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「駿河安蘇備 上」を読む 115

裏の畑のオダマキソウ

昨日、「駿遠の考古学と歴史」講座へ出席。今年度、最初の講座である。Kさんから金谷郷土史研究会の会則や昨年度の活動報告の資料を頂く。S教授へ、当研究会の顧問になっていただきたいと頼む。無報酬で会への出席も望まないが、出来れば時々ヒントのようなアドバイスを頂ければと思う。了解していただいた。

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この所、年度初めて、各講座の初回が続いた上に、「駿河安蘇備」の難解な部分に当って、しばらく解読作業をさぼっていた。今日から再開、やっと難解部分をクリア出来た。今日から再開しようと思う。難解でストップしていたのは、「経長卿の神職への文」であった。ところが「経長卿」は「維長卿」の間違いで、原文が間違っていた。註が多くて読み辛いが、以下へ示す。

「駿河安蘇備」の上巻の解読を続ける。

これの駿河の国、水茎の岡部の社は、山難(かた)み、
※ 水茎の(みずくきの)➜「岡」および同音の地名「岡」にかかる枕詞。
かしく、木立ち物古りて、苔の緑こまやかに、実は宝
※ をかし ➜ 趣がある。風情がある。
※ 物古る(ものふる)➜ どことなく古びる。 古めかしくなる。
のさま、厳しく、いと神さびにたり。されば、霞
※ 厳し(いつくし)➜ おごそかだ。いかめしい。
※ 神さび(かんさび)➜ 古めかしくて閑寂であること。
たつ春の日暗し、紅葉(もみじ)する秋の日暮も、すは更なり
※ すは更なり(すはさらなり)➜ それは言うまでもない。
月の夕べ、雪のあした(朝)に、毎(ごと)、宮居を、野遊ばい
(つど)える処になもありける。かゝるうまし処を、兼(か)ねて
占い知りてかも。我が遠つ祖(おや)、兼輔、前つ君
※ 遠つ祖(とおつおや)➜ 先祖。祖先。
※ 前つ君(まえつきみ)➜ 天皇に仕える高官の総称。
千木片削ぎ、麗(うるわ)しく、瑞垣造り給いつらむ。
※ 千木片削ぎ(ちぎかたそぎ)➜ 千木の端の片角を削ぐこと。また、削いだもの。水平に削ぐ場合(内削ぎ)と、垂直に削ぐ場合(外削ぎ)がある。
※ 瑞垣(みずがき)➜ 神社などの周囲に設けた垣根。玉垣。
そも八幡(やはた)の大神とは、かけまくもかしこき、
中津彦の天皇(すめろぎ)の皇子、品陀和気の命(みこと)ぞ。
※ 足仲彦(たらしなかつひこ)➜ 第十四代 仲哀天皇。
※ 品陀和氣(ほむだわけ)➜ 第十五代 応神天皇。
この命、よろずに聡(さと)く、身(うつく)しみはた、深く
※ 慈しむ(うつくしむ)➜ 大切にする。愛する。
※ はた ➜ さらにまた。そのうえまた。
まし/\ければ、そらみつ大和は、言うも更なり。
※ そらみつ ➜ 「大和(やまと)」にかかる枕詞。「そらにみつ」とも。
ことさえく唐国(からくに)までも、まつろわぬ国なかりしと
※ ことさえく ➜ 「韓」「百済」と同音語を持つ地名にかかる枕詞。
※ まつろわぬ(服わぬ)➜ 帰順しない。従わない。
なん。あなかしこ。あな尊(とうと)たるの命(みこと)御稜威場に。
※ あなかしこ ➜ ああ恐れ多いことよ。
※ 御稜威(みいつ)➜ 天皇や神などの威光。
  天保十余り五つと聞ゆる年の文月    正三位維長
     (天保十五年七月)
(つづく)

読書:「閻魔裁き 2 雨乞い美女が消えた」 風野真知雄 著
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