駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

宝塚歌劇団月組『MAHOROBA/マジシャンの憂鬱』

2010年02月09日 | 観劇記/タイトルま行
 東京宝塚劇場、2007年10月18日マチネ。

 20世紀半ば、ヨーロッパのとある国。上流階級の人々の間で人気のあるクロースアップ・マジシャンのシャンドール(瀬奈じゅん)は、透視術を持っているとして世間で評判になっている。宮廷に仕える女官ヴェロニカ(彩乃かなみ)は彼を皇太子ボルディジャール(霧矢大夢)の元に連れて行き、皇太子妃の事故死の真相を透視してほしいと頼むが…作・演出/正塚晴彦、作曲・編曲/高橋城のミュージカル。併演はスピリチュアル・シンフォニーと銘打たれた、日本の伝統芸能や民族舞踊を織り込んだショー。作・演出・振付/謝珠栄、作曲・編曲/吉田優子。

 宝塚初観劇、という知人ふたりを伴っての観劇だったので、受け入れてもらえるかヒヤヒヤものでした。
 先にショーが来て、しかもヤマトタケルだのなんだのいう通し役があるショーだったので、バラエティには欠けるかとヒヤヒヤし…でも楽しんでもらえていたようでした。
 城咲あいがやっぱり可愛くて、目を引くなあ。

 ミュージカルは…いいんですけど…私はやっぱりトップコンビと男役二番手がかっつり組むメロドラマが好みなので、そこは不満。でもまあ、ライトなコメディには仕上がっているかと思いました。
 ただし完全に役不足なのでは…あと、マジックというものはタネがあるのが当然なのに、だから「シャンドールの奇跡」にも仲間たちの事前調査とか仕掛けとかのタネがあるのが当然なのに、万能の超能力者としてもてはやされて困ってしまう…というとまどいやおかしみを描く、というのは、こういう大劇場には不向きな題材なんじゃないかと思いますよ。

 明るくて爽やかで、でもなんとなく仲間に流されて「奇跡のマジシャン」を演じてしまってホントはちょっと困惑気味…というシャンドールのキャラはアサコのニンかなとは思います。
 皇太子妃の侍女で、真相究明に必死なヴェロニカは、わざと声を低くしての役作りなのですが、ちょっと男役の声のようで、あだになっていると思いました。普通にいわゆる娘役声のままでも、芝居で、仕事に必死でプライベートを忘れてしまっているキャリアガール、みたいなものは出せると思うんだけどなあ。愛らしい彩乃かなみを期待していたので、ちょっと残念。
 同僚女官で武芸にも秀で、ちょっと怖い女スパイといった趣すらあるシャーロットとエヴァは憧花ゆりのと夢咲ねね。これはよかった。キャラクター造形も良かったし、それを十分に演じていました。
 皇太子ボルディジャールは、ちょっと浮世離れしたところのある王子さまってことでいいんですかね…本人は王制を廃止して民主国家にするべきだと思っているようなので(なので貴族暮らしの甘い汁を吸い続けたい悪党どもが皇太子妃に陰謀を仕掛けた、ということになっているのですが)いいんですが、こんなのが次の王様じゃこの国はちょっと心配…まあ笑いのためにやっているんでしょうし、キリヤンは達者なのでそれはやってのけているのですが、当然あんまりかっこよくはないのでちょっと残念。
 シャンドールの友達で居候で発明家だけどもうからないのでシャンドールにたかっているジグモンド…なんてどーでもいい役が大空祐飛です。かわいそうすぎる…三番手くらいまでにはいい役が書けていないようでは宝塚歌劇の脚本としては失敗だと私は思うぞ。いくらひいきの正塚さんといえどこれは言っておきたいです。発明家らしさなんて全然ないし必要性もないし、だいたいなんなんだあの変な衣装は…
 これで卒業のエリちゃんは同じくシャンドールの仲間の探偵ラースロで、これは出番が多くて儲け役だし、エリちゃんの黒髪が好きだったのでこれで見納めができて私は満足なのですが、要するにシャンドールのスタッフとしては彼くらいがいれば十分なわけで、あとは出雲綾とか遼河はるひとかがやっている役はみんな無駄なわけ。やはり作劇として問題があると思いました。

