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野田村の一紙文書2通 - 駿河古文書会

(庭のゼラニウムの鉢)

午後、駿河古文書会で静岡へ出掛ける。今日は自分の当番で、前へ出て解読文の発表をした。以下にその内容を読み下し文で示すが、ある程度自信があって発表したにもかかわらず、何ヶ所か間違いの指摘があった。まだまだ未熟といったところである。

解読した文は野田村から出た一紙文書2通である。よく調べてみると、野田村は現在の島田市野田のことであった。

    一札の事
一 野田村庄屋佐次右衛門、長々病気の上、相果て、跡役の義、村中相談為し候処、同人存生中、反別帳、先前より調べの儘にて、庄屋四代取り用い、高差し引入狂い、張り紙、書き入れなど見え、煩わしく、殊に近年荒地高、旁(かたがた)以って、調べ替えたく取掛り、何分大数にて、調べ容易ならず、終に仕果てず相果て候に付、今度跡役の義、同人忰城一郎へ取り極め、追々反別取り調べ候定(じょう)、相違御座なく候。
※ 先前(せんぜん)- 以前。

然る処、これまでの義、前書の通り申し暮らし候のみにて、済し来り候義に付、当酉年より御年貢帳請け払い残米これ有る分は、相当の相場を以って、村入用(にゅうよう)に差し加え、已来反別帳出来(しゅったい)までは、その形を以って年々取り調べ、過不足とも村入用にて、延び縮みを合わせ、村役人、長(おさ)百姓立ち会い、得失なく勘定致すべく、尚この余にも村方難渋の廉(かど)これ有り候わば、仮令仕来り候とも、村役人相談に及び、改革致すべく、取り調べ、示談を極め、相違御座なく候。そのため一札差し出し申す所、よって件の如し。
  文久元年             野田村    城一郎
    酉八月              小前惣代 延蔵
                         〃   奥左衛門
                         〃   佐助
                         〃   太右衛門
                         〃   兵右衛門
                         〃   兵助
                         〃   嘉右衛門
                      百姓代   由右衛門
                      与頭     権十郎
                         〃   清右衛門
                         〃   才次郎
                         〃   代次郎
   廣住孫右衛門殿


    村中永続のため取り究め
一 先庄屋佐次右衛門殿、勤役中の内、私の宿意を以って、組頭中並びに小前一統、難儀致し候事
※ 宿意(しゅくい)- 前々から持ちつづけてきた考え。年来の希望や志。かねてから抱いている恨み。宿怨。宿恨。
一 村中寄合、講他寄合に出候ても、その場にて談ず事の始終を告ぐ候事
一 寄合その外の節、立ち聞きがましきもの、見付け次第、人どうにかゝわらず、改め申すべき事
 附り、見逃し候もの、これまた同類の事
一 御用は格別無用にても、長座致し、追従、軽薄申すまじく候事
一 村中何事に寄らず、迷惑に及び候義、これ有り候節は、早々村役人へ申し出で、相談請くべき事
一 村中一統の義を、壱人立ち掛り抜けて、忠孝がましき義致し、却って諸人難儀に及ぶ事
一 村中仕来りとも、よろしからざる義、これ有り候わば、改革致すべく候事

右は村中永続のため、前箇條の通り取り究め候上は、一統よくよく相心得、已来、先方より何れの義、談じ事これ有り候ても、その人得心致さざる義候わば、村役人に申し出相談の上、とくと相考え、利違いの義に候わば、村役人より掛け合い申すべく候。若し掛け合い候ても、用いざる時は、よんどころなく連印の面々相談に及び、その時のもように取り計い申すべく候。

なお又、一統心得これ有る義は、追従、軽薄など決して申すまじく、只々村中無事に永続のみ相考え、相互いに実意を心掛け、不実の義出来ざる様、致すべく候。万一前取り究めの通り、相背き候ものこれ有り候節は、用捨なく押し込め申すべく候。

右箇條の通り取り究めの上は、決して違変致しまじく候。後證のため、連印一札、よって件の如し。
   文久元年(1861)     組親     奥左衛門
     酉八月          小前惣代  円兵衛
                     〃     政兵衛
                     〃     幾兵衛
                     〃     八太夫
                     〃     文五郎
                    組親     佐七
                    小前惣代  平十
                     〃     平四郎
                    組親     太右衛門
                     〃     兵右衛門
                     〃     兵助
                    小前惣代  権右衛門
                     〃     藤右衛門
                     〃     留右衛門
                    組親     嘉右衛門
                    小前惣代  豊兵衛
                     〃     清兵衛
                     〃     栄次郎
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