平成18年に60歳を迎える。六十と縦に書くと傘に鍋蓋(亠)を載せた形である。で、「かさぶた(六十)日録」
かさぶた日録
“やらせ”はだめです!
関西テレビの「あるある大辞典」に続いて、TBSでも“やらせ”があったと、今日お昼のニュースで報道された。風鈴を扱った番組で、風鈴の音を聞いていると頭が良くなるという、普通考えても笑ってしまうテーマで放送し、ある学習塾では風鈴を鳴らしながら授業をしていると放映した。その実はスタッフが風鈴を持ち込んでつるし、撮影させてもらったのだという。
その放映後、視聴者が風鈴を買いに走ったかどうかは知らない。しかし風鈴業界ではありがたい放映であった。風鈴の音を聞いて気分が悪くなる人もいないだろうから、実害は無いし、話はほとんどジョークで、信じて買ったほうがどうかしている。ただ安易な番組作りを余儀なくされている担当ディレクターに、同情したいくらいである。
もう50年ほど前、小学校の高学年の時に、故郷のA新聞社支局長の娘、Uさんが同じクラスにいた。田舎の小学校では言葉使いからその行動まで、大変目立つ存在であった。ある時、父親の支局長が小学校に取材に来た。折から衛生週間で小学校の取組みを記事にしたいと思ったのだろう。クラス担任に取材したが、聞いてもうまい記事にはならない。数人の生徒を半円形に並べて、机に手を付かせ、「皆んなで爪の検査をする生徒たち」といったキャプションをつけて、A新聞の地方欄に出してしまった。
その記事を見て娘のUさんは、親と担任の先生それぞれに「やってもいないことを作って報道するのはおかしい」と抗議をしたという。抗議を受けた大人たちがどんな風に弁解をしたのかは聞かなかった。「やらせ」という言葉も無い時代に、12歳の子供がそれだけの批判力を持っていたのは驚きである。
この話はクラス会の度に担任の教師から、あの時は困ったという感想とともに何度も聞く。その後、Uさんは親と同じA新聞社に、最初はアルバイトで入り、その後記者になって、定年を迎えるまで勤めたはずである。小学校の時の純粋さをどこまで保てたのだろう。その後の記者人生で“やらせ”をやらなかったのかどうか、今度、クラス会があったら聞いてみよう。
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