2018年2月23日(金) 7:00-9:30pm サントリー
シベリウス フィンランディアOp.26 11
グリーグ ピアノ協奏曲イ短調Op.16 14-7+11
ピアノ、牛田智大
(encore)
シベリウス もみの木Op75-5 4
Int
シベリウス ペレアスとメリザンドOp.46 4+5+2+2+3+3+2+3+6
シベリウス 交響曲第7番ハ長調Op.105 23
(encore)
シベリウス 『かわいらしい組曲』より「ポルカ」Op.98a 2
ミハイル・プレトニョフ 指揮 東京フィルハーモニー交響楽団
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シベリウス3曲と牛田さんをソリストにグリーグのピアノコンチェルト。
どれもこれも素晴らしかった。わけても、7番シンフォニーの彫琢美。
スローなインテンポを主軸にして、高濃度な霧弦の透明でぶ厚いハーモニー。精緻極まる演奏でシベリウスの神経を垣間見るような内容だった。音の強さが何層もある。慎重に合わせられたウィンドアンサンブル、音の粒を奏者がひとつずつ確かめながらじっくりとコクのあるいい響きで。ブラスの咆哮はウィンドをかき消さない見事なバランスで弦に寄り添う。トロンボーンソロ回帰は最初と同じく他の楽器も比較的強く鳴らしたもので、ソロオンリーという感じは無くて、飽くまでもハーモニーのバランスへの配慮が手に取るようにわかる。
悠久のコーダ。やや速めたテンポも全楽器が先を急ぐことなく、きっちりそろったシベリウス音響の極意、快感の音響がコスモスワールドを現出。素晴らしすぎて声にならない。フィニッシュの二分音符はサアッとこめた力が圧力を感じさせ、アッと終わる。唖然茫然の快演に声も出ない。見事だ。パーフェクトパフォーマンス。
精緻を極めたと言えば7番の前に置かれたペレメリ。室内楽的編成で細やかな表現がお見事。プレトニョフと東フィルのコンビ、彼が振るとオケメンが自分のひとつひとつの音をきっちり確かめるようにプレイ。自分の音を噛み締め、同じようにアンサンブルもきっちりとしていてコクのあるサウンドが鮮やかに響き渡る。彫琢の神髄、美しさが極まる。スバラシイ。
牛田さんはお初で聴きます。子供の時の写真が多いですが実際のところはスリムな美青年で印象がだいぶ異なる。
グリーグはちょっと重めでプレトニョフの世界とはやや異なる。音に隙間を感じさせるところがあり、今まさに自分の世界を作りつつあるのだろうなと。
それにしてもカデンツァでピクリともしないプレトニョフの背中を見ているとなんだか空恐ろしくなってくる。背中全部がスーパーピアニストの耳に見えてくる。
サントリーのピアノの音は改修前のバシャッと感が戻ってきたような気がした。ピアノにとってはあまりいいホールとは言えない。
おわり