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「竹下村誌稿」を読む 256 駅路 27

(散歩道のムラサキシキブの実)

ムラサキシキブの実がこんなに色付いて来た。暑い暑いと言っている間に、日も随分短くなって、夕暮れも早くなってきた。

磐田のOAさんからコメントに書き込みがあった。以前に「遠州濱松軍記」の解読をして、このブログに載せていたが、それを見てのコメントで、一度会って話をしたいということで、明後日、掛川で会うことにした。

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「竹下村誌稿」の解読を続ける。「小夜の中山の題詠」を羅列するが、それほど難解な詠はなさそうである。

  古今(和歌集)
   かいがねを さやにも見しが けゝれなく 横ほりふせる 小夜の中山

  同         紀友則
   東路の さやの中山 なか/\に いつしか人を 思いそめけん

  後撰(和歌集)   源宗宇朝臣
   東路の さやの中山 なか/\に 逢い見てのちぞ 恋しかりける

  千載(和歌集)   八条前太政大臣
   夜な/\の 旅寝の床に 風さえて 初雪降れる 小夜の中山

  同         権律師覚辨
   旅寝する 木の下露の 袖はまた 時雨降るなり 小夜の中山

  同         壬生忠岑
   東路の さやの中山 さやかにも 見えぬ雲井に 世をや尽くさ

※ 雲井(くもい)- 雲のある場所。雲のたなびいている所。
※ 世を尽す(よをつくす)- 一生を終える。


  壬生(二品)
   旅人の 草の枕に 置く太刀の 小夜の中山 今日や越えなん

  新古今(和歌集)  西行法師
   年たけて また越ゆべしと 思いきや 命なりけり 小夜の中山

  同         藤原雅経
   古郷の 今日の俤(おもかげ) 誘うこと 月にぞ契る 小夜の中山

  同        (藤原)家隆
   古郷に 聞きし嵐の 声も似ず 忘れぬ人を さよの中山

  同        (藤原)有家
   岩ヶ根の 床に嵐を 片敷きて 独りや寝なん 小夜の中山

※ 片敷き(かたしき)- 袖の片一方だけを敷いて、独り寂しく寝ること。

  新勅撰(和歌集) (藤原)家隆
   光り添う 木の間の月に おどろけば 秋も半ばの さよの中山

※ おどろく(驚く)- はっと目をさます。

  続古今(和歌集)  参議雅経
   古郷を 見はてぬ夢の かなしきは 臥す程もなき 佐夜の中山

  同        (藤原)家隆
   冴え昏(くら)す さやの中山 なか/\に これより冬の 奥もますらし

  同         中務卿親王
   いかに寝て 夢もむすばん 草枕 あらし吹く夜の さやの中山

(「小夜の中山の題詠」つづく)
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