2018年5月19日(土) 2:00-4:00pm サントリー
プロコフィエフ 交響的協奏曲 11-18+11
チェロ、辻本玲
(encore)
カザルス 鳥の歌 3
Int
ストラヴィンスキー ペルセフォーヌ jp (演奏会形式、フランス語上演/字幕付き) 55
ペルセポネ、ドルニオク綾乃(narrator)
ユーモルプ、ポール・グローヴス(T)
晋友会合唱団
東京少年少女合唱隊
アレクサンドル・ラザレフ 指揮 日本フィルハーモニー交響楽団
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プロコフィエフは大きな曲。聴きごたえありました。オーケストラの出番が結構あってプロコフィエフのやにっこさも増した感じはするけれども、チェロが鳴るときオケはやむ、といったおもむきで、独奏の活躍を堪能できる。高い音域でのパッセージが多くて、高音多湿。
中間楽章は特にビッグな演奏、全体は3つの楽章にわかれているというよりも、作品全体が自由に展開していく、という聴き方。それにしても長い曲。40分のフルパワー全開。
辻本チェロは若々しい弾力に満ちたプレイ、高音パッセージはしなやかでみずみずしくて、緊張感あふれる見事なもの。余裕の美演でした。
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メロドラマ、ペルセフォーネ duration
第1場(ペルセフォーヌの誘惑) 22
間奏曲 2
第2場(冥界のペルセフォーヌ) 13
間奏曲 1
第3場(蘇るペルセフォーヌ) 17
主役、ペルセポネ、マイクつけての語り(歌わない)、(位置は指揮台かみて)
エレウシスの祭司ユーモルプ、独唱の物語進行役、(位置は指揮台しもて)
合唱、水の精・黄泉の亡霊・など、(位置はLA少年少女、左P女声、右P男声)
ストラヴィンスキーの日本初演。掘り起してきたフラグメント初演といったものではなくて、1時間ロングの大曲初演。日本でなぜ埋もれていたのか知る由もない。
主役が語りだけだし、メロドラマというジャンル付けはわかる。が、出てくる音楽は、ロシアのストラヴィンスキーが本格オペラ作ったらこんな感じになるだろうなと、もう、第一音でそんな感じ。ボリスやホヴァンシチーナのいたるところにある粗野感をドビュッシー風味の透明フレーヴァー添加で滑らかに濾した。1934年初演、遅れてきたロシオペの感が無くもない。
メロドラマもの、字幕が今様のように発達していれば日本初演ももう少し前倒しになったかもしれぬ、と、ふと思う。
巨大化した合唱付きオケ編成はオペラ規模でオーケストラがダイナミックに響く。マイクがない語りは打ち消されてしまうだろうね。テノールのグローヴスは健在。合唱の威力は人数比の圧力。ということで、もはや、演奏会形式のオペラを聴いているような聴き方になってしまった。
語りでの音楽の躍動感には並々ならぬものがあり、それを上回る声にはマイクが要る。ダイナミックなオーケストラサウンドがとても魅力的。テノールのグローヴスは美声で、こちらは地声でオケに負けない。
ストーリー展開とそれに付く音楽がうまく同期しているかというところがありますけれども、雄弁な場面転換の間奏曲が3倍長の長さで鳴り渡り、合わせてそれ長尺の本格本編になればオペラとして観るのも面白そうだ。
二つの間奏曲、生き生きしている音楽でしたね。
ラザレフと日フィル、渾身の演奏に圧倒されました。ありがとうございました。
おわり
第700回特別記念東京定期演奏会