平成18年に60歳を迎える。六十と縦に書くと傘に鍋蓋(亠)を載せた形である。で、「かさぶた(六十)日録」
かさぶた日録
聞こえる、聞こえない
昼前にソフト会社で、聞こえる、聞こえないと、一台のノートパソコンを前に、評定が始まった。30代後半のM君とH君は聞こえるといい、50代のY氏とO氏は聞こえない派である。ノートパソコンのディスクかファン辺りで警報音のような高い音がしているという。自分も割り込んで耳を近づけてみるが、全く聞こえない。おそらく「モスキート音」が出ているらしい。パソコンにとっては異常音で、放って置くとパソコンクラッシュの原因になるかもしれない。
聞こえる、聞こえないの話は平行線に終わり、もっと若い人に聞いてみようということになった。20代半ばのY君の帰りを待ち、午後、Y君の立会いの下、再度確認した。かなりはっきりと音が出ているという。聞こえない50代も納得せざるを得なかった。
高周波の音は人の耳には年齢とともに聞こえ難くなる。個人差があるが、20代後半以降の人にはだんだん聞こえなくなる。そのような音域の音を「モスキート音」と呼ぶ。
この性質を利用してイギリスの企業 がセキュリティーシステムを開発した。小型スピーカーから17キロヘルツという、非常に高周波数のブザー音を流す装置を販売した。この音声を流すと、聞こえるものにとっては、かなり耳障りで、強い不快感があるという。
この装置を設置すると、レストラン・書店などで、店内に長く居座っている若者を追い出すとか、スーパーの敷地内などで迷惑行為をする若者を排除するとか、万引きをしようとする若者を牽制するといった効果があった。ただし、高周波数の可聴範囲には個人差が大きく、若年層以上でモスキート音が聞こえるために、強く不快に感じる人も出るといい、追い出したくない人まで追い出しかねない逆効果が出る場合もある。
2009年5月、東京都足立区は自治体初の試みとして、若年層の迷惑行為が目立っていた区立北鹿浜公園に、英国製の17.6khzの不快音を3分毎に出す装置を設置し、2010年3月まで検証するという。迷惑行為をするより年上の人たちへの対策や、迷惑行為をする意思のない若年層も追い出す結果になるという問題も残っている。あの結果はどうなったのであろう。もう終って2ヶ月経つが、結果の報道に接していない。
さて、中年以降の聞こえない層の人には、その音が出ているかどうかの計測器が欲しいという話になった。パソコンの保守などをする際には早期対策のためにそういう装置が必要になるかもしれない。
鳩山総理が辞任のニュースを放映しているテレビを尻目に、聞こえる聞こえないのジェネレーションギャップが話題を呼んでいた。聞こえない派に属する自分には少なからず悔しさが残る。
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