河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2493- マイスタージンガー、ヘンツェ、ラ・セルヴァ・インカンタータ、エロイカ、シュテンツ、新日フィル、2018.2.8

2018-02-08 23:43:39 | コンサート

2018年2月8日(木) 7:00pm サントリー

ワーグナー ニュルンベルクのマイスタージンガー、第1幕への前奏曲  10′

ヘンツェ ラ・セルヴァ・インカンタータ  1-4-2-2-2

Int

ベートーヴェン 交響曲第3番変ホ長調エロイカ  16-14-4-11


シュテンツ、新日フィルは先週に続き2週目。
2491- ハイドン、哲学者、驚愕、ヘンツェ、7番、マルクス・シュテンツ、新日フィル、2018.2.2
2492- ハイドン、哲学者、驚愕、ヘンツェ、7番、マルクス・シュテンツ、新日フィル、2018.2.3、アゲイン

今日のメインディッシュのエロイカは先週のハイドン哲学者、驚愕と同じく弦をスプリットのミラー配置にしたもの。14-14-10-8-6。ヴァイオリンは対向でヴィオラをセンターに置いて、チェロとコントラバスは右左に半分ずつ。それと、同じくノンヴィヴな演奏スタイル。
提示部リピートあり。頭の2楽章で30分。曲としてはここで言いたいことを大半言い尽くした感があるが、今日のシュテンツの振るエロイカは大変魅力的でグイグイと引き込まれていく。
冒頭2個の打撃音のみ明確な3拍子振り。このスタイルで通すと思いきや全くそうでもなくて、ストレートな表現にウエイトを置きながらもエモーショナルな行書体。揺れ、奥行き、ダイナミクス、律動、アクセント、等々、作品を全方位から照らし出したもの。演奏の持つ力を総動員。3拍子から2拍子に変則攻撃するベートーヴェンの技が凄いが、そのあとの弦のしぼませる刻みの無数にちりばめられた表現の妙。わずか数小節でこうだ。このてのことがあちこち、最後まで幾つもの玉手箱を次から次と開いていく様な具合でフレッシュな響きが至る所にある。今生まれたばかりの活き活きした活力ある表現、ささくれ立つことの無い柔らかいオケサウンドがシュテンツの意図を見事なまでに汲み圧巻の美演。

ミラー配置、エモーショナルでストレート、ノンヴィヴ、色々なものが混ざり合っている。柔らかみのあるオケ表現はそれらを全てのみ込んで噴出させた演奏で独特の暖かみのあるサウンド。まぁ、流れに身を任せるというのはこういうことを言う。実に心地よい。
作品が大きく屹立するのを眺めるこの聴後感、気持ちのいいこと。ビューティフルパフォーマンス、エロイカ満喫。

思うに、上岡さんが音楽監督になってから、呼ぶ指揮者ラインナップがますます充実。大家は大家を知るとでも言おうか。鮮やかな演奏が続いている新日フィル、今回のシュテンツはもう一段、なにやらアップ。上岡さんがオケに火をつけ、呼応するようにオケも何か忘れていたものを思い出したように、取り戻したように、溌剌としている。一心同体とはこういうことを言うのだろう。シュテンツさんを、手始めに首席客演指揮者といったあたりで呼んで欲しい。もじゃもじゃさんともいい雰囲気だし。

シュテンツを聴いたのは、2010年N響復活、2016年読響第九、そして今回の新日フィル。どれもこれも素晴らしいですね。演奏が活き活きしていて。素晴らしい指揮者ですね。

前半プロは最初がマイスタージンガー前奏曲。バスの透明で雄弁な響きがものすごく魅力的、威力もあります。シームレスで自然な正三角錐音場構成はお見事。シュテンツの棒で前奏曲のあと、80分、60分、120分、全曲聴きたくなりますね。1曲目から実にいい演奏でした。大人の棒。

次のヘンツェ、先週の7番に続くヘンツェ作品の披露ということになります。
自作のオペラ魔の王からピックアップしてまとめたもので曲題は魔法の森という意味のよう。3部からなると書いてあるが、聴いていると、短い序奏があってしっとりとした音楽に続き徐々にリズミックになっていく。序奏を含め5つの連続するピースのように聴こえてくる。
このピースから何か閃きのようなものを見つけ出すのは簡単ではない。もう少し聴いてみないとわからない。とはいえヘンツェ独特のダークブルーなサウンド音色、これはこれで魅力的なところがあり、とりあえず響きを食べる感じで。

ということで、シュテンツさんの今回の公演、どれもこれも満足。ありがとうございました。
おわり


2492- ハイドン、哲学者、驚愕、ヘンツェ、7番、マルクス・シュテンツ、新日フィル、2018.2.3、アゲイン

2018-02-03 19:06:02 | コンサート

2018年2月3日(土) 2:00pm トリフォニー

ハイドン 交響曲第22番変ホ長調 哲学者  6-5-3-3

ハイドン 交響曲第94番ト長調 驚愕  8-6-4-4

Int

ヘンツェ 交響曲第7番  11-12-5-8


マルクス・シュテンツ 指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団


前日に続いて日参。
2491- ハイドン、哲学者、驚愕、ヘンツェ、7番、マルクス・シュテンツ、新日フィル、2018.2.2

前日はいつもの定期席で今日は別角度の一回券の席。
ノンヴィヴを割と自然に溌剌と弾いているのはセカンドヴァイオリンとヴィオラのようだ。ファーストヴァイオリンは少しぎこちないかたが散見され。ボウイングは譜によるところが大きいのかもしれぬ。
昨晩同様、すっきりしていて柔らかい物腰のサウンドが魅力的、シュテンツのコントロール、それに納得しているプレイヤーたちの動き。オーケストラ演奏の醍醐味を満喫。


