1984年リッカルド・シャイーと来日。
1989年はウラディミール・アシュケナージと来日。
今回は3度目。
アンドレ・プレヴィンとの来日ということでなんとなく一番しっくりする。
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1991年
9月27日(金)7:00pmサントリーホール
9月28日(土)7:00pmサントリーホール●
9月29日(日)2:00pmサントリーホール●
10月1日(火)7:00pm昭和女子大人見記念講堂
10月2日(水)6:45pm愛知厚生年金会館
10月3日(木)7:00pmザ・シンフォニーホール
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●は河童潜入。
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日本では6回公演。
何故かベートーヴェンのプログラムが多かったが、それははずして別のプログラムを聴いた。
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これは必聴だろう。
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1991年9月28日(土)7:00pm
サントリーホール
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ベルリオーズ/序曲「海賊」
メンデルスゾーン/交響曲第4番
ラフマニノフ/交響曲第2番
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アンドレ・プレヴィン指揮
ロイヤル・フィル
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日本の6回公演のうちラフマニノフはこの日だけ。
プレヴィンの指揮する第2番を聴き逃すわけにはいかない。
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プレヴィンの指揮するラフマニノフは、音がグワッ、グワッと波打つようになり、ワクワクした感覚になる。
オーケストラの性能は一流どころのレヴェルには達していないが、少し歯切れの悪いマス音から太い、生きた音楽が生命力豊かに流れ出てくる。
ゴツゴツした音楽のゴツの部分が鋭くとがった音ではなく、もっと丸みを帯びている。
悪く言えばふやけた感じだが、でも見通しのよくきいた音の流れで大河のようなうねりを作っていく。
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プレヴィンの作り出すラフマニノフは綿々とした音楽というよりも、メロディーを一歩ずつ固めていき、そしてさらに先にまたメロディーがあるような。一つずつ紡いでいくような感じの楽相を作り上げている。独特の音楽作り。
滑らかさをそれほど追及しているわけではなさそうで、それまでのイメージとは多少異なるところがある。
どっちにしろ曲そのもの、スコアそのものから、ラフマニノフの表現したいものを最大にして引き出している。
第2楽章の迫力ある音楽、第3楽章の夢見るサウンド、でも決してとろけるような甘さではないザラザラした太い絹のような音づくりで横幅の広い音楽を作る。
終楽章はいつまでも終わってほしくないようなラフマニノフ独特のくり返しくり返し押し寄せるフレーズが、全くしつこくなく、それでいてこれでもかこれでもかと迫りくる。迫力。
モスブルーなサウンドが限りなくラフマニノフの世界に我々聴衆を浸してくれる。
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前半のプログラムはベルリオーズの海賊、メンデルスゾーンのイタリアであったが、海賊の迫力はものすごく、ベルリオーズの奇妙なハーモニーが鋭く響き充実したものであった。かなり硬いサウンド。
そして、メンデルスゾーンのイタリアは、軽やかながら太い音づくりであり、繊細さと同居したメンデルスゾーンの気品ある音楽がこころよく響いたのである。
思えば前半最初の曲におけるオケの硬さから後半のラフマニノフにかけて少しずつサウンドは丸みを帯びてきて、かつ大胆な表現となってきたような気がする。
最後の爆発にかけてのぼりつめたようなコンサートであったかもしれない。
つづく
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