河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2640- バッハ管弦楽組曲第1番、タケミツ夢の時、ストラヴィンスキー火の鳥1910、パスカル・ロフェ、新日本フィル、2018.11.23

2018-11-23 23:54:53 | コンサート

バッハ 管弦楽組曲第1番ハ長調BWV1066  10-2-2-2-3-2-2

武満徹 夢の時  13

Int

ストラヴィンスキー 火の鳥(1910原典版)  25-7-10-3

(encore)
ストラヴィンスキー 火の鳥(1910原典版) ホルンソロのところからのフィナーレ  3

パスカル・ロフェ 指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団


ケース・バケルスさんの代打でパスカル・ロフェさん、どちらにしてもお初で観る指揮者でしたね。

前半プロで音楽作りがこちら側に浸透してきた中、後半の火の鳥、これが切れ味鋭くて満喫。
アンサンブル・アンテルコンタンポランを振っていたという事を横においても、ロフェの棒無し現音風指揮振りはお見事というほかない。
火の鳥1910原典版、長さを感じさせない。長大な第1場は充実した演奏で、克明な振り、シャープなパフォーム、引き締まった進行、情景が鮮やかに浮かぶ。踊りが付いていたら最高だったろうな、と、欲を言えばキリがない。プログラム冊子の解説を読みながらでも眼前に絵が浮かぶような内容で、ビックリでした。素晴らしい指揮者ですね。あらためて、火の鳥1910、素晴らしい作品。
この原典版、最近聴くことが割とある。今日の演奏はバンダ付き。オルガンレベルの左にトランペット3本。右側にワーグナーテューバ4本。
第1場の夜明けシーン、トランペットはミュート付きの静かなところ。バンダでミュートとはこれいかにという気もするが、指揮者一流のこだわりなのかもしれない。当該シーンへの配置のこともあるのかなあと。
ワーグナーテューバの出番は少しだけ。トランペットは大詰めで活躍するがそんな派手なものではない。プログラム冊子にはテューブラーベルもバンダにセットされていたようだが自席からは見えなかった。
いずれにしてもそれぞれのシーンが深彫りされている演奏内容で、ソフトな新日フィルのサウンドがややスキニーになり、一つずつの音たちが集結してアンサンブル化した時の煮凝りのような素敵な響き具合はまことに絶品。ウィンド、ブラスの粒立ちはすっきりとした泡立ち感。作品がものすごく立体的なものになる。ロフェさん、お得意物件でしょうね。現代音楽指揮者が振ったストラヴィンスキーの感。ブラボー自然発火。

前半に手応えの予兆があったわけです。バッハの直後に置かれた武満作品。アボリジニにインスパイアされた作品のようです。バレエ付きの姿が本来あるべきものかもしれないけれども、振り返ってみると、後半のストラヴィンスキー同様、鮮やかに情景がフォーカスされる。武満流の解けて流れるモードの真逆風味。そもそも作品自体がそのような方向性と軌を一にするものではないとは思うものの、ロフェの棒は冴える。拍、小節、克明な振りでリズミカルと言ってもいいほど。フレーズの膨らみ、煮凝り風味のかたまり具合、デリカシー、どれもこれも素晴らしい表現で、凝縮されてはずむタケミツ節、新発見のフレッシュさ。

バッハから始まった演奏会でした。長い作品です。何が凄いって、終わっても誰も拍手しない。やや、終わったのかな。ロフェさんに促されてようやく覚醒拍手。作品作風等々、あまり馴染んでいないということもあろうけれども、このような自然な雰囲気、ナチュラルに音楽を楽しんでいる、つまり中に踏み込んで聴いていたんだという実感のほうが強い。
フラットな配置、小規模編成、オーボエ2本、バスーン1本はここが踏ん張りどころの鮮やかなプレイ。やってるほうも気持ちよさそう。弦のアンサンブルがこのホールに馴染んでいる響きを感じさせる。なんか、アンサンブルで成り立つスタイルを感じさせるもの。
この演奏からしてロフェのツボ押しはしっかりとあったのだろうと、火の鳥を聴いた後にあらためて実感。
いい演奏会でした。
ありがとうございました。

天井から、4本、2本、収録マイクが垂直にぶらさがってましたが、マイクも垂直っぽい。縦長にぶらさがってる。あまりみかけないものでしたね。
おわり