河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2632- ラヴェル、ピアノ協奏曲、アリス紗良オット、プロコフィエフ、ロメオとジュリエット、ジャナンドレア・ノセダ、N響、2018.11.9

2018-11-09 23:33:39 | コンサート

2018年11月9日(金) 7:00pm NHKホール

ラヴェル ピアノ協奏曲ト長調  8-9+4
 ピアノ、アリス紗良オット

(encore)
サティ グノシエンヌ第1番  5
ショパン ワルツ イ短調  2

Int

プロコフィエフ ロメオとジュリエット 抜粋(ノセダ抜粋による14曲)  30-11-9


ジャナンドレア・ノセダ 指揮 NHK交響楽団


ノセダがN響を振るのは2015年の1月来で少し間が空いてしまった。あの時は3プロ6公演でそれぞれにソリストをたてたもので、2005年のN響初振りから聴いている身としても格別なものであった。あの時のリストの前奏曲は悶絶の大熱演でしたね。今回も存分に楽しめそうだ。

幾度となく弾いているラヴェルの両手、アリスのピアノはもはや枯れた境地で淡白とさえいえる。それが実にいい。炎の核だけが見えてくるようなシンプルさは、ゼロから色々と越えてきた後に出せる響きを感じさせてくれますね。
中間楽章のソロは絶品で、一つの境地の高みに達している。最初の一音で音楽のシーンが醸しだされる。行間のそこはかとなく湧いてくる香りのようなもの。軽く軽く空中を浮遊する。凝縮されて濃厚となった空気がこのように軽く漂う、これはやっぱり、一つの芸術に違いない。確信のラヴェル。
ノセダは以前のようなジャンプはしなくなった。力が抜けて音楽が軽くて、いい伴奏。分解能に長けたN響の響きがこのラヴェル伴奏にジャストマッチ。川面の筋が一つ一つ解かれていく。ガラスのような美演。
8-8-6-6-4型

後半のロメジュリはノセダ自身による14曲抜粋版、50分ロングの割とヘヴィーなものであった。大幅な順番も入れ替えも。急・緩の配置の妙や同種の塊化といった趣向もありそうだ。それぞれのピースの小タイトルを見れば大体イメージが湧くし曲想もそういった物腰なので、流れというよりも単発シーンの積み重ねのような聴き具合で向き合う。
2-1モンタギュー家とキャピュレット家
2-2少女ジュリエット
1-4メヌエット
1-5仮面
2-4踊り
3-5朝の歌
2-3修道士ロレンス
2-5ロメオとジュリエットの別れ
1-1群衆の踊り
3-2朝の踊り
2-6アンティル諸島から来た娘たちの踊り
1-7タイボルトの死
2-7ジュリエットの墓の前のロメオ
3-6ジュリエットの死

まず、それぞれのピースが活き活きと息づいている。シーンに息が吹き込まれ鮮やかによみがえる。活力ある演奏。ノセダの真骨頂ですな。圧倒的にグイグイと下からしゃくりあげる棒は時に激しく、リズミカルに、そして静寂が漂う。場に向き合う表現力が圧倒的に凄くてもの凄い説得力。グイグイと引き込まれる。聴く満足感しかない。
オーケストラをドライヴする、全員納得の説得力なのだろう。ハイレヴェルオケのコンセントレーションが凄くて、だから、こんな音になるのだろう。凄いもんだ。
踊りの活力は事程左様に素晴らしいもの。そして最後の2曲が大きい。対局の悲劇がドラマチックでそれを表現するノセダの棒はパーフェクト。
深刻な音楽が一分の隙も無く、全く弛緩することなく、滔々と流れいく。スバラシイ。

またまた、ノセダの熱演のミラクルにはまってしまいました。凄い指揮者ですね。
このあとも楽しめそうです。
おわり