駒子の備忘録

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『バルセロナイガイ』初日雑感~澄輝日記番外編

2019年09月01日 | 澄輝日記
 宝塚歌劇宙組全国ツアー公演『追憶のバルセロナ/NICE GUY!!』初日(梅芸31日15時半)を日帰り観劇してきました。現時点でのごく個人的な感想を、再演なのでネタバレ全開で以下語らせていただきます。ちなみにお芝居初演の感想はこちら、ショー初演の感想はこちら

 お芝居は、ここ数年の音校の文化祭の演劇の元ネタとしてご存じの方も多いのではないでしょうか。ブンちゃん&まひるのハローグッバイ公演となった、ハリーには珍しくハッピーエンドの、明るくライトなエンタメを目指して作ったのであろうな…という作品でした。
 私にとっては当初ブンちゃんは星組四番手スターさんだったので、その後よもやこうしたジェンヌ人生(とOG人生)を送ることになろうとは思っていませんでした。そしてまひるが大好きでしたし(今も好き)、このトップコンビやこのときの雪組にはいろいろな可能性がもっとあったと思っているので、残念でしたね。
 セットが簡素になったりお衣装が一部変更になっていた以外は(だがイサベルの赤いシャツドレスみたいなのはママだった…ロマの娘の服としておかしいだろう。トップ娘役として着飾らせるにしてももっといろいろできるはずだよハリー…(ToT))、脚本・演出はほぼ初演ママだったかと思います。アントニオのソロが新曲かな? 当時のおっちょんは専科さんでしたっけ、そして次期トップのコムちゃんがロベルトというバランスでの配役だったので、今回キキちゃんがアントニオに扮するにあたってなんらかの手は入るだろうなと思ってはいましたが、これだけだとちょっとな…という、やはりしょっぱい辛抱役に見えました。
 ただ私はおっちょんアントニオは大好きだったんですよね。そんなにはっきり色分けされているわけではないのだけれど(それは脚本・演出の手ぬるさだとも思うので今回改善されていてほしかったのだけれど)、まっすぐすぎるフランシスコに対してもう少しだけクールでクレバーなところがあるキャラクターで、スペインの王侯貴族であるにもかかわらず、フランスに樹立された共和制に未来を感じちゃったりしているところとか、それでのちに板挟みになるところとかにロマンを感じられるからです。犠牲者を増やすだけの徹底抗戦を不毛だと判断して、ただ寝返っただけに見えようとも今は恭順してやりすごそうとする現実的な政策が取れるところもとても有能だと思うし、好みなのです。
 これまたあまりはっきりと演出されていないのでもったいないのだけれど、親友フランシスコの婚約者(とされているけれど両親への挨拶がまだみたいでもあるようだし、どういうことなんだハリー)セシリアに対して、以前からそこはかとなく好意を抱いていてかつそれを押し殺してきたのか、それとも戦争から帰ってセシリアに頼られて初めてぐらりときちゃったのかとか、あるいはそもそもフランシスコのことが好きすぎてかえって憎くてその女を奪ってやりたいと思うようなホモソーシャルあるあるの愛憎があったのかとかとか、そのあたりもいろいろ考えられるホント萌えキャラだと思うんですよね。
 でも今回は、私がキキちゃんにあまり興味がないからか(なんでもできる素敵なスターさんだとは思っているのですが)、まだ全体的に演技が深まっていないからか、なんかあまり魅力的なキャラクターには思えなくて残念でした。キャンプを訪ねてフランシスコと再会するくだりの芝居は熱くてよかったんですけれどね。ちゃんとまかキキ萌えがある人はちゃんと滾れたのかもしれません。
 ただ全体に、作品として、もうちょっとだけわかりやすくメリハリつけて盛り上がりを作って、何がどうジレンマになっていてどこがせつなくてだけど仕方ないのか、そこからの解決と未来とラストシーンなのか、みたいなことを明示した方が、いいものに仕上がるのではないかしらん…全ツに持っていくんだしさあ。そもそもアウストリア、ヒメネス、オリバレスという名字を最初からきちんと提示して(そもそもフランシスコもアントニオもファーストネームが提示されるのすら遅すぎて不親切です)、彼らがスペイン貴族の子女であることをはっきり表現するところから始めてほしいんですよね。ところでフランシスコパパ・レオポルド(さおはいいおじさん役者になったなあ…)とセシリアパパ(ファーストネームなし。こういうところだよハリー…なっつ、いい仕事してるのに)は出てくるけどアントニオパパは出てこないのは、もう亡くなっていてヒメネス家はアントニオが爵位を継いでいたりするのかしらん? でも「ヒメネス家のお坊ちゃま」みたいな台詞が後半で突然出てきますよね…私はオリバレスがアントニオに家族の安否を尋ねたときに、アントニオパパのことを聞いているのかと思ったくらいでしたが、自分の妻と娘セシリアのことでしたね。ここも台詞としてわかりづらいぞ!
