河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2637- ボーイト、メフィストーフェレ、バッティストーニ、東フィル、新国立劇場合唱団、2018.11.16

2018-11-16 23:14:24 | オペラ

2018年11月16日(金) 7:00-10:00pm サントリー

東フィル・サブスクリプション・コンサート プレゼンツ

ボーイト 作曲

アンドレア・バッティストーニ プロダクション

メフィストーフェレ (コンサート・スタイル 日本語字幕付き) 24-26-28、21-21-13

キャスト(in order of voices’ appearance)
1.メフィストーフェレ、マルコ・スポッティ(Bs)
2-1.ファウスト、アントネッロ・パロンビ(T)
2-2.ヴァグネル、与儀巧(T)
3.マルゲリータ、マリア・テレーザ・レーヴァ(S)
4.マルタ、清水華澄(Ms)
5.エレーナ、マリア・テレーザ・レーヴァ(S)
5.パンターリス、清水華澄(Ms)
6.ネレーオ、与儀巧(T)

合唱、新国立劇場合唱団
児童合唱、世田谷ジュニア合唱団

アンドレア・バッティストーニ 指揮 東京フィルハーモニー交響楽団


Duration
プロローグ 5-5-2-5-7
ActⅠ 16-10
ActⅡ 10-18
Int
ActⅢ 21
ActⅣ 21
エピローグ 13


これがボーイトの神髄か、腰が抜けた。大波小波、駆り立て、静寂、ダイナミックでドラマチック、デリシャスでデライト。ロール4人衆が思う存分歌い尽くす。ボーイト節が炸裂。
圧巻、悶絶の充実パフォーマンス、エポックメイキング・ナイトとなりました。バッティの派手なやり尽し棒がツボにはまった瞬間ナイト。目から耳から鱗が5枚落ち。

タイトルロールではないがほぼ主役のファウストがジャンルーカ・テッラノーヴァからアントネッロ・パロンビに変更。パロンビは、2015年、沼尻オテロのロールで歌っていた方。
1774- オテロ、沼尻竜典、神奈川フィル、2015.3.22

コンサート・スタイル、字幕付き、動きともどもオペラティックな雰囲気はそこそこある。
P席合唱、LA席奥に児童合唱。オルガン・レヴェルの左側にバンダ、椅子をセッティングしてのじっくりバンダ。そのオルガン上部には大きく幕があり映像を出す。その右左に横長に字幕。指揮台は2段重ね。天井のライトがシーンに合わせてピカピカと光る。全体照明はかなり落としている。プロンプターはモニターで、ステージの前方下方の右左に一台ずつ。歌い手はシーンに合わせ出入りを繰り返しながら歌唱。

ストーリーはリブレットや解説に任すとして、プロローグと第1,2幕を一気に約80分、休憩を挟んで後半の第3,4幕とエピローグを一気に約60分。緊張とスリリングな吐息が全体を覆う極めて高濃度なパフォーム。


この夜の成功上演、いの一番にあげたいのが、ホールコンディションがベストだということ。ホールが良くて、とにもかくにも、歌い手たちがオペラ風味の余計なことに煩わされることなく思う存分歌い尽くすことが出来た。自身の声を聴きながら、また絡み合いの重唱、それにオーケストラや合唱の響きともども、ジックリと相互関係を構築、シナジー効果抜群の上演、このホールでの全体状態の良さを思わずにはいられない。

2幕1場の四重唱、2場の二重唱、など聴きどころ満載。後半、3幕の二重唱も圧巻過ぎて悶絶。レーヴァとパロンビのデュエットは最高ですな。初来日となったレーヴァの体当たり歌唱、渾身の歌、容姿共々あまりに魅力的で、とにかく、食い入るように見入る。素敵なシンガー。パロンビは最初の登場では太めでちょっと冴えない長髪という感じなんだが、一旦歌い始めると艶やかななめし皮テノールがものすごくきれい。デュエット、ソロ、ともに美しい歌唱が光りましたね。

かたや、スポッティと清水。タイトルロール、バスのスポッティは長身細め、ニヒルなキャラクターシンガー風味なのだがなにやら高潔なワル、クレヴァーな役どころが合いそう。今日のロールはうってつけのピッタリ役どころかと思う。バスは高音系に食われがちになるところしっかりとした存在感。あまり小細工をせずに、朗々と歌い尽くす説得力は大したもの。場の転換ポイント、要所出どころでの歌は見事なもので、欠かせないシンガーと思いました。清水はこのお三方に食われた形。

自在棒のバッティ、歌い手たちが実に歌いやすそう。まあよく乗せていく。呼吸がぴったりで、歌い手たちの呼吸を感じながらなのか、歌い手たちが指揮にうまくあわせているのか、どちらとも思えない。ナチュラルな歌い口で、双方無理なところが微塵もない。これだと本当に吹き上げるような流れでグイグイいける。オケのほうも指揮にコントロールされている雰囲気は無くて積極性が滲み出る。ドライブするかされるか、丁々発止のやりとりは前向きなもので、みんなで音楽を作っていっている手応えがあって、そういうときの音楽っていいものですね。東フィルの演奏は本当に鮮やかなもの、折り目の正しさ、端正、荒々しさ、振幅の大きな音楽となりました。

結果、オペラとしては物語がやや拡散気味なストーリー展開なところ、ギュッと凝縮していって中心点を感じさせるものになった。バッティ棒の見事さ、応える歌い手、オケ、合唱、そして良好なホールコンディション、そういったものが見事にマッチし、一大ドラマが完成した。このまとまり感、説得力のあるオペラ上演となったわけですね。
パワフル・パフォーマンス、出色の一夜となりました。
ありがとうございました。
おわり