 ただ、エンディングがいいのでなんとなく好印象にはなってしまった…

 皇太子妃が無事戻り、悪人どもが逮捕され、女官の任を解かれて一度故郷に戻ろうかな、というヴェロニカ。
 一方、「奇跡」を求め続けられるのに疲れて、ほとぼりが冷めるまでヨーロッパを放浪でもしようかな、というシャンドール。それなら一緒に旅しましょうか…という淡い想い。女としての色恋など忘れてきてしまったけれど、なんとなくときめく自分にとまどうヴェロニカ。不器用な彼女を微笑んで待ち、手を引くシャンドール。
 惜しむらくは「好きですよ」という肝の告白セリフをあまりにソフトに言いすぎて、3列目どセンターの席だったわれわれにすら聞きづらかったこと。あれでラブシーンだと他の観客にはわかったんでしょうか…正塚先生はあいかわらず照れ屋だなあ…

 ロケット、デュエットダンスや大階段パレードのフィナーレはこちらについていました。さすがに派手でいい感じ。ただし覚えて歌って帰れるようないい主題歌がなかったことはやはり残念。

 ともあれ知人は華やかさ・あでやかさには圧倒されたようで、満足してもらえたようなので、まあ「こういう世界もある」と思ってもらえればいいかな…

 宝塚歌劇は演目によって本当に当たり外れがあるので、また誘いたいと思います。
 とりあえず来年の名古屋公演での『メランコリック・ジゴロ』の再演が、今から本当に本当に楽しみです!!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『オセロー』

2010年02月09日 | 観劇記/タイトルあ行
 彩の国さいたま芸術劇場、2007年10月12日ソワレ。

 16世紀のヴェニスに、ムーア人の将軍がいた。彼の名はオセロー(吉田鋼太郎)。傭兵から戦績を上げていまや将軍の座に登りつめた。その旗手イアーゴー(高橋洋)は上官オセローを憎んでいる。副官に自分でなくキャシオー(山口馬木也)を登用したことが気に入らない上に、元老院議員の娘デズデモーナ(蒼井優)の心を捉えて結婚までしてしまったことも気に入らない。イアーゴーは、デズデモーナに片思いをしているロダリーゴー(鈴木豊)をたきつけ、オセロー失墜計画を開始する…作/W・シェイクスピア、翻訳/松岡和子、美術/中越司、演出・芸術監督/蜷川幸雄。彩の国シェイクスピア・シリーズ第18弾。

 彩の国さいたま芸術劇場に初めて行きましたが、ドラマ『役者魂!』のロケに使われた劇場だったんでしたね。そういえばあれはシェイクスピア役者という設定だったかもしれません。
 いい劇場でしたがしかし、はっきり言って与野くんだりという立地で終演が23時という設定はひどすぎます。19時開演を18時か18時半にすればいいだけのことじゃないですか。マチネなんか止めてしまえばいいんです。
 シェイクスピアだから長いだろうとは覚悟していましたが、19時開演ということは実は短い演目なのかと思っていたらこれですもんねえ。最初の二場くらいはセットがひどくて目も当てられず(その後の階段を使ったセットはすばらしかった。この落差はなんなんだ)、このままおもしろくないんだったら『ヴェニスの商人』同様第一幕だけで帰ろうと考えていましたよ私は。もうシェイクスピアはバレエの『ロミジュリ』とオペラの『オテロ』しか観ん、と決心するところでした。実際にはおもしろかったしオチが知りたかったのでつきあっちゃいましたけどね。でもこんなふうに観客を無視してはいけません。