 恭順派だったアントニオが、やっぱフランス信用できねーわ協力とか無理だわってなってレジスタンス活動を始めることにしてバルセロナからマドリッドへ旅立つ、というのはけっこうドラマだなーと思うんですよね。ただこのラストも、「徹底抗戦だ立ち上がろう諸君!」みたいなんじゃなくてすごく現実的というかある意味では消極的なので、史実なのかもしれないし賢明な選択なんだろうけれど、勧善懲悪スッキリ解決ハッピーエンドが求められがちなエンタメ舞台としては消化不良に見えかねない、ってのが問題なんですよね。そもそも主人公のフランシスコが全編通してほとんど活躍らしい活躍をしていないように見えます。記憶を取り戻すきっかけになるタブラオでのチャンバラ立ち回りくらいしかアクションがない構成になっちゃってますからね…アントニオ救出活劇もあっけなさすぎて、盛り上がりに欠けるのです。
 ま、まかまど真骨頂は好きなのにつっぱらかったり好きだから押せ押せになったりするイサベルと応戦一方のフランシスコ、ってところにあるんだと思うので、それでドラマとしては十分っちゃ十分、かなとは思うのですが…ここは奥歯を噛みしめながらニマニマ楽しく観ました。ホントのことを言えばイサベルがいつそんなにフランシスコを好きになったんかい、ってつっこみはあるんですけれど、でも満足です。こういう強いまどかって抜群にいいし(ただし剣を振り回すのは『天河』で見た…となりましたが)、ゆりかちゃんもニンでとてもよかったと思います。まあゆりかちゃんは、ちょっと『黒い瞳』ニコライで見たかな?ってキャラに見えてしまうのが残念なんですけれど、それは近年『バレンシアの熱い花』『黒い瞳』とやっている今のこの組にこの演目を持ってくる劇団が愚かなのです。あと、宝塚歌劇のクラシカルなロマンとして主人公はこういうキャラクターになりがち、というのはありますよね。だからイメージが似通うのは仕方がないのです。でもゆりかちゃんには優しさと誠意と男気があるキャラクターがハマると思うので、フランシスコはよかったな。イサベルにもセシリアに対してもちゃんとしていたと思います。もちろんアントニオに対しても、ロベルトに対してもね。
 まいあセシリアも、貴族の高貴な令嬢感はあまりなかったかもしれませんが、ハートがわかるお芝居でとてもよかったと思いました。悪い女とか軽い女には見えなかったと思うしね。アントニオに頼ったときのキスはやや無理チューだったのかしら、それともあの時点ではすでにある程度の合意ができていたのかしら…萌えますときめきます。
 ロベルトは儲け役なんだけれど、だから劇団がずんちゃんに当てるのは納得なんだけれど、これも『神々の土地』ゾバールで見たよってなっちゃうんでもったいなかったですね。初演のままに、イサベルに惚れているわけではない、というスタンスがとてもいいキャラクターだと思いました。で、ロベルトに気があるのがららアンジェリカになっていて、例のトランクのくだりがすっごいよかった! 初演はエスメラルダがやっていて今回そこはきゃのんだったので、それは違うでしょ!?と案じていたので安心しました。逆にエスメラルダはアンジェリカにロベルトなんぞやめておけ、と言う役まわりになっていて、きゃのんはこれがまた上手くてさすがでした。
 あーちゃんがロマの長で歌手担当で正解。じゅっちゃんもそのペアで正解。ふたりの歌でららが踊るのとか大正解。エンセナダの「行こっ」の芝居がママで嬉しかったしあきもがさすが! こなんくん、いっぷー、いとゆがちゃんとキャラ立てした演技をしているのにも好感を持ちました。そしてほまちゃんは本当に信頼しかない…!
