河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2446- ヒンデミット、ウェーバー変容、Wind-Hrp協、エロイカ、ヤノフスキ、N響、2017.11.11

2017-11-11 23:07:04 | コンサート

2017年11月11日(土) 6:00pm NHKホール

ヒンデミット ウェーバーの主題による交響的変容 4-7-4-4

ヒンデミット 木管楽器とハープと管弦楽のための協奏曲 7-4-4
 Fl甲斐雅之、Ob茂木大輔、cl松本健司、fg宇賀神広宜、hp早川りさこ

Int

ベートーヴェン交響曲第3番変ホ長調op.55 エロイカ 17-15-6+11

マレク・ヤノフスキ 指揮 NHK交響楽団


東京春祭りで4年間に渡るリング・サイクルを今年2017年の4月に振り終え、また、バイロイトで昨年、今年とリング・サイクルを振り、加えて今年はたしか、ヘンヒェンのかわりにパルジファルでもタクトを取った八面六臂のヤノフスキが、おそらく一服したところでN響に客演と相成ったと思う、オーソドックスな濃いプログラムで。

プログラム後半に置かれたエロイカは造形美、音響美ともに理想的で、なんだかきっちりとフレームにはまった感がある。昨今このような極みの美を事も無げにやり遂げる指揮者はレアになりつつある。

第1楽章の提示部リピートは昨今多いものだが、葬送行進曲を軽くする傾向がこれも多くてアンバランスなフォームとなることが、結局多くなる。頭でっかちですね。
ヤノフスキのエロイカは中庸の美、テンポ感の良さ。奇を衒うことの無い解釈、正面突破のオーソドックスの極みの造形が極めて美しい。
その第1楽章はほぼ3拍子振り、たまに1拍子を交えたややハイブリッドなところも見える。オーケストラの音が遅れて出てくることを好まないヤノフスキの事は、プレイヤーたちは承知。それでもさらに軽々と易々とスイスイと快適な3拍子。N響はこれについていかなければならない。一度遅れ始めると空中分解しそうな勢いなれど、そこは腕達者な連中が揃っているオケ、ヤノフスキ慣れしていることもあり、素晴らしく見事な演奏が繰り広げられた。続く楽章もおしなべて同じような振りで形を整えていく。美しいフォルム、構築物でした。

音響面でも用意周到。手練手管を施してから演奏に向かっているのがよくわかるもの。
まず、演奏行為の前に見える意思表示としてプログラム冊子に、指揮者の意向によりウィンドを倍管にすると明記してある。クリアですね。これで、響きをどうしたいのかわかる。
手前から16弦、倍管ウィンド、ブラスセクション、ティンパニ。一番奥のティンパニはあきらかに抑制のコントロールを敷いている。強打が一度も無い。ピアノから、いってもメゾフォルテまでのなかを慎ましやかに締めて鳴らしている。
抑制ティンパニ、強吹きウィンドが手前の弦の上のほうに乗っかりながら前に出てくる。ウィンドのアタックが強めに明確に響いてくる。溌剌、快活、粒立ちの良さ、ウィンド中心に心地よい響きで前進。これに鬱蒼と林立する弦の強弾き。ギュッと締まったアンサンブルで、だから、上をウィンドがグイッと手前に易々と現れることが出来る。見事な音響美ですな。紅白ホール。

3本のホルンは、マウスピースが口につくまえに音が出ているのではないかと思えるような超安定の福川はじめ男3人衆、バランスが素晴らしく良くて美しいハーモニーを楽々と奏でる。日常でも異常に息が合っているのではないのか。
3楽章はトリオにとどまらず全て見事な鳴りっぷり。勇猛で品のある口さばき、さすがだわ。

終楽章はヤノフスキの頭の中の譜面がレントゲン写真のようによく見えるもの。正面突破のベートーヴェンに揺らぎはないですね。確信の進行です。
全4楽章、フレームで仕切られた美しい絵のようなパフォーマンスでした。

前半はヒンデミット。
1曲目のウェーバー変容。8人のパーカス・セクションはなんだかそれだけで壮観。しも手から中央に展開した8人衆、特に2楽章など多彩なニュアンスがちりばめられたもので、もはや、変容の作品越えのさばき。圧巻。
全楽章、次から次と出てくるフレーズが面白いように決まる。アンサンブルが前に出たり引っ込んだり、その間に別のアンサンブルが引っ込んだり出たりしている。この立体感。色々と聴きどころ満載で、鮮やかな演奏がさらに面白みを増幅。終楽章のマーチは決して踏み外すことの無いもの。熱狂とは異なる世界観が垣間見えるヤノフスキのタクト、冷静なコントロールに感服。

2曲目のコンチェルトはウィンドプリンシパル4人衆とハープがポーディアムを囲むようなセッティング。場替えにだいぶ時間がかかった。この作品は、たぶん、お初で聴く。
ウェーバーの緊迫感が最初は尾を引き漂うものの、楽章が進んでいくにつれ、それにクラリネットによるメンデルスゾーンの結婚行進曲連続技のあたりになると、なんだか例の湯治場を思い出してしまった。

本日の快演ありがとうございました。
おわり