平成18年に60歳を迎える。六十と縦に書くと傘に鍋蓋(亠)を載せた形である。で、「かさぶた(六十)日録」
かさぶた日録
憲法違反の判決が出た銃規制
アメリカの最高裁判所がシカゴで行っている銃規制を憲法違反との判決を出した。そのニュースに接して、二つのことに驚いた。
一つはアメリカの中でも銃規制をしている都市があったということである。それも、過去にギャングの巣窟のように言われてきたシカゴで実施されていたことである。シカゴでは銃の所持は許可制になっていて、現実には許可が出ることはほとんど無いため、ほぼ所持禁止に近いという。シカゴは銃規制をはじめてから、銃による殺人の数が半減したといわれている。
驚いたことのもう一つは、銃規制が憲法違反だとする裁判所の判決である。アメリカの憲法は武器携帯の権利を認めている。その憲法が州や市の法令よりも優先すると裁判所は判断した。シカゴの銃による犯罪被害者が半減したという実績は全く考慮されることがなかった。現在、銃規制に反対しているのは全米ライフル協会という圧力団体である。その協会がシカゴ市民を動かして訴訟を起こしたという。
憲法は合衆国成立の当時に自己を守る為に銃を持つ権利を認めるという、西部劇の時代の亡霊のようにみえる。現代に聞こえてくるのは、罪も無い学校の生徒などが無差別の銃撃によって何十人も殺されるという悲惨なニュースばかりである。それでも銃を製造販売している協会の力で、銃の規制に踏み切れない。アメリカという国はまったく乱暴な「ならずもの国家」だと言われても反論できないと思う。
無差別の銃撃に対しては自宅に銃を所持していても、役には立たない。もし、自分を守りたいならば、公共の場所には全員銃を持って出かけなければ、銃を持つ意味がないことにはならないだろうか。最大の防御は銃規制を強めて、銃を野放しにしないこと、こんな簡単な理屈を200年前の憲法を持ち出して否定する。アメリカは基本的に恐ろしい国であると考えておかねばなるまい。
しかし最高裁の判決は賛否が5対4だったということに、まだ希望があると思った。ただ銃規制に賛成しているオバマ大統領に、銃規制を進めるパワーが残っているかどうか。注目したい。
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