駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

『ヴェニスの商人』

2010年02月09日 | 観劇記/タイトルあ行
 銀河劇場、2007年9月19日ソワレ。

 貿易都市として栄えるヴェニス。アントーニオ(西岡徳馬)はこの街の裕福な貿易商だ。ある日、彼のもとに年下の親友バサーニオ(藤原竜也)が借金の申し込みにやってくる。自身の財産を使い果たしたバサーニオは、ベルモントに住む才色兼備にして大富豪の令嬢ポーシャ(寺島しのぶ)にプロポーズし、愛と富の両方を得ようとしており、その元手をアントーニオに頼ってきたのだ。あいにく全財産が海を渡る船の上にあったアントーニオは、自分を保証人として借金をするようバサーニオに勧める。バサーニオが借金を申し込んだのは、アントーニオにとっては天敵とも言うべきユダヤ人の高利貸しシャイロック(市村正親)だった…作/ウィリアム・シェイクスピア、翻訳/河合祥一郎、演出/グレゴリー・ドーラン。

 実は大変恥ずべきことに、またもったいないことに、第一幕だけ観て出てきてしまいました。上演時間が休憩込み3時間10分と長かったのと、今ひとつつまんなく思えてしまえたことと、気になる仕事が控えていたのと、天王洲が遠かったのとで…当然のようですが第二幕の方がおもしろかったそうです。ううーむ。

 しかし『お気に召すまま』のときも語ったかもしれませんが、やはりシェイクスピアはもはや現代演劇にはそぐわないのではないかとついつい思ってしまうのは、私に教養がナイからでしょうか。

 しかしもはや日本には詩文や朗読を干渉する文化がないので、あのくだくだしいセリフについていってきちんと意味を取ったりまして楽しんだりするということは、かなり至難の業であるとは言えると思うのですよ。

 やるんだったら、キャラクター設定とかドラマとかエピソードだけ使って換骨奪胎しちゃうんじゃダメなの?
 でももちろん、あのセリフこそがシェイクスピアなのでしょうね。しかし演劇人みんながみんなやりたがるほどには、お客は観たがっていないのではなかろうかという気がしてしまうのですがねえ…

 市村正親と寺島しのぶはさすがにせりふを自分のものにちゃんとしていましたが、あとはみんなただ言うだけで精一杯になっちゃってるもん、そんなの観ていても楽しくないですよー。
 せりふを日本語の洒落にすればいいということではない。今誰もそんなふうにはしゃべらないのだから、非ナチュラルさがとにかく異様なのです。
 結局のところポーシャがどう頓知でケリをつけるのか知らないので、そこは知りたかったんですけどねえ…

 演出家はゲイで、アントーニオをバサーニオに岡惚れしているキャラクターとして完全に捕らえているそうですが、私にはむしろバサーニオの方が自分がアントーニオに愛されていることを十分わかっていてかつアントーニオを利用している…ように見えました。かわいそうなアントーニオ、だからこの先どうなっちゃうの?とはちょっと思いましたね。
 でもバサーニオは、毒にも薬にもならない平凡な好青年、くらいならともかく、そんなちょっとずるがしこいような嫌なヤツに見えちゃっちゃあ、ヒロインの相手役としては問題なんじゃないんですかねえ?

 藤原竜也は背が高くて、また舞台映えする顔の大きさで、意外と小柄で頭も小さい西岡徳馬とは映りが悪かったなー。カーニヴァル衣装の王子様ルックは素敵でしたが、しかし普通のシーンではなんだって彼らはスリーピースの背広姿なんですかね? いつの時代設定、いつの風俗衣装ということになっているんだ??
 シャイロックの娘ジェシカはわりと好きな京野ことみが演じていましたが、なんかヘンなキャラでしたよね…ああいうエキセントリックさがまたシェイクスピアに距離を感じさせる原因なのだった…ううううーむ…
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