後半のヘンツェの7番の印象は昨晩と同じ印象。
終楽章のシュテンツ、フィニッシュモーションは昨日同様、棒を持たない左手の指を天に向けてストップポーズとなるのだが、同時に弦奏者の弓も全員上向きとなり同じくストップ。何やら乱立する木々のようにも見え、作品のカオスのような楽章に効果的なフィニッシュ。
それが、昨晩よりやたらと長いポーズで、誰も動かないし指揮者も動かない、誰も拍手もしない。しばらくカオスの空中浮遊を楽しんだ後、ようやくシュテンツの合図で拍手。
スケルツォ的な3楽章のフィニッシュがこの終楽章のモーションと同じ形であるため、客のほうも3楽章でも見たな感、があったので、はてさて、ここは拍手のタイミングなのかなと一瞬澱んだのかもしれない。
や、や、みんな、よく聴いてるわ。楽しかった。
おわり


2491- ハイドン、哲学者、驚愕、ヘンツェ、7番、マルクス・シュテンツ、新日フィル、2018.2.2

2018-02-02 23:31:03 | コンサート

2018年2月2日(金) 7:00pm トリフォニー

ハイドン 交響曲第22番変ホ長調 哲学者  6-5-3-3

ハイドン 交響曲第94番ト長調 驚愕  8-6-4-4

Int

ヘンツェ 交響曲第7番  11-12-5-8


マルクス・シュテンツ 指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団


気鋭の指揮者によるハイドン2曲とベルリンフィル創立100周年記念委嘱作品のヘンツェの7番シンフォニーをカップリングしたプログラム。
ハイドンは色々と趣向を凝らした演奏、ヘンツェはドイツ正面突破の作品にふさわしいシュテンツの熱演。

教会ソナタフォルムの哲学者。新日フィルの柔らかい音、真綿のような音色、それでいてストレートなノンヴィヴが活き活きした活力みなぎる演奏で心地よさがなんとも言えず天にも昇るアトモスフィアを醸し出す。
柔らかさの極みと活き活き活力のコンビネーション。オケの配置も奏功しているのか。
12-12-8-6-4(たぶん)で、指揮者の先にヴィオラ8、そこを中心に他弦をミラー風にスプリットした対向配置。ベース左右2ずつ、チェロ左右3ずつ、ヴァイオリンは左右12ずつ。
第1楽章ではホルン2本がステージしもてで立ち吹き。同じくかみてではイングリッシュホルン2本立ち吹き。横幅が大きくとられた空間で弦も集中するセットアップというよりは拡散系の配置。絶妙な棒無しシュテンツのパースペクティヴがよく効き、コントロールもさえわたる、これがその柔らかハイドンの極意なのか。今出来上がったような作品に触れるような新鮮な肌ざわり。素晴らしい。ハイセンスの塊のようなシュテンツ、見事な演奏のオーケストラ。ビューティフルですなぁ。

次の驚愕。弦は同じまま管が増幅。それで柔らか活き活きサウンドは不変。本格的なシンフォニー、序奏の奥行き感、そのままフェザータッチの主部。
第2楽章始まるや、しもてのベースさんがややかみてサイドの管にカツ。びっくり目が覚めるというしかけ。なかなか洒落た趣向。存分に楽しめた驚愕。
ハイドン哲学者、驚愕、共通項の多い演奏はシュテンツのスタイルでしょうね。お見事な演奏、堪能しました。

後半のヘンツェ。
お初で聴く作品。ざっくり、第1楽章はリズム、シンコペーション気味のよく聴くとジャジーな雰囲気もある。次の2楽章は緩徐楽章でこの作品中、一番長い。弦のメタリックに押し込んだような流れと管とパーカスによる盛り上がり、最後は調性を感じさせながらシュトラウスの死と変容のような響きを醸し出しながら終わる。3楽章はスケルツォ風、第1楽章のリズムと似ているようなところもある。終楽章はリズムと流れがカオスのようになり突然終わりをむかえる。
3,4楽章は音圧的力感が圧倒的だが、1,2楽章に比してバランスが今一つで、尻つぼみ的な印象。第2楽章の質感が山頂といったところか。

突然の終止はシュテンツが棒を持たない左手の指を天に指したまま、じっとしてしばらく動かず、余韻の消えるのを待つ。

曲の構成は分かりやすくて、最初の泡立ちのようなウィンドから始まって色々と趣向を凝らしフィニッシュに向かうその進行は分かりやすい。響きにとっつきにくさは無くて、覚えれるような節は無いがそれでももう一度聴こうかなという気持ちにはなる。

シュテンツは作品共感の棒でオーケストラの音がシュテンツの身体に巻きついていくような説得力の大きなもの。オーソリティがオーケストラの音を作っていったというのがよくわかる新日フィルの熱演でした。ハイドンからがらりと変わった大規模16型でウィンド、管、パーカスも思いっきり増幅。弦のなめし皮のような流れ、ウィンド、ブラスセクションのハーモニーと刻みの柔らさ、パーカス類の引き締まった表現。高濃度の演奏を満喫できました。

明日もう一度、聴きます。
おわり