 モンチとりんきらはいわゆるフランス悪役チームでさすがでしたが、特にりんきらは、初演がかしちゃんだった印象が強いせいもあるけれど、もっとド金髪にしてクールビューティーに振りきっちゃってもよかったんじゃないかしらん、とちょっともの足りなく感じました。久々におじさんじゃないりんきらが見られるのかなと期待していたので。
 そらは、『オーシャンズ11』ライナスもそうだったけれど、今回も役不足。あとあんなに笑いを取れちゃダメなんだと思う。エビちゃんは芝居はホント上手くないよなと毎度思うんですけれど、ちょっと天然の困ったセシリアママ役はよかったかな。祭りのセンターでバリバリ踊るカタルーニャの女はもちろん出色。あと市民女でも目立つひろこちゃんの美貌、たまらん。すっしぃさんイアーゴーはもちろん絶品でした。ここ、回収しなくていいんでしたっけ? まりなと澄風くんがもちろんいい仕事をしていました。
 このあとの九州周り、大雨の被害などありませんように。各地で盛り上がりますように。元気に怪我なく行ってきてください。私は次は市川の予定です。

 …と、まとめてしまいかけましたがショー・アトラクトですよ奥さん!(誰?)
 いやーエモかった!! 8年前!? まあでもそれくらい経ちますよね。胆管結石で人生初入院して大劇場遠征を全キャンセルしたので東京公演しか観ていないし、映像もそんなに見返すタイプではないのでまあまあ忘れているかなと思いましたが、先日一応予習にDVD見てみたら歌えるわ手拍子も拍手もタイミング忘れてないわで自分でも笑いました。
 で、Sの法則になるのはともかくとしてどの程度まんまやるのかな、と楽しみにいそいそ出向いたわけですが、まんまのところはほぼまんまだったので、というか全体にホントまんまだったので、だけどゆりかちゃん始めみんなけっこう持ち味違うよね!?と思うとホントおもしろかったです。ワクテカでした滾りましたときめきました楽しかったです!!!
 スミカが白いウェディングドレスに埋まるみたいになっていた(後ろ姿がかまくらとか言われてたんじゃなかったっけ…もはやお母さんですよ月日が経つのはホント早い!)プリンセスをまどかがやるところからちゃんと始めてくれるのね!とまずときめきましたが、下手からピュア・ウイングが走り込んできてパッとジュテしたところでもう決壊しかけましたよね「まんまやん!」と。でも歌詞が「♪やわらかな羽が」が「♪サラサラと羽が」になっていて、ああここもYだったのそんでSにしたの細かいな!?と思ったり。
 で、りくゆうりだった馬(確かペガサスでしたよねごめん)がナニーロと陽彩ちゃんだとはプログラムで把握してたんですけどなんとブルーとピンクじゃなくて、紫とグレーのなんかヘンな格好になっていて思わずぶほってなって(ココ変更する意味ありました!?)、まあここのゆりかちゃんはサワリだからいいとして、ハイ紫スーツのチャラ男たちが来ますよひとりずつピンスポですよハットで顔が隠れて誰だかわかんなくても拍手ですよてかファンならわかるだろ!と拍手をバンバン切り、ギャーゆりかちゃんがまんまの白スーツでキタよ裏地もアレだよギャー!ってなって、肩脱ぎがみんな華麗に綺麗に揃って、アダージョの振りもおんなじで大空さんも全然ダンサーじゃなかったけどゆりかちゃんもホントこういう踊りはアレだよねとニマニマし、でも蹴りはひときわ足が高いんだいいぞいいぞとなって、一度ジャン!とキマってからゆりかが一度ひとりになって主題歌、「♪君の」の次の瞬間から手拍子ですからここから銀橋でしたから!と手拍子切ってSの歌詞にニマニマにして、また男役が勢揃いして、テルの指差しキキちゃんもしてる!みっちゃんのとこのずんちゃんハマりすぎ!ギャー!とテンション爆上がり、もう完コピのブロローグでしたありがとうございますありがとうございます。
 からの痴話喧嘩ソング、まどかがスミカのアシンメトリーの肩出し白ドレスに似たイメージの髪型で出てきてくれて、靴はスミカは白ブーツだった気がしたけどまどかは白サンダルでそれも可愛くて、ギャー歌詞まんま!から突然「大阪まで来たのに喧嘩ばっかり…」とか寸劇が始まってここがご当地アドリブ場面になるんだ!?とおもしろすぎ、かつ「すずほのせいよ!」「まどか、ごめん!」って何事なの萌えまくりでハートが大炎上よ!?ともう大忙しでした。
 てか馬、りくゆうりなら歌なしで正解だったけど(オイ)今のふたりなら歌が欲しかったね…
