河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2555- トリスタン、シューマンPC、阪田知樹、チャイコフスキー4番、ラザレフ、日フィル、2018.5.12

2018-05-12 23:24:25 | コンサート

2018年5月12日(土) 6:00pm みなとみらい

ワーグナー トリスタンとイゾルデ 前奏曲と愛の死  11+7

シューマン ピアノ協奏曲イ短調Op.54  15-5+12
 ピアノ、阪田知樹

(encore)
シューマン(リスト編曲) 献呈  4

Int

チャイコフスキー 交響曲第4番ヘ短調Op.36  18-8-6-7

(encore)
チャイコフスキー ナッツクラカーより トレパック  1

アレクサンドル・ラザレフ 指揮 日本フィルハーモニー交響楽団


昨年2017年の10月来のラザレフ、日フィルのコンビ。
つい1週間前までインキネンのタクトで落ち着いた演奏を繰り広げていた。ラザレフさんが猛烈に振り回す。メインのチャイ4は嵐で、第1楽章のコーダ崩壊、終楽章のコーダでは例によって指揮台を降りてきて弦に突進指揮。爆発炎上演奏。あらんかぎりのドライヴ、やり尽くした感。リハの数がもっと多ければとは思うものの、いやいや、ノリノリの演奏、オーケストラの醍醐味とはこうゆうもんよ。とも言っているようだ。
終楽章のホルンによるコーダから最後の伸ばしまでの流れは一気通貫の猛爆演奏なんだが、巧妙に音色バランスを変えて独特な響きを醸し出しているところも見受けられた。昔聴いたスヴェトラーノフ&N響のマーラー6番を思い出した。同国人だからどうか知らないがどうも共通したセンスを感じるところがある。
それにしても、終楽章の頭、あんな音符の嵐、チャイコフスキーだけだろうね書けるの。

前半最初の曲は、トリスタン。慎重に始まった演奏、強奏でのブラスのアタックには異種なたたずまいを感じる。握りずしのシャリに空洞が無く、びっしりとお米が埋まっている。そんな感じの圧力で、アタックの頭のフォルテが減衰しても厚さはそのままといった感じのサウンド。インキネンのワーグナーではこうゆう音にはならないので、明らかな作り込みと思う。ロシア風味ということか。
最後はフラブラ、フラ拍をさせない、音が終わっても振り続けている。ショスタコーヴィッチで数々の名演を聴かせてくれた時のスタイルでフィニッシュ。説得力の大きいトリスタンでした。

2曲目のシューマンが聴きもので、今日は最初からこれがお目当て。2016年フランツ・リスト・ピアノコンクールチャンピオンの弾くシューマン。
冒頭オケ強打のあといきなり、
オーケストラがやむとき、テンポをグッと落として、重力に任せたような弾き。あまりのテンポ変化に戸惑うその間もなく、渇きのようなピアノ、ドライな感情表現とでも言おうか、一種独特の響きを醸し出す。非常にゆっくりしたテンポで肩の力の抜けた演奏は水際立っている。また、強いタッチはみられない。メゾフォルテ以下といったところ。
リサイタルのほうが自己主張をもっと濃く自在な弾きに出来るのだろうなと思うところはあったけれども、それはそれ。ひとつずつ慎重に弾かれていく音の積み重ねは少しずつつながりを感じさせるようになり、最後は大きくまとまったシューマン作品となる。手応えありました。
演奏が進むうち、指揮者とオーケストラがだんだんと阪田ペースになる。強引ではなくて独特のアトモスフィアを作る演奏でした。全体的な物腰はどことなく近藤さんに似ていますね。
おわり







2554- ドビュッシー、夜想曲2曲、セバスティアン、フランク、シンフォニー、ミシェル・プラッソン、新日フィル、2018.5.12

2018-05-12 23:01:06 | コンサート

2018年5月12日(土) 2:00pm サントリー

ドビュッシー 夜想曲より 雲、祭り  5-7

ドビュッシー 聖セバスティアンの殉教 交響的断章  4-7-6-6

Int

フランク 交響曲ニ短調M.48  18-10-11

ミシェル・プラッソン 指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団


当初予定されていたラドミル・エリシュカが活動を停止したためプラッソンが代振り。ずいぶん前に決まっていたとはいえ、思わぬところで思わぬ指揮者。プラッソンと言えばトゥールーズというのがその昔は定番で、あとは出ている音源を聴くかどうか。そんな感じだった。
だいぶ足にきている感じはあるが、指揮ぶりはかくしゃくとしている。そんなことより、この一発公演、プラッソンの思うところに自在に音色を変えている気配が濃厚。そもそもオーケストラの下地となる音色は同方向と思われ、シナジー効果で大きな美演を展開させてくれました。

ドビュッシー2曲はプログラム冊子にある青澤さんの解説を読んで聴くとまた格別な味わいがある。
ノクターンからの2曲、雲のダークグレイな響き、祭りは騒がしさというよりシックなものを感じさせてくれる。両ピースの多様な色彩。そして柔らかい音色の息づかい。本当にシナジー効果、良い面が出ている。
滑らかハーモニー、曇りガラスハーモニー、伸ばし切るパッセージが粘着質とならずどの切り口でも均質なバランスでスーッと入ってくる。響き自体の特性をよく感じとれるもの。
セバスティアン・フラグメントともどもディープな味わいで鮮やかなドビュッシーに舌鼓。2曲ともに絶品でした。

後半のフランクも同じスタイル。この作品は強固なシンフォニックな側面が強調されがちなんだが、今日の演奏は別物。ドビュッシーの続きのように聴こえてくる不思議。
弦パート主体のパッセージ、ウィンド主体のパッセージ、ブラス主体のパッセージが、それぞれ別々の活躍の場があるのがはっきりと明瞭にわかる。ブレンド物とは全く異なるセパレートした響き。このクリア感。それに併せ、ステージ上での弦、ウィンド、ブラスの立体的な配置まで、ものの見事なパースペクティヴ感。凄いもんです。一体どんなマジックなのだろうか。びっくりですゎ。
セパレートしたインストゥルメント群が合奏でまじりあう時のコクのあるブレンド風味は第4の響きといった感じで別の味わい。フランクにしてこの色彩感、素晴らしい。内面から外面からよく照らし出された音色進行、聴きごたえあり。フランクのシンフォニー、もう一つの姿を新発見。いい演奏でしたね。それに、
最後の音をグイッと力を込めて終え、拍手までの滞空時間の長いこと。久しぶりの充実空白、これも良かった。こうゆう空白があると本当にいい作品と演奏だったと実感できますね。
プラッソン、巨匠の棒、堪能しました。ありがとうございました。
おわり