし、幸せな全ツでした…
今年の全ツにはもういないのですね、寂しいです…

お気遣いありがとうございました、体に気をつけて、でも全力で(笑)、贔屓ご卒業のその日まで応援しまくりたいと思います。
またいらしてくださいませ!

●駒子●
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