河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2302- マルクス・アイヒェ、リサイタル、2017.4.2

2017-04-02 23:22:21 | リサイタル

2017年4月2日(日) 3:00pm 小ホール、東京文化会館

シューベルト
さすらい人 D489  5′
月に寄す D193  3′
宝堀の願い D761  3′
さすらい人 D649  3′
さすらい人の月に寄せる歌 D870 3′
ドナウ川の上で D553  5′
船乗り D536  2′

ベートーヴェン はるかな恋人にOp.98  14′

Int

シューマン リーダークライス Op.39   25′

(encore)
ベートーヴェン くちづけ  2′
シューベルト  音楽に寄せて  3′
ワーグナー  タンホイザーより 夕星の歌  5′
コルンゴルド  死の都より ピエロの踊り  5′


バリトン、マルクス・アイヒェ
ピアノ、クリストフ・ベルナー


前日、神々の黄昏でグンターを歌ったアイヒェ、今日はリサイタル。
グンターのところでも書きましたが、実にいい声。柔らかいバリトンの声がシューベルトを掌で水をすくうように、ゆっくりと縁どりしていく。たっぷりと音楽が広がっていく。こぼれるような歌声。インテリっぽい雰囲気からときに大きくアクションをとり激しく歌い上げたりもする。知的な理性の感情が作品に作用する。詩を消化しきっているのだろう。ものすごい説得力。切迫感のような表現も秀逸ですね。

別冊でリブレットがつきました。歌っている時は暗くてかすかに見えるだけの対訳ですが、発音がきれいでオリジナル言語と日本語を追いつつ、シンガーも見つつ、聴く姿勢は前面に集中と。最後尾の席で聴いたので色々とあちこち割と自由だった。まぁ、そういうのも手伝って、自由に満喫。
シューベルト選曲7曲。1,2曲目と4,5曲目は呼応しているようなタイトル、なにかそのような意図があったのでしょうか。

ベートーヴェン。静かな中からジワッと浮き出てくる。息の長い歌が徐々に盛り上がってくる。次第にドラマ性をおびてきて、最後はアッと、グサッと終える。大迫力。
強い構成感。ドラマチックなアイヒェの表現力はほれぼれするもの。まぁ、作品も歌も前向き、圧倒的圧力。

豊かな表現力。アイヒェは結構動く。伴奏のピアノの鍵盤側のほうを見て歌うことが多く、いつも鍵盤側で聴く身としては、声が飛んできてよかったですね。
そのピアノ、ベルナーさんとは呼吸がよく合っている。ピアノで終わるピースも味わいが深い。美しい余韻。

後半はシューマン。この作品は2月に聴いたばかり。
2278- ディートリヒ・ヘンシェル、岡原慎也、2017.2.19

なんだか、まるで違う。別の曲を聴いているような感じ。
理性の感情。ここでも強弱が濃い。濃淡が自然で滑らかに歌われる。暗い中、リブレットを見ながら味わうシューマン。贅沢だなぁと思った。ここにきてスウィートな雰囲気が出てきたところもあった。変幻自在、自由自在の歌いっぷりに感服。シューマン満喫。

コクのあるビューティフルな歌のあとは、アンコールが4曲。夕星が特に印象的。線がしだれ柳のように垂れている様が見事なラインで歌い尽くされる。名唱でした。

充実のひと時、思う存分楽しむことが出来ました。
ありがとうございました。
おわり