2018年5月12日(土) 2:00pm サントリー
ドビュッシー 夜想曲より 雲、祭り 5-7
ドビュッシー 聖セバスティアンの殉教 交響的断章 4-7-6-6
Int
フランク 交響曲ニ短調M.48 18-10-11
ミシェル・プラッソン 指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団
●
当初予定されていたラドミル・エリシュカが活動を停止したためプラッソンが代振り。ずいぶん前に決まっていたとはいえ、思わぬところで思わぬ指揮者。プラッソンと言えばトゥールーズというのがその昔は定番で、あとは出ている音源を聴くかどうか。そんな感じだった。
だいぶ足にきている感じはあるが、指揮ぶりはかくしゃくとしている。そんなことより、この一発公演、プラッソンの思うところに自在に音色を変えている気配が濃厚。そもそもオーケストラの下地となる音色は同方向と思われ、シナジー効果で大きな美演を展開させてくれました。
ドビュッシー2曲はプログラム冊子にある青澤さんの解説を読んで聴くとまた格別な味わいがある。
ノクターンからの2曲、雲のダークグレイな響き、祭りは騒がしさというよりシックなものを感じさせてくれる。両ピースの多様な色彩。そして柔らかい音色の息づかい。本当にシナジー効果、良い面が出ている。
滑らかハーモニー、曇りガラスハーモニー、伸ばし切るパッセージが粘着質とならずどの切り口でも均質なバランスでスーッと入ってくる。響き自体の特性をよく感じとれるもの。
セバスティアン・フラグメントともどもディープな味わいで鮮やかなドビュッシーに舌鼓。2曲ともに絶品でした。
後半のフランクも同じスタイル。この作品は強固なシンフォニックな側面が強調されがちなんだが、今日の演奏は別物。ドビュッシーの続きのように聴こえてくる不思議。
弦パート主体のパッセージ、ウィンド主体のパッセージ、ブラス主体のパッセージが、それぞれ別々の活躍の場があるのがはっきりと明瞭にわかる。ブレンド物とは全く異なるセパレートした響き。このクリア感。それに併せ、ステージ上での弦、ウィンド、ブラスの立体的な配置まで、ものの見事なパースペクティヴ感。凄いもんです。一体どんなマジックなのだろうか。びっくりですゎ。
セパレートしたインストゥルメント群が合奏でまじりあう時のコクのあるブレンド風味は第4の響きといった感じで別の味わい。フランクにしてこの色彩感、素晴らしい。内面から外面からよく照らし出された音色進行、聴きごたえあり。フランクのシンフォニー、もう一つの姿を新発見。いい演奏でしたね。それに、
最後の音をグイッと力を込めて終え、拍手までの滞空時間の長いこと。久しぶりの充実空白、これも良かった。こうゆう空白があると本当にいい作品と演奏だったと実感できますね。
プラッソン、巨匠の棒、堪能しました。ありがとうございました。
おわり