 次は当時もやや微妙だったけど今やったらマジでポリコレ完全NGだから!と案じていたイケメンオークションがバッサリなくなり、代わりに「ミュージカル場面」があると聞いていたのですが何故宝塚歌劇のショーではこういうややコミカルな場面をミュージカルと呼ぶのだろう、自分たちが芝居でやっているアレはなんだと思っているんだろう…と激しく謎なのです。ともあれなんか『EXCITER!!』チックな新曲が歌われマリンズカンパニーならぬすっしぃズハイスクールが展開されて、なんか星トップのみっちゃんでもなんかこんなんあったけどキキちゃんがイケてない教師からファンキースターに変身するみたいな場面になっていて、チェンジボックスこそ出なかったしチャラ今ドキ生徒たちはみんな可愛くて目が足りなくて楽しかったですけど、結局キキちゃんの変身前後の落差が私にはよくわかりませんでした…大空さんのどピンクのスターもアレがカッコ良かったのかと言われれば謎でしたが、スターの記号としてはわかりやすかったじゃないですか。でもキキちゃんの変化は微妙じゃなかった…? あと、大空さんはここでチャン・グンソクを歌っていたわけですが(時代だわ…)、キキのここの歌も既成のものだったのかなあ? アイドルソング?? 初日はみんな若干ぽかんとしていましたが、今日からは手拍子入れて盛り上げてあげてくださいね。
 続いて棘場面、美穂姉さんだった伯爵夫人はまいあでれーれだった少女はひろこちゃん、大正解! ゆひテルだったところをまかキキでやらずまかずんにする劇団の意図を感じなくはありませんがそれはスルーすることにして、お衣装も振りもまんまでまたまたギャー!でした。大空さんの狭い骨盤にあの赤い変わり燕尾はよく似合っていたんだよなあぁ…ゆりかちゃんの髪型はもう少し似合う美しいものが他にありそうにも思いました。
 中詰めとっぱしはカイちゃんあっきー愛ちゃんだったドアボーイの歌が編曲変わって、まどかとりんきら、モンチに。からのチャールストン、みーちー大だったところがあきもとあーちゃん! えりぃばっか見てたとこにららじゅり! 滾りました。そしてあいかわらずロケットの手拍子は入れにくいままでした…
 カチャとともえさんがやっていたスマート・レディーはさおとまりな。さおの女装は『ホッタイ』でもう見たよダイスケ…なっつかこなんくんあたりでもよかったのでは? ここのみっちゃんの歌はずんちゃん、美穂姉の歌はきゃのんで正解。まどか美女のドレスはポスターにもあったスミカと同じもの。花火の電飾がなかったのは全ツなので仕方ないですね。でもジャズのメドレーにすっしぃさんを歌手で使うとかどういうことなの? 若手スターを起用していこうよホント宙組って…(ToT)ここは辛抱強く裏打ちの手拍子を最後までがんばりましょう。本公演ではなかった客席降りもありました。
 酔って寝ちゃったまどかをおいて客席ハケするゆりかちゃん、激しく見つめられた気がしたのは私がSの字のペンダントをしていたから…? でもこのSは違うのよごめんなさいね…!? (笑)
 風の場面もまんまでした。真風星風コンビだもんね、ダイスケショーあるある場面だけど素敵ですよね。あもたまだっけちや姉だっけ、のソロはモンチで、歌手起用が久しぶりな気がしましたがずんちゃんともあーちゃんとも違う美声で、すごくすごくよかったです。もっと聴きたいぞ!
 セクシャル9は7になっていてそらセンター、赤いスーツがもしもともちんのものならどんだけ丈を…あわわわわ。再演決定時、ここの9人が宙組でどうにもなっていないことを激しく嘆いたものでしたが、今回は他にりんきら、モンチ、さお、まりな、あきもにあーちゃん。みんなキザっていてニマニマしました。
 そしてフィナーレ、新しくゆりかちゃんがららまいあじゅっちゃんのアダルト・ドールと次々絡む場面から。ドールは黒のタコ足ダルマで足下がフサフサの毛のヤツで大正解! ゆりかちゃんと最後に組むのがまいあなのも大正解、高々と上がる美脚が素晴らしくて大正解! からの男役群舞とトリオダンスが曲は違うのに振り一緒ってどういう省エネなの脳が混乱するからやめて!? でもお衣装が黒と銀なのもなかなかオトナで素敵でした。
 パレード、エトワールはまいあで大正解。今回しっかり二番手娘役に見えました。新公ヒロインもバウヒロインも見たかった、大人っぽい持ち味で歌えて踊れて重宝したのにここで卒業させるとはもったいない…ご卒業後の活躍にも期待しています。
 カテコでは大阪以外に兵庫、京都の関西出身者紹介もあり、大空さんへの言及もあって、じんわりほっこりしました。明らかに「せりかちん」に教わったのであろう「あんなー、めっちゃ好きやねん!」と叫ぶゆりかちゃんが、たいそう可愛らしくまた頼もしかったです。熊本公演は盛り上がるでしょうね、元気に行ってらっしゃいませ!


