平成18年に60歳を迎える。六十と縦に書くと傘に鍋蓋(亠)を載せた形である。で、「かさぶた(六十)日録」
かさぶた日録
四川大地震-愛国的ボランティア
四川大地震が起きて、大災害の情報に接して、中国国内では特に若者を中心に被災地のために何かをしたいと、四川へ四川へとボランティアが詰めかけているという。それはまさに阪神淡路大震災のときにも起こった現象で、当時、現代の若者たちも捨てたものではないと見直したことを思い出す。ところが今、ネットで情報が飛び交い愛国心の発動として四川にボランティアにやってくる、若者たちの行き過ぎた活動ぶりが当局を困惑させている。
連日繰り返し放送される救助隊の活躍や奇跡の生還劇が、テレビを通じて中国の若者のナショナリズムを刺激して、現地の災害ボランティア登録所には、中国各地からこれまでに6万人あまりの申し込みが殺到しているという。
チベット問題を巡る中国批判、聖火リレーでの抗議行動、それに対する反仏デモと不買運動などで、火が付いた中国青年の愛国心の発露が、今度は大地震後の愛国的ボランティアに向けられたのであろう。被災地では何が必要とされているのか、偏った報道ではなかなか判らない。何が求められているか判らないまま、煽られるように被災地を目指して行く。被災地では当局が関知しない「救災」と貼り紙した自家用車が走り回り、交通や通信に障害になっている。そして、とうとう、地元当局は愛国的ボランティアの自粛を求める異例の新聞広告を掲載したという。
一方、中国国内では四川大地震救援の募金活動が過熱し、職場や個人のカンパ額を競い合い、個人が拒否できない現象が広がっている。金額で人の良心を測る風潮は海外から見ると異常な動きである。
こういう状況に批判的な一部企業家が反発する動きに出た。中国の代表的な不動産会社「万科」の王石総裁は、理事会で決めた200万元を募金に応じたが、自分を含め社員個人のカンパ額を10元以内とした。また、有名IT企業の「アリババ」の馬雲会長は自らは1元しか出さないと宣言した。両氏は、企業も個人も多額の納税をしており、災害救援は政府の責任で個人が生活に響くような負担を負うべきではないという。非難はごうごうであるが、両氏は引き下がる気配はない。バッシングがエスカレートするようだとまたまた国際的に顰蹙を買う。
愛国的行動も過熱すると異常な状況を引き起こす。特に情報が長年統制された国ではなおさらである。次の愛国心の発露はおそらく北京オリンピックに向かうのであろう。大変困難な中で開かれるオリンピックだからこそ、中国青年の愛国心は頂点に達する。あくまでもスポーツ観戦のマナーを守って、応援が過熱しないようにといっても無理かもしれない。来週、そんな中国にまた行って来る。
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