河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2666- バーバ・ヤガー、グリエール、ハープ協、メストレ、ベルリオーズ、イタリアのハロルド、トゥガン・ソヒエフ、N響、2019.1.26

2019-01-26 23:55:07 | コンサート

2019年1月26日(土) 6pm  NHKホール

リャードフ バーバ・ヤガー  3

グリエール ハープ協奏曲変ホ長調op.74  12-9-5
  ハープ、グザヴィエ・ドゥ・メストレ

(encore)
ゴドフロワ ヴェニスの謝肉祭  5

Int

ベルリオーズ イタリアのハロルドop.16  15-10-7-13
  ヴィオラ、佐々木亮

トゥガン・ソヒエフ 指揮 NHK交響楽団


メストレのハープの音を聴きながら、彼を一度聴いたことがあるな、と思い出した。

2175- サマーフェスティヴァル2016、サーリアホ、イスキエルド、東響、2016.8.30

難物の現代音楽。この時は作曲家の作品に神経を集中させながら聴いていたと思う。ハープのコンチェルトは馴染みのないもので戸惑いもあった。
今日弾くのはグリエール。ま、作曲家の事もあまりなじみが無い。甘口の進行の中に、ハープの離れ技が時折混ざる。細身の男性ハーピスト。ハープは足技が難しいと聞いていたので、ズボン姿の男だからじっくりと足の動きを見ていたのだが、殊更動きがあるようでも無かった。3階席からだとよく見えなかった。全体にスポーティーなアトモスフィアがありますね。
グリエールのコンチェルトは表情が多彩で豊か。ハープ単独の技巧や他楽器との組み合わせが面白い。型は型としてあるのでそこはゆだねながら聴ける安心さもある。サーリアホのトランスの世界初演の時とは聴き構えがだいぶ違っていたな、という妙な実感。
ハープからこちらに照射される音の広がり、これはやっぱり他の楽器では味わうことの出来ないもので、色々と堪能しました。


後半はガラッと変わって、ベルリオーズのイタハロ。もはや、デコボコギクシャクしたいかにもベルリオーズらしいサイケデリックな作品。多彩な音の色、大胆無垢な律動、自由な伸縮。イデー・フィックスというが、主題がそもそもひとつではないのかなどと勝手にリストを思い出したりする。
こういったものをソヒエフが振ると、全てが明瞭でクリアになる。ギトギトしない。技術レベルの高低を作品の品質レベルと一緒にしない。言うなれば、作品のオンリ解釈を楽しめる。なので、綺麗に過ぎるという話しには与しない。
見た目は白鳥の羽根の様な軽くて鮮やか、涼し気な振り。おそらく、ボリショイの舞台の埃が一掃された演奏が彼の地では繰り広げられているのだろうなあと遠目に思う。
ソヒエフの熱量のポテンシャリティーは解像度にあらわれるのかもしれないと思うところもあるけれども、それはオーケストラスキルにディペンドしたものでは必ずしもないのであって、いわば彼の耳が作り出す創造の世界、それが見えてくる、そこが凄いと思う。
まあ、能力だろうと言ってしまえば身も蓋もない。
ヴィオラの主張はベルリオーズが考えだしそうなことだなあと、いい腕前のプレイヤーの弾きっぷりと、ソヒエフのオケドライヴィング、色々と楽しかったです。
おわり




2665- シューマン、チェロ協、堤剛、チャイコフスキー3番、ポーランド、小林研一郎、日フィル、2019.1.26

2019-01-26 23:43:41 | コンサート

2019年1月26日(土) 2pm サントリー

シューマン チェロ協奏曲イ短調op.129  18-9
 チェロ、堤剛

(encore)
バッハ 無伴奏チェロ組曲第3番より ブーレ  3

Int

チャイコフスキー 交響曲第3番ニ長調op.29 ポーランド  16-9-11-6-11


小林研一郎 指揮 日本フィルハーモニー交響楽団


4,5年前に聴いたドヴォルザークのチェロコンの時とはうって変わって、みなぎる弾きが素晴らしいシューマンだった。
グッと抑えたオケ伴の中、しなり豊かにタップリと歌い込む自由弾き、黒く光り輝くチェロサウンドが大変に素敵。木目の温かさが実に心地よい。
炎さんが彼には珍しく協奏曲の伴奏をそうとうコントロールしている。ソロが堤さんだからなのかどうかは知らないけれども、いつになく協奏曲を、らしく振っている。限りなく抑え込んだオーケストラは静けさが支配するもので、寂寥感のようなものが、小さくサラサラとペイヴメントの如く敷き詰められていく。その音の上をチェロが実に強靭にそれでいてしなりのある柔らかさで、かつ、素晴らしく整ったピッチで、有無を言わせぬ美しさで揺れて進む。シューマンの憂いの音楽を心ゆくまで満喫できました。いやあ、ホントいい演奏だった。コクがあり過ぎですわ。美味しすぎた。


後半に置かれたポーリッシュ、たまにしか聴くことが出来ない曲だけれども、もっともっとバンバン聴きたい曲ですね。
大きく鳴った初楽章に始まり、リズミックで、シンコペ満載、みなぎるちから、色々と魅惑的。とりわけ、ど真ん中の中間楽章のアンダンテが深刻な渋み、デリカシーと言いますか、ふっくらと膨らんでいく表情、味付けがチャイコフスキーテイストに溢れており、一滴もこぼさず聴き尽す。
終楽章の山盛りシンコペーションは聴いていて爽快。スッキリする。炎の右腕は非常に雄弁で一筆書きのようになるところもある。たまに撫でるような左手も意味深い。日フィルは大きく音を切りつつ進む。作品の進行を完全に手中にいれており、スキルフルを越えたニュアンスの深みに余裕を感じる。指揮者、オケ、双方、この曲に対して完全に型が決まってますね。惚れ惚れ。事も無げにすんなりと出来てしまうから凄い、まあ、プロの余裕技。いつでも朝飯前の曲があるんだろうなあと感心するのみ。
いい演奏会でした。ありがとうございました。
おわり