 それにしても、蒼井優が観たかっただけで行った舞台でしたが、こんなにおもしろい話だとは知りませんでした。だまされて妻の貞節を疑ってしまう、というようなあらすじだけは知っていたかと思いますが。

 他の『オセロー』の舞台や演出を知らないので深くは語れませんが、確かにオセローがただの愚鈍な男に見えてしまう話になってしまってはダメだと思いますし、愚かな黒人を笑うような単なる人種差別の話になっちゃってもダメなんだと思います。確かにその意味でイアーゴーの在り方は肝です。ちなみに演じる高橋洋は、良かったんですが、あれでもう少し上背があると役者としてはより映えるのではないでしょうか。それともイアーゴーは小物、という演出なんでしょうかねえ。ちょっともったいなく見えましたが。
 さてそのイアーゴーですが、そもそもは逆恨みが出発点、とされることが多いのでしょうが、私にはなんと言うかこれは、愛の物語に見えました。もちろん嫉妬の物語と言い換えてもいいし、そういう言い方をすればそれは『オセロー』の定説なのかもしれませんが。
 つまり、イアーゴーはオセローを愛していたのですよ。というか、オセローに愛されたかったのだと思うのですよ。なのにオセローはキャシオーやデズデモーナのほうを愛している。だから彼からそれを奪ってやる、地位の権力も失わせてやる、そうしてすべてを失えば自分のほうを振り向いてくれるはず…これは、そんなお話に見えました。

 ロダリーゴーもまた、イアーゴーの歓心が買いたくて彼に協力しているように見えました。私の眼が愛に曇りすぎですか? でも、愛は、愛こそが、すべての動機になりえるものではないでしょうか?
 イアーゴーはデズデモーナに対し横恋慕をしていたようには描写されていないと思いますが、そんなわけでこれは、イアーゴーとオセローとデズデモーナの三角関係の話、というか、イアーゴーのオセローへの横恋慕の話なんじゃないでしょうかねえ。
 オセローはキャシオーに対するのとはまた別の信頼をイアーゴーに抱いていたのでしょう。というか、キャシオーに対しては、自分を追う者への危機感をこっそり抱いていたのかもしれません。だから簡単にデズデモーナの愛人かもと疑えたんでしょう。キャシオーは生粋のヴェニス人なんだろうしさ。その意味で小物のイアーゴーに対しては見下せる安心感があったのかもしれない。
 それからすると、イアーゴーからしても、所詮は成り上がりのオセローが本当にヴェニス宮廷で受け入れられるわけはないと思っていて、本当にあんたのことがわかってあげられるのはこの俺だけ、しがない俺さまだけなんだよ、というような感情があったのかもしれない…

 なんもかんもBL的に考えるなよと言われそうですが、そう見えてしまったし、そう見た方が納得がいくし、おもしろいと思ってしまったんですけれどねえ…
 ううむ、『オセロー』だけは他にもいろいろ観てみようかな。いつか絶対こういうバージョンに出会える気がします。

 演目としても気に入りました。よくできた悲劇だと思います。
 もちろん、疑惑や嫉妬でとばっちりをくう女としてはたまったもんではない、という面はある。デズデモーナの「男って、男って…!!」というセリフには、そのあとになんだってつけられる万感の名言です。
 そして、真実、男なんて、男と女の間の無理解なんて、そんなもんだ、と言ってしまえる。
 でもそれだとあまりにむなしすぎるので、せめて幕引きに、イアーゴーが、すべては愛ゆえにしたことだ、と告げるようなシーンがあると、一応全部許せちゃうんじゃないか、と思ったりもするわけです。
 女郎買い(?)をしている描写があるのはキャシオーだけですが、要するに男は自分が女を買うから、すべての女もまた色を売るのだと考えてしまうわけです。まず自分の身を正せばいいんだと思いますよ? そうすればそういう疑念から解放されるのに、本当に馬鹿ですねえ。買わない男は女が売らないこともまた信じられるのです。それだけのことなのです。
 もちろんオセロー自身には、女色の問題よりもむしろ、自分が「ムーア人」であることの押しつぶそうとしてもしきれないコンプレックスがあり、あの天女のようなデズデモーナが自分なんかを愛してくれるはずがないんだ、という否定しようとしてもしきれないひがみ、自信のなさがあって、それこそが問題なんですけれどね。
 自分に自信のない男、それもまた世界にとって害毒以外の何物でもなかったりするのですよ…ふう…

