goo

「竹下村誌稿」を読む 165 竹下村 25

(掛塚の路傍のヤマボウシ)

午前中、古文書講座の有志で、掛塚(磐田市)の旧津倉邸の見学に行ってきた。大変興味深いことも聞いて来た。その話はまた後日書こうと思う。

午後は「駿遠の考古学と歴史」講座に出席した。今月の南部センターの資料をST先生に持って帰ってもらう。今月は仏教と漢詩の難しい所へ入る。

********************

「竹下村誌稿」の解読を続ける。

同年(元禄七年、1694)四月八日、横岡村観勝寺(本村、常安寺本寺)に於いて、梵鐘を鋳造し慶讃式あり。常安寺当住、鐡禅師、これが願主たり。その鐘銘に曰く、
※ 慶讃(けいさん)- 仏像・経巻・堂塔の完成を祝うこと。

  花鯨新中梵王宮      花鯨新たに、梵王宮の中
  朝打暮敵振祖風      朝に打ち、暮に敵(う)ち、祖風を振るう。
  聲徹大千耳功徳      声(鐘声)大いに徹し、千耳に功徳あり。
  一門入理證圓通      一門、理證円通に入る。

※ 花鯨(かげい)-「花」は美称。「鯨」は大きいものの譬え。(ここでは梵鐘のこと)
※ 梵王宮(ぼんおうきゅう)-(仏語)寺。寺院。
※ 祖風(そふう)- 祖師の遺訓にもとづく家風・宗風のこと。
※ 千耳(せんじ)- 千の耳。鐘声を聞くたくさんの衆生。
※ 理證(りしょう)-(仏語)その教説が真理であることを道理性をもって証明すること。
※ 円通(えんつう)-(仏語)智慧によって悟られた絶対の真理は、あまねくゆきわたり、その作用は自在であること。


元禄七甲戌初夏、仏生日。飯盛山観勝禅寺、七世住持雪山嶺瑞。竹下村常安寺、願主鐡禅。
壱番鐘、横岡村 北川七郎右衛門、同苗次郎右衛門、釜谷 内藤五郎右衛門、番生寺 大石平右衛門。
弐番鐘、潮 増田庄次郎、大代 渡辺三郎右衛門
銘門の衆、竹下村 横山次兵衛、影山三郎左衛門
※ 仏生日(ぶっしょうにち)- 四月八日の釈迦誕生の日。
※ 同苗(どうみょう)- 同姓。同族。


とあり。横山、影山二氏、今は祀らず。この観勝寺は曹洞宗にして、天正二年(1574)三月、第二世開闢在仙大存和尚、同十一年(1583)十一月寂す。年九十余。初め和尚、草庵を志戸呂に結び、可睡斎第十二世、一株の法嗣、宗山和尚を請じて、開山となす。(可睡斎古記録に、志戸呂村観勝寺とありと云い、而も志戸呂に遺蹟を存す)数世の後、横岡に移りて飯盛山と号す。(寺の対岸に相賀山あり。その形、あたかも椀に飯を盛るに似たり。故に名とする)
※ 法嗣(はっす)- 師から仏法の奥義を受け継いだ者。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )