2017年11月29日(水) 7:00pm サントリー
6人組 エッフェル塔の花嫁花婿 21
プーランク オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲 5+7+7+5
オルガン、松居直美
Int
プロコフィエフ 交響曲第6番変ホ短調 op.111 13-15-13
デニス・ラッセル・デイヴィス 指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団
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デニス・ラッセル・デイヴィスと言おうとしてよくフィリップ・グラスと言ってしまうのですが、自分の中では一体化しているようなところがあるのかもしれない。
日本にちょくちょく来ていますが、なかなかフィリップ・グラスの作品は振る機会がないようですね。奥さんのほうは、昨年、グラスのエチュードをグラスの自作自演、振り分けて弾いたのを聴きました。
2128- グラス、コンプリート・エチュード、滑川真希、久石譲、フィリップ・グラス、2016.6.5
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今日のプログラムは、未聴生演奏の潰し込みにはもってこいの3作品。
プロコフィエフの作品が群を抜いた面白さ。前半の2曲もユニークなもので、大いに楽しむことが出来ました。
最初の曲、6人組による作品。実際のところは5人での作。振りつけが有ればさらに面白かっただろうと思う。無くても十分に楽しめた。複数作曲家によるチグハグなところはなくて、トリッキーな動き、厚みのある響き。楽しかったですね。
デニスは曲の真価を知らしめる棒、きっちりリハを積んだのかどうかといった大味な部分もありましたけれども、彼の中心的興味はそうゆうところではないんだろうね。こうゆう面白い曲だよと目に見えてくるようなパレットで冴えた棒。腐心のしどころが違う。作品のツボを魅せてくれますね。
2曲目はプーランク。編成が弦、ティンパニ、オルガンということでかなりユニーク。オルガンコンチェルト的です。
オルガンが強烈な鳴りからほんの小さい響きまで多彩な表現で楽しませる。コンチェルトと言いながら、抜けている楽器を埋めるようなところもある。ウィンドかと思わせるような響き。オーケストラという楽器の足りない編成部分をよく埋めていて、音色もウィンド化していてオケに厚みを出している。オルガンの混ざり具合がいい。
ティンパニはそれほど自己主張の強いものではなくて、まぁ、確かにとめども無く叩いてはいる。
弦のエネルギーがかなり出ていてパワーを感じさせるもの。デニスによくこたえていました。いい演奏。
後半のプロコフィエフの6番。濃厚で充実した演奏。オケの本気度がよく見えてくるもので、デニスの棒に真剣に食らいついていた。満喫の6番。
トランペット・ソロの下降音から始まる、ユニークですぐに集中。新日フィルのサウンドは少しザラザラしていて、ぬくもりも感じるもので、海の哺乳類のような肌ざわり。こんなに噛み締めて聴く6番、なんて味わい深いんだ。
どこに飛んでいくのかわからない面白さ、2楽章のロメジュリのような甘いフレーズから粗野でワイルドな進行まで色々と聴けて振幅の大きい作品。
終楽章はほぼ5番の終楽章と同じような筆の運び、これで終わるのかと思う間もなく、フィニッシュで大きなひとひねり。ぐっさりとフォークを肉に刺したまま終わる感じ。ほんと、ユニーク。
デニスの棒はポイントを押さえた的確なもの。要所をきっちりと振っていてオケメンもそういったところでは凝視ですね。6番はやっぱり生演奏だと立体的でユニークな響きを本当に楽しめる。変幻自在の作品。曲の真価のことばかり考えて振っているようにみえるデニスの棒さばきには好感が持てます。
フィリップ・グラスのシンフォニー全集の箱、聴き返すかな。
おわり