2018年2月8日(木) 7:00pm サントリー
ワーグナー ニュルンベルクのマイスタージンガー、第1幕への前奏曲 10′
ヘンツェ ラ・セルヴァ・インカンタータ 1-4-2-2-2
Int
ベートーヴェン 交響曲第3番変ホ長調エロイカ 16-14-4-11
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シュテンツ、新日フィルは先週に続き2週目。
2491- ハイドン、哲学者、驚愕、ヘンツェ、7番、マルクス・シュテンツ、新日フィル、2018.2.2
2492- ハイドン、哲学者、驚愕、ヘンツェ、7番、マルクス・シュテンツ、新日フィル、2018.2.3、アゲイン
今日のメインディッシュのエロイカは先週のハイドン哲学者、驚愕と同じく弦をスプリットのミラー配置にしたもの。14-14-10-8-6。ヴァイオリンは対向でヴィオラをセンターに置いて、チェロとコントラバスは右左に半分ずつ。それと、同じくノンヴィヴな演奏スタイル。
提示部リピートあり。頭の2楽章で30分。曲としてはここで言いたいことを大半言い尽くした感があるが、今日のシュテンツの振るエロイカは大変魅力的でグイグイと引き込まれていく。
冒頭2個の打撃音のみ明確な3拍子振り。このスタイルで通すと思いきや全くそうでもなくて、ストレートな表現にウエイトを置きながらもエモーショナルな行書体。揺れ、奥行き、ダイナミクス、律動、アクセント、等々、作品を全方位から照らし出したもの。演奏の持つ力を総動員。3拍子から2拍子に変則攻撃するベートーヴェンの技が凄いが、そのあとの弦のしぼませる刻みの無数にちりばめられた表現の妙。わずか数小節でこうだ。このてのことがあちこち、最後まで幾つもの玉手箱を次から次と開いていく様な具合でフレッシュな響きが至る所にある。今生まれたばかりの活き活きした活力ある表現、ささくれ立つことの無い柔らかいオケサウンドがシュテンツの意図を見事なまでに汲み圧巻の美演。
ミラー配置、エモーショナルでストレート、ノンヴィヴ、色々なものが混ざり合っている。柔らかみのあるオケ表現はそれらを全てのみ込んで噴出させた演奏で独特の暖かみのあるサウンド。まぁ、流れに身を任せるというのはこういうことを言う。実に心地よい。
作品が大きく屹立するのを眺めるこの聴後感、気持ちのいいこと。ビューティフルパフォーマンス、エロイカ満喫。
思うに、上岡さんが音楽監督になってから、呼ぶ指揮者ラインナップがますます充実。大家は大家を知るとでも言おうか。鮮やかな演奏が続いている新日フィル、今回のシュテンツはもう一段、なにやらアップ。上岡さんがオケに火をつけ、呼応するようにオケも何か忘れていたものを思い出したように、取り戻したように、溌剌としている。一心同体とはこういうことを言うのだろう。シュテンツさんを、手始めに首席客演指揮者といったあたりで呼んで欲しい。もじゃもじゃさんともいい雰囲気だし。
シュテンツを聴いたのは、2010年N響復活、2016年読響第九、そして今回の新日フィル。どれもこれも素晴らしいですね。演奏が活き活きしていて。素晴らしい指揮者ですね。
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前半プロは最初がマイスタージンガー前奏曲。バスの透明で雄弁な響きがものすごく魅力的、威力もあります。シームレスで自然な正三角錐音場構成はお見事。シュテンツの棒で前奏曲のあと、80分、60分、120分、全曲聴きたくなりますね。1曲目から実にいい演奏でした。大人の棒。
次のヘンツェ、先週の7番に続くヘンツェ作品の披露ということになります。
自作のオペラ魔の王からピックアップしてまとめたもので曲題は魔法の森という意味のよう。3部からなると書いてあるが、聴いていると、短い序奏があってしっとりとした音楽に続き徐々にリズミックになっていく。序奏を含め5つの連続するピースのように聴こえてくる。
このピースから何か閃きのようなものを見つけ出すのは簡単ではない。もう少し聴いてみないとわからない。とはいえヘンツェ独特のダークブルーなサウンド音色、これはこれで魅力的なところがあり、とりあえず響きを食べる感じで。
ということで、シュテンツさんの今回の公演、どれもこれも満足。ありがとうございました。
おわり