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道聴塗説 その七 3

(散歩道のハナニラ)

電話で、明日午後、神座Y宅を来訪する約束をする。預かった古文書の残り半分、「明治元年の御触れ書き写覚え」が、解読を終ったので渡すためである。明治になると文書が途端に難しくなり、少し時間が掛かってしまった。

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「道聴塗説 その七」の解読を続ける。

正信偈に、「邪見憍慢、悪衆生、信楽受持、甚だ以って難し」とある、これなり。
※ 正信偈(しょうしんげ)- 正信念仏偈。真宗の要義大綱を七言60行120句の偈文にまとめたものである。同じ親鸞撰述の「三帖和讃」とともに、本願寺第8世蓮如によって、僧俗の間で朝暮の勤行として読誦するよう制定され、現在も行われている。
※ 邪見(じゃけん)- 正しくない見解。よこしまな考え。
※ 憍慢(きょうまん)- うぬぼれて人を見くだすこと。おごりたかぶること。
※ 信楽(しんぎょう)- 教えを信じ喜ぶこと。阿弥陀仏の本願を信じて疑わないこと。
※ 受持(じゅじ)- 教え、特に仏の教えを銘記して忘れないこと。


然るに、この邪見憍慢の人を本願の非機とし給うを疑うものあり。五逆謗法だにも往生するに、何ぞ邪見憍慢の機を嫌い給うやと。今、按ずるに、常の邪見憍慢は廻心して生ずべし。これに嫌うは、愚禿鈔に「二河喩釈して、悪見人等と言うは、憍慢懈怠、邪見疑心の人なり」と仰せられたり。
※ 愚禿鈔(ぐとくしょう)- 親鸞の著作で、浄土教の先徳の教えを通して親鸞自身の信心 の立場を明らかにした論書である。上下2巻からなるため『二巻鈔』ともいう。
※ 二河喩(にがひ)- 浄土教における極楽往生を願う信心の比喩。
※ 釈す(しゃくす)- 文章・語句などの意味をわかりやすく説明する。
※ 悪見(あくけん)- 仏教に反する誤った考え・学説。


然れば、念仏の法に於いて、憍慢邪見の人を嫌い給う。この法は恭敬専要とするに、憍慢に恭敬なり。また他の念仏者に対して、我は勝れりなど、事々に憍慢の心あらば、他力には非ず。自力なり。凡夫、報土に生ずるは他力による故なるを、何を我が働き手柄して、憍慢するや。少しでも往生の法に憍慢あるは、自力の手柄を表わすものなれ。他力には非ず。これ故に、信楽受持すること、甚だ以って難し。
※ 恭敬(きょうけい)- つつしみ、うやまうこと。
※ 専要(せんよう)- 最も大事なこと。きわめて大切なこと。
※ 報土(ほうど)- 報身仏の住する世界。阿弥陀仏の極楽浄土もその一。
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