2017年4月17日(月) 7:00pm 東京文化会館
ラヴェル マ・メール・ロワ 27′
Int
ジョン・アダムズ シェヘラザード.2 (日本初演) 15′14′10+9′
ヴァイオリン、リーラ・ジョセフォウィッツ
アラン・ギルバート 指揮 東京都交響楽団
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2014年作、ほやほやの作品、本邦初演。
劇的交響曲と銘打っているが、ヴァイオリンと管弦楽のための、とあるように、観れば実際のところ、ほぼヴァイオリンコンチェルト。リーラの譜面無しエネルギッシュな演奏とアクション、一人舞台の感がある。
.2というのは、Rコルサコフの続編という意味だと思うが、中身はまるっきり違う。もちろん下敷きストーリーは同位相のものだろうけれども、そこに今の時代の出来事を重ね合わせている。
副題付き
第1楽章 若く聡明な女性の物語‐狂信者たちに追われて
第2楽章 はるかなる欲望(愛の場面)
第3楽章 シェヘラザードと髭を蓄えた男たち
第4楽章 脱出、飛翔、聖域
終楽章へはアタッカでするりと滑り込む。
冒頭から、短い音符がリズミックに、強弱の記号問わず、上下あちこちと飛び回る。特に弱音系での飛び回りは独特の力感がありますね。それと、アンサンブルのユニゾン進行が結構ありそうな気配で、深淵を覗き込むような勢いある進行が素晴らしくさえわたるアダムズ。
このての作品には抜群の表現を魅せる都響、跳ぶ音符を正確に合わせていかなければならない、もってこいのオケです。目をつむって聴いても汚れは、無い。ヨーロッパツアーとかに持っていく作品はこういうものにすべきだったのだろう。(仮定法過去完了形)
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第1楽章の飛び跳ねる音符の迫力。なぜか、リゴレットのジルダ誘拐のシーン、音を抑えた中に落ち着かないざわめきの音楽、あれが浮かんできた。気持ちを不安定にさせる技法効果がさえます。ヴァイオリンソロは別世界の出来事のように響く。伴奏越えのオケパートとソロヴァイオリン、これはこれでガチンコかもしれない。
この楽章が一番長い。ヴァイオリンコンチェルトをイメージ出来ますね。
次の2楽章は前楽章の緩徐部分の雰囲気を引き継いでいる。それが全部に広がりをみせていく。音色旋律風味な進行をゆっくりと聴ける。だいたい副題のイメージ通りの音楽進行。
第3楽章は、作品副題のドラマチック・シンフォニーの命名を思い出し。スケルツォ風の激しい音楽となる。
リーラは軽快に小ジャンプを繰り返し、時に口を大きく開け、まるで何かを訴えかけているように、叫ぶように、激しいプレイ。猛アクション弾き。小柄な中に今日のパンツは正解とうならせる。激しい演奏。譜面台があったら、飛んでいただろう。この作品のスペシャル・オーソリティにふさわしい内容でした。興奮。
進行する激しい音符。そして、
ギルティー、と。
苦し気にヴァイオリンが鳴り、そのままアタッカで終楽章へ。
このフィナーレ楽章の副題は、三つ並べてあって、進行はまさしくその通りのイメージと順番。三つ目の聖域と思われるあたり、弦楽合奏が骨太に大きく力強く、都響渾身の猛弾き。聴き応えありましたね。
先細り感を感じさせながら、音楽は天に昇る。
存命現音作曲家作品に殊の外優れた解釈と棒を魅せてくれるギルバート。踊り振りしない(できない)指揮姿はやっぱり本物と痛切に感じる。ニューヨーク・フィルはこの種の作曲家作品を少なからず取り上げてきている。一方、エンタメの街マンハッタンでもあって、毎週4回のリピート演奏、まぁ、色々とあるのだろう。(都響のプレミアム音楽監督になって、)
ということで、アダムズの本邦初演新作品、思う存分に楽しめました。
ありがとうございました。(もう1回ある)
おわり
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参考 世界初演
2015年3月26、27、28日 エイヴリー・フィッシャー・ホール
リャードフ 魔法にかけられた湖
ストラヴィンスキー ペトルーシュカ(1911)
ピアノ、エリック・ヒューブナー
Int
アダムズ シェヘラザード.2 (世界初演)
ヴァイオリン、リーラ・ジョセフォウィッツ
アラン・ギルバート 指揮
ニューヨーク・フィルハーモニック