 さて、その蒼井優の少女のようなデズデモーナは、キャラクターの在り方としても正解だったと思います。役者としては、ちょっとまだ舞台発声になっていないような、セリフに抑揚をつけすぎていて聴きづらい点があったのはこれからの改善点かと思いますが、コンプレックスを押さえ込みながら成り上がった黒人将軍が入れ込み惚れこんでしまう天使のような少女、というものを十分に体現していたと思います。
 しかしイアーゴーの妻にしてデズデモーナの侍女エミリア(馬渕英俚可)の在り方はおかしかったんじゃなかろうか…「誰に対しても優しい女性として演じたい」というほうが無理があって、「エミリアの行動には一貫性がない」ということはないと思うのです。彼女はやっぱりイアーゴーを愛していて、だけど夫が自分のほうを全然見てくれないので、デズデモーナに対しては敵意を持ちながら、表面上はさも優しげに仕えている振りをして、彼女の心を揺さぶっているのではないでしょうか。というか私はそう考えた方が自然だろうと思ったけれどなあ。
 ううーむ、それは元の戯曲を読んでみないと訳わからんのかもしれない…奥が深いなあ…
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ヴェニスの商人』

2010年02月09日 | 観劇記/タイトルあ行
 銀河劇場、2007年9月19日ソワレ。

 貿易都市として栄えるヴェニス。アントーニオ(西岡徳馬)はこの街の裕福な貿易商だ。ある日、彼のもとに年下の親友バサーニオ(藤原竜也)が借金の申し込みにやってくる。自身の財産を使い果たしたバサーニオは、ベルモントに住む才色兼備にして大富豪の令嬢ポーシャ(寺島しのぶ)にプロポーズし、愛と富の両方を得ようとしており、その元手をアントーニオに頼ってきたのだ。あいにく全財産が海を渡る船の上にあったアントーニオは、自分を保証人として借金をするようバサーニオに勧める。バサーニオが借金を申し込んだのは、アントーニオにとっては天敵とも言うべきユダヤ人の高利貸しシャイロック(市村正親)だった…作/ウィリアム・シェイクスピア、翻訳/河合祥一郎、演出/グレゴリー・ドーラン。

 実は大変恥ずべきことに、またもったいないことに、第一幕だけ観て出てきてしまいました。上演時間が休憩込み3時間10分と長かったのと、今ひとつつまんなく思えてしまえたことと、気になる仕事が控えていたのと、天王洲が遠かったのとで…当然のようですが第二幕の方がおもしろかったそうです。ううーむ。

 しかし『お気に召すまま』のときも語ったかもしれませんが、やはりシェイクスピアはもはや現代演劇にはそぐわないのではないかとついつい思ってしまうのは、私に教養がナイからでしょうか。

 しかしもはや日本には詩文や朗読を干渉する文化がないので、あのくだくだしいセリフについていってきちんと意味を取ったりまして楽しんだりするということは、かなり至難の業であるとは言えると思うのですよ。

 やるんだったら、キャラクター設定とかドラマとかエピソードだけ使って換骨奪胎しちゃうんじゃダメなの?
 でももちろん、あのセリフこそがシェイクスピアなのでしょうね。しかし演劇人みんながみんなやりたがるほどには、お客は観たがっていないのではなかろうかという気がしてしまうのですがねえ…

