2019年1月26日(土) 2pm サントリー
シューマン チェロ協奏曲イ短調op.129 18-9
チェロ、堤剛
(encore)
バッハ 無伴奏チェロ組曲第3番より ブーレ 3
Int
チャイコフスキー 交響曲第3番ニ長調op.29 ポーランド 16-9-11-6-11
小林研一郎 指揮 日本フィルハーモニー交響楽団
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4,5年前に聴いたドヴォルザークのチェロコンの時とはうって変わって、みなぎる弾きが素晴らしいシューマンだった。
グッと抑えたオケ伴の中、しなり豊かにタップリと歌い込む自由弾き、黒く光り輝くチェロサウンドが大変に素敵。木目の温かさが実に心地よい。
炎さんが彼には珍しく協奏曲の伴奏をそうとうコントロールしている。ソロが堤さんだからなのかどうかは知らないけれども、いつになく協奏曲を、らしく振っている。限りなく抑え込んだオーケストラは静けさが支配するもので、寂寥感のようなものが、小さくサラサラとペイヴメントの如く敷き詰められていく。その音の上をチェロが実に強靭にそれでいてしなりのある柔らかさで、かつ、素晴らしく整ったピッチで、有無を言わせぬ美しさで揺れて進む。シューマンの憂いの音楽を心ゆくまで満喫できました。いやあ、ホントいい演奏だった。コクがあり過ぎですわ。美味しすぎた。
後半に置かれたポーリッシュ、たまにしか聴くことが出来ない曲だけれども、もっともっとバンバン聴きたい曲ですね。
大きく鳴った初楽章に始まり、リズミックで、シンコペ満載、みなぎるちから、色々と魅惑的。とりわけ、ど真ん中の中間楽章のアンダンテが深刻な渋み、デリカシーと言いますか、ふっくらと膨らんでいく表情、味付けがチャイコフスキーテイストに溢れており、一滴もこぼさず聴き尽す。
終楽章の山盛りシンコペーションは聴いていて爽快。スッキリする。炎の右腕は非常に雄弁で一筆書きのようになるところもある。たまに撫でるような左手も意味深い。日フィルは大きく音を切りつつ進む。作品の進行を完全に手中にいれており、スキルフルを越えたニュアンスの深みに余裕を感じる。指揮者、オケ、双方、この曲に対して完全に型が決まってますね。惚れ惚れ。事も無げにすんなりと出来てしまうから凄い、まあ、プロの余裕技。いつでも朝飯前の曲があるんだろうなあと感心するのみ。
いい演奏会でした。ありがとうございました。
おわり