河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2384- キャンディード、弦アダージョ、ラプソディインブルー、小曽根、コープランド3番、スラットキン、デトロイト響、2017.7.17

2017-07-17 23:53:33 | コンサート

2017年7月17日(月) 3:00-5:30pm 文京シビックホール

バーンスタイン キャンディード、序曲   4′

バーバー 弦楽のためのアダージョ  9′

ラプソディ・イン・ブルー  25′
 ピアノ、小曽根真
(encore)
小曽根真 エイジアン・ドリーム  5′

Int

コープランド 交響曲第3番  10-9-9-16
(encore)
菅野よう子 花は咲く  6′
F.スラットキン  悪魔の夢  2′

レナード・スラットキン 指揮 デトロイト交響楽団


1998年にヤルヴィNと一緒に来日、今回は2度目の来日公演となるデトロイト交響楽団。
アジアツアーの一環。日本での公演は以下の6回。
2017年
7.14 聖徳大学川並香順記念講堂
7.15 豊田市コンサートホール
7.16 ザ・シンフォニーホール
7.17 文京シビックホール ●
7.19 オペラシティコンサートホール
7.20 ハーモニーふくい


このうち、7月17日の公演に潜入。

休憩後に置かれたコープランド3番は、オーケストラの草木もなぎ倒すモースト・パワフル・ウルトラ・アンビリーバブルな演奏となりました。シビックホールの天井の蓋が天空に飛び散って逝ったブラスセクションの鬼気迫り越える鬼サウンド。パーフェクト。空前絶後の絶対演奏。

この3番は聴きようによってはノーブル、ときに上から目線を感じる作品。絶対音楽風味満載だが冷たさと誇りが綯い交ぜになっている。誇りは戦って勝ち得た自由の響き。どこぞの勝手気ままと自由のはき違え行動とはだいぶ違う。アメリカ時代の自由の象徴のような響きを感じる大作。上から目線というよりは、上に目がありその水平レベルに全てがあるべきだという平等の世界観を音楽で達成しようとしたようにも聴こえてくる。ファンファーレの出現は高貴なものを感じさせてくれる。
色彩的には、摩天楼から見る地平線、目線を変えて遠くから見るスカイスクレイパー。ともにシルエット風なモノトーンを感じさせる。大編成で多彩な音色を楽しめる曲ながら聴後感というのは一色、一線だ。派手な色彩だったという気がしない。メカニカル文化真っ盛り、うっそうとしたビルの森林。

ファンフェアー・フォ・ザ・コモン・メンの節で始まる終楽章導入部は感動的、この楽章はコッテリと長い。その前の1,2,3楽章は同じような長さで、ともにソナタの形式を踏襲している。バランス感覚に優れた作品。
脳天が吸い込まれそうになるブラスセクションの咆哮は音圧、技術力、バランス、全てが圧倒的。決してかき消されることの無いストリング、ウィンドのアンサンブルの凄さ。彫りが深い。これらにさらに立体感を与えているのがパーカス。全フレームがものの見事に浮き上がる。開いた口が塞がらない。パーフェクト。
緩徐楽章はドライというか静かだが埃っぽい音楽。コープランドのもう一つの目を感じる。
フィナーレはドラマチックでしなやか、多様なコープランド・ワールド。

スラットキンは1980年代を中心にセントルイス響で振りまくり、アメリカのビッグファイブに食い込む勢い、はたまたビッグシックスかと。当時このコンビでカーネギーにも出張って演奏をおこなっており、また単独でニューヨーク・フィルも振っている。両方幾度か聴きましたが、まぁ、当時、既に巨匠。絶好調男。自分の印象としては若いときから巨匠。特に現音オーソリティ。日本では相応に名前は知れ渡ってはいるものの決定打には至っていない感じ。
今日のコープランドのまとまりの良さ。派手は派手、その派手さもすべて彼の手の内にある。オーケストラを隈なく統率しているように見受けられる。作品の中に集中していっている姿があって自ら音響の中に耽溺しない。コントロールと開放に優れた棒技。等身大の等身がおそろしくビッグ。
デトロイト響の1980年代はギュンター・ヘルヴィッヒの時代。このコンビでの公演も聴きましたが、もはや同じオケとは思えない。当時も申し分ないオーケストラではありましたが、さらにパワーアップ、昔を軽く凌駕している。
今回のコープランド、このようにして日本で聴けるのはセンセーショナルと言ってもいいのではないか。エポックメイキングな出来事ではありました。日本国内でこれからどのようにアメリカ音楽が奏されていくのか期待大。


アンコール1曲目の花は咲く。各楽器が歌を引き継いでいくのだが、短いフレーズながらトロンボーンとチューバのビブラートには少しびっくり。ここらへんにもオケの柔軟さを感じた。

1曲目のキャンディードもそういえば、同じような傾向があったのかもしれない。派手にして硬直とはちょっと違うんです。

たっぷり時間をかけたバーバーのアダージョ。ブルーな憂いと美しさが混ざり合ったストリングは強靭でニュアンスたっぷり。多様性を感じるアメリカ音楽。

ガーシュウィンはアドリブが長すぎて違和感あり。あらぬ方向に膨らんでしまった。ピアニストは自己陶酔の世界に自分の世界観で浸っているようだ。どうしたことだろう。
「デトロイト響 feat. 小曽根真」といううたい文句はもしかして客寄せの意味合いがあったのかと思うのだが、スラットキン&デトロイト響のビッグワールド、これではなく、アイヴスのシンフォニー2番でも置いてくれたら、後半のコープランドともども、決定的な公演になっていたように思う。

メンバー表を見ると弦を中心に中国系のかたが大変多い。時代とともにあるのだろうが。


参考
1980年代前後のニューヨーク州マンハッタンでのビッグファイブを中心としたブロードキャスト。

月曜日WQXR 9:05pm ボストン響
火曜日WQXR 9:00pm  フィラデルフィア管
水曜日
木曜日WNCN 10:00pm カーネギーホール公演(アメリカの国外団体)
金曜日WQXR 9:05pm デトロイト響を中心にアメリカ国内オケをリストアップ
土曜日WQXR 9:05pm クリーヴランド管
土曜日WQXR 午後 メトロポリタンオペラ、マチネー・ライブ
土曜日WNCN 9:00pm アメリカ国外団体のアメリカ公演とヨーロッパ公演
日曜日WNCN 1:00pm シカゴ響
日曜日WQXR 3;05pm ニューヨーク・フィル
他省略(ほかにもある)

木曜日のカーネギーホールでの公演は1時間の抜粋もの。他は概ね2時間枠、割愛といったことはしない。2時間枠越えのものも全曲放送。メトは公演丸ごとの全米向けライブ放送。

金曜日のWQXRはデトロイト響を中心にアメリカの著名オーケストラ公演を放送。ニューヨークでの位置づけはブロードキャスト的にはビッグファイブの次がデトロイト響だった。

以上、1980年代とその前後のマンハッタンでのFM放送、およびサイマルキャスト放送、抜粋。(記憶と保有資料より)
おわり