 市村正親と寺島しのぶはさすがにせりふを自分のものにちゃんとしていましたが、あとはみんなただ言うだけで精一杯になっちゃってるもん、そんなの観ていても楽しくないですよー。
 せりふを日本語の洒落にすればいいということではない。今誰もそんなふうにはしゃべらないのだから、非ナチュラルさがとにかく異様なのです。
 結局のところポーシャがどう頓知でケリをつけるのか知らないので、そこは知りたかったんですけどねえ…

 演出家はゲイで、アントーニオをバサーニオに岡惚れしているキャラクターとして完全に捕らえているそうですが、私にはむしろバサーニオの方が自分がアントーニオに愛されていることを十分わかっていてかつアントーニオを利用している…ように見えました。かわいそうなアントーニオ、だからこの先どうなっちゃうの?とはちょっと思いましたね。
 でもバサーニオは、毒にも薬にもならない平凡な好青年、くらいならともかく、そんなちょっとずるがしこいような嫌なヤツに見えちゃっちゃあ、ヒロインの相手役としては問題なんじゃないんですかねえ?

 藤原竜也は背が高くて、また舞台映えする顔の大きさで、意外と小柄で頭も小さい西岡徳馬とは映りが悪かったなー。カーニヴァル衣装の王子様ルックは素敵でしたが、しかし普通のシーンではなんだって彼らはスリーピースの背広姿なんですかね? いつの時代設定、いつの風俗衣装ということになっているんだ??
 シャイロックの娘ジェシカはわりと好きな京野ことみが演じていましたが、なんかヘンなキャラでしたよね…ああいうエキセントリックさがまたシェイクスピアに距離を感じさせる原因なのだった…ううううーむ…
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウクライナ国立歌劇場オペラ『トスカ』

2010年02月09日 | 観劇記/タイトルた行
 新国立劇場、2007年9月13日ソワレ。

 1800年ローマ、聖アンドレア・デッラ・ヴァッレ教会に、脱獄囚アンジェロッティ(セルヒィ・コヴニル)が身を隠す。教会でマリアの絵を制作中の画家カヴァラドッシ(ヴァレーリイ・ベンデロウ)は彼の友人で、逃亡に協力しようとするが、そこへトスカ(カテリーナ・ストラシチェンコ)がやってくる。彼女はローマで一番人気のあるソプラノ歌手で、信仰心も篤いが気性も激しい、カヴァラドッシの恋人である…作曲/ジャコモ・プッチーニ、台本/ジュゼッペ・ジャコーザ、ルイージ・イッリカ、原作/ヴィクトリアン・サルドゥ。指揮・演出/ミコラ・ジャジューラ。

 アンジェロッティがすらりと背が高くてたいそう素敵だったもので、すぐに処刑されて出てこなくなっちゃうのが残念でした。
 トスカも美人で長身で、観ていて大満足。もちろん生で聴く「歌に生き、恋に生き」はそれはそれは素晴らしかったです。
 一方のカヴァラドッシは、「星は光りぬ」も拍手の入れにくい流れになっているし、トスカと並ぶと身長が同じかむしろ低いくらいで見劣りがしてしまうのが残念でした。
 大詰め、カーテンが降りきる前に身動きし始めたのは止めてもらいたかったわ!
 いやらしく素晴らしい敵役だったスカルピア(ロマン・マイボロダー)がとてもとてもよかったです。

 思うにカヴァラドッシは、友人を命がけでかくまうし正しい政治的思想を持った好青年なんでしょうが、物語の最初からトスカとすでに恋仲なので、その魅力が語られにくい、演じにくいキャラクターになってしまっているといえるでしょう。
 対するスカルピアはその悪さを表現する場がたっぷりあるわけで、役としてはこちらの方がしどころがあって楽しいくらいなんじゃないですかね。第二幕はほぼ全編見せ場と言っていいくらいに緊迫していて、とてもとてもおもしろかったです。
 しかしお話としては本当にベタであることよ…これこそオペラの基本ではありましょう。楽しかったです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする