平成18年に60歳を迎える。六十と縦に書くと傘に鍋蓋(亠)を載せた形である。で、「かさぶた(六十)日録」
かさぶた日録
「竹下村誌稿」を読む 256 駅路 27
ムラサキシキブの実がこんなに色付いて来た。暑い暑いと言っている間に、日も随分短くなって、夕暮れも早くなってきた。
磐田のOAさんからコメントに書き込みがあった。以前に「遠州濱松軍記」の解読をして、このブログに載せていたが、それを見てのコメントで、一度会って話をしたいということで、明後日、掛川で会うことにした。
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「竹下村誌稿」の解読を続ける。「小夜の中山の題詠」を羅列するが、それほど難解な詠はなさそうである。
古今(和歌集)
かいがねを さやにも見しが けゝれなく 横ほりふせる 小夜の中山
同 紀友則
東路の さやの中山 なか/\に いつしか人を 思いそめけん
後撰(和歌集) 源宗宇朝臣
東路の さやの中山 なか/\に 逢い見てのちぞ 恋しかりける
千載(和歌集) 八条前太政大臣
夜な/\の 旅寝の床に 風さえて 初雪降れる 小夜の中山
同 権律師覚辨
旅寝する 木の下露の 袖はまた 時雨降るなり 小夜の中山
同 壬生忠岑
東路の さやの中山 さやかにも 見えぬ雲井に 世をや尽くさん
※ 雲井(くもい)- 雲のある場所。雲のたなびいている所。
※ 世を尽す(よをつくす)- 一生を終える。
壬生(二品)集
旅人の 草の枕に 置く太刀の 小夜の中山 今日や越えなん
新古今(和歌集) 西行法師
年たけて また越ゆべしと 思いきや 命なりけり 小夜の中山
同 藤原雅経
古郷の 今日の俤(おもかげ) 誘うこと 月にぞ契る 小夜の中山
同 (藤原)家隆
古郷に 聞きし嵐の 声も似ず 忘れぬ人を さよの中山
同 (藤原)有家
岩ヶ根の 床に嵐を 片敷きて 独りや寝なん 小夜の中山
※ 片敷き(かたしき)- 袖の片一方だけを敷いて、独り寂しく寝ること。
新勅撰(和歌集) (藤原)家隆
光り添う 木の間の月に おどろけば 秋も半ばの さよの中山
※ おどろく(驚く)- はっと目をさます。
続古今(和歌集) 参議雅経
古郷を 見はてぬ夢の かなしきは 臥す程もなき 佐夜の中山
同 (藤原)家隆
冴え昏(くら)す さやの中山 なか/\に これより冬の 奥もますらし
同 中務卿親王
いかに寝て 夢もむすばん 草枕 あらし吹く夜の さやの中山
(「小夜の中山の題詠」つづく)
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