河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2578- music tomorrow 2018、鈴木純明、坂田直樹、ジェームズ・マクミラン、コリン・マシューズ、ステファン・アズベリー指揮、N響、2018.6.26

2018-06-26 23:55:18 | コンサート

2018年6月26日(火) 6:30pm コンサート・ホール、オペラシティ

尾高賞授賞式・プレトーク
坂田直樹、鈴木純明、白石美雪

2018年6月26日(火) 7:00pm コンサート・ホール、オペラシティ

鈴木純明 リューベックのためのインヴェンションⅢ「夏」(2018) 世界初演  19
NHK交響楽団委嘱作品


坂田直樹 組み合わされた風景(2016)  4-5-2-3-4-2
第66回尾高賞受賞作品

Int

ジェームズ・マクミラン オーボエ協奏曲(2010) 日本初演  6-12-7
 オーボエ、フランソワ・ルルー
(encore)
シルヴェストリーニ 
無伴奏オーボエのための6つの練習曲から第3曲「キャピュシーヌ大通り」 2


コリン・マシューズ ターニング・ポイント(2006) 日本初演  5+14


ステファン・アズベリー 指揮 NHK交響楽団


ここ何年か毎年聴いているMusic tomorrow2018、今年は日本物2本、洋物2本。

鈴木作品はリューベックにインスパイアされたもので、春、冬に続く3作目の世界初演。
ブクステフーデ、バッハの引用があり、さらに文字通りの季節感を醸しだそうとしているようだ。どのような音が出てくるのであろうか。
頭から思いの外和風な響きを感じる。それと、四分音符一個ずつをひとつひとつ押し付けるようなパッセージが多い。押し付けることのしつこさと隙間の無さがやや息苦しくて、どのような夏なのかとふと思う。解説にある内容と出てくる音との乖離が結構あるように感じるのだが、これはご本人のイメージなのだろう。描写の解説は不要だったように思う。

坂田作品は尾高賞受賞作品。
楽音とその楽音を出すときに一緒に出てくるノイズ。二つの音響が同居。そういった事を起点に性質の異なる音の混在を表現していく。5部とコーダの合わせて6つの部分の構成が解説で語られている。音響に関する形の解説で、抽象的と言えばそうかもしれぬが音という見えない存在の説明にはかえっていいかも知れない。それに現代音楽の作曲者にありがちな難解な言葉が無くて明快明瞭なのがいい。
6部に分かれていると言っても合計20分ほどで切れ目なく続く。フレーズが弱音系になり次の部が出てくるので構成は分かりやすい。
楽音を出すときに出るノイズ、そのノイズをひとつの楽音として楽器で出すわけだから、「主体・他(ノイズ)」のものが実際に奏でられるときは、「主体・主体(ノイズ)」となる。そこが起点になると思うのでノイズという言葉は取り払いつつ、対立軸をことさらに強調することではなく対比と調和を指向する、その方針の音化はうまくいった作品であると直感する。ノイズは対立軸ではないと最終的な自分的帰結も感じた。なかなか味な作品でした。



プログラム後半の一曲目。マクミランの作品は日本初演。この日一番長い作品がオーボエコンチェルトということでしんどいでしょうね。
ソリストの技を堪能できる作品を色々と書いているマクミラン、今日のコンチェルトもその一つのようです。器楽の響きの妙を堪能しました。ルルーはスコアを見ながらのプレイのせいか余計な動きが無くて響きも一様性が保たれておりまして聴きやすかったです。気の入れようが尋常ではなくて特に中間楽章が圧巻。
ハイテンション演奏のあとアンコールをやるもんだからさらに凄い。あのハーモニーのような技、一体全体どうやって出しているのかな。びっくり。

最後の曲はマシューズの作品。
曲を書いている途中で行き詰まり、一服して続きを書き始めた、ので、ターニング・ポイントと命名したとのこと。一気に書き上げればどのような副題になっていたのだろうかと皮肉りたくもなる。行き詰まりの指向プロセスまで感じながら日本初演ものを聴く耳は無いし。
最初の律動主体のほうにむしろ重さを感じ、徐々にゆっくりと流れていくとき軽さを感じる。不思議な感触。曲名は変えた方がいいのではないか。


以上4曲。

1600人キャパのホール、そのステージにフルオーケストラ、盛りだくさんのパーカス。N響の音は冴えわたっている。メンバーの気のこめようが手に取るようにわかる充実の演奏。このような演奏で現音がさらに輝きを増す。素晴らしい演奏でした。
初台凝縮サウンドは、多目的NHKホールのようにステージから出た音が即座に拡散してしまうようなことがなくて、プレイヤーも難しい響きを感じながら演奏できているのではないか。まぁ、やる気が凄かったですね。指揮者アズベリーのタクトも見事でしたし。

ということで、今年も堪能しました。ありがとうございました。
おわり