 さて、最後にまさかの澄輝日記番外編を書かせてください。
 Sの法則ならSumikiさんもSorahaneさんもそらSなんでいてほしかったわけですが、そして復習に初演『バルセロナ』映像を見返したときにはこらロマや貴族や兵士の中に探しちゃうなとかつぶやきましたが、実際にはそんなことはまったくありませんでした。
 まず、そんな位置にいる人ではなかったことがもう身に染みてわかっているからです。たとえば『バレンシア』初日は、板付きのシルエットに驚倒しました。本公演と演出が違っていたというのもあるけれど、まぁ様とゆりかちゃんと並んでそこにいさせてもらえるの!?という、配役から考えたら当然なんですけれどそれでもその扱いの良さに改めて驚き感動したのでした。まあ『NW!』を「主な出演者」扱いで主演と認めてくれないというのなら、バウ二番手と全ツ三番手が最高位だったスターだということになるのでしょうが、それで十分ですし私なりに存分に現役時代を堪能させていただききったので、なんの悔いもないし卒業もきちんと受け止め受け入れていて、観に来ることならあれど(なので初日はないだろうと思いつつも1扉をチラチラ見ていましたすみません)もう舞台にはいない、ましてああいう位置には、というのはわかっていて、なのでそういうふうに心が揺れることはまったくなかったのでした。ショーの方は特に、ドアボーイは覚えているので曲が変わったのは残念でしたが、あとはやはり私にとっては真ん中の大空さんを見ていた作品だったので、そこここの場面に出ていたであろう人の幻が過ぎることはなかったのです。
 贔屓のご卒業後も、解散式後も、私はほぼ毎週遠征していて、まあ宙組の観劇回数は他の組と同じに1、2回に減るだろうからこの先の総観劇数は減るにしても、要するにファンはやめていなくて、変わらぬテンションで通っています。でもそれは贔屓を忘れたとか次の贔屓候補がいるとか、そういうことでは全然ないんですね。卒業しても、芸能活動をしていなくても、贔屓は変わらず贔屓です。ずっと勝手に一方的にまだまだ愛し日々想っています。
 解散式後はお友達たちのインスタに登場することすらしていませんが、変わらず片付けの日々なのかしらん、のんびりできているのかしらん、全ツはどこに観に行ってあげるのかしらん…そんなことを毎日毎日案じています。二度と会うことがないとしても、かまわないのです。それがあの人の選択だったからです。
 それは私の希望でもありました。中途半端な仕事はしてもらいたくなかったし、ゆっくりのんびり普通の暮らしをしてほしい。SNSもしてもらいたくない、とにかくあの人らしくいてほしい、何より幸せでいてほしい。現状、とてもあの人らしいと思いますし、だから私は安心して満足しているのです。人の幸せは当人にしかわからないものですし、私は遠くからただ勝手に祈り続けています。それで十分です。
 でも冷めたとか忘れたとかではない。別に誰かに何かを言われたわけでもないのでここでムキになる必要はないのですが、現に初日も宙担友にたくさんバッタリ会って近況を尋ねられ気を遣われ、また会で見知っていた方にも何人かお会いし会釈したりして、逆に責められたり呆れられたりはまったくしていません、なのでこれは私の勝手な予防線です。
 昨日日帰りで帰宅したら、置いていったガラケーに会メールの配信があり、最後の会報か発送されたとのことでした。私のメールはもうGメールか会社のPCメールがほとんどで、ガラケーのメルアドは会メールの配信先くらいにしか使っていない状態です。寂しくなるなあ…
 こういう寂しさをずっと抱えて、私はこれからも生きていくのでした。薄れることは、正直この先あるのかもしれません。でもなかったことにはならないのです。
 いつか忘れてしまう日が来ても、思い出せばいつでも「好きだったなあ」と思い返して幸せになれる、そんな贔屓を得たことは、奇跡のような、尊いことなのかもしれません。





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