2017年4月14日(金) 7:00pm 小ホール、東京文化会館
オール・ブラームス・プログラム
ヴァイオリン・ソナタ第2番イ長調 (ヴィオラ版) 9′7′5′
ヴィオラ、川本嘉子
ピアノ、ヴァハン・マルディロシアン
ヴァイオリン・ソナタ第3番ニ短調 8′5′3+5′
ヴァイオリン、竹澤恭子
ピアノ、ヴァハン・マルディロシアン
Int
主題と変奏ニ短調 12′
ピアノ、ヴァハン・マルディロシアン
ホルン三重奏変ホ長調 (ヴィオラ版) 8′7′7′6′
ヴィオラ、川本嘉子
ヴァイオリン、竹澤恭子
ピアノ、ヴァハン・マルディロシアン
(encore)
グノー アベ・マリア 5′
ヴィオラ、川本嘉子
ヴァイオリン、竹澤恭子
ピアノ、ヴァハン・マルディロシアン
●
こうやってブラームスを並べて聴くとあらためてベートーヴェンはメロディーメーカーだったと再認識するわけだが、ピアノと弦の2本だけしかない旋律でさえハーモニーがよく流れるブラームス。ベートーヴェンのようにささくれだったところがない。よく秋口に聴くといった話が多くあるのも、心に秋模様が漂う時、ブラームスモードの音楽はよりふさわしいのかもしれない。その実感。
2番はヴァイオリンパートをヴィオラで弾く。演奏者自身による編曲とあるから川本さんが自ら編曲したのだろう。
川本さんの音は美しい。やや骨太でクリア、強靭なヴィオラサウンド。楽曲を明確に響かせようという意思が感じられる。潤いのウェット感の味わいはこの意思のあとからついてくるもののように聴こえる。3番の竹澤さんの鋭角に研ぎ澄まされて上に突き刺さるようなヴァイオリンとはまた違った魅力がありますね。
その3番、竹澤ヴァイオリンは呼吸が素晴らしい。歌うといった言葉で形容する弾きではないと思う。自ら感動の中に入っていない、プレイ中のプレイヤーあたりまえの振る舞いだと思いますし、自然な理性、知性の弾きを感じさせてくれます。色合いは川本ヴィオラとは異なりますけれども、お二方ともにそのようなところを感じさせてくれる。双方、一段高みにあるソロですね。いい演奏、スバラシイ。ブラームス満喫。
休憩を挟んで、4曲全部弾くピアノのお方。日本語の妙を感ぜずにはいられないお名前のかた。あまり控え目にコントロールすることもなく伴奏をつけていました。主題と変奏ではソロ弾き。女性二人にはかなわない。
最後のホルン三重奏、ここはホルンでやってほしいところだが、そのパートはヴィオラで。作曲者自身がヴィオラ代替を認めているということなので。
ヴィオラ版を聴くと、オタマがいかにも点のように聴こえてくるところが多くある。短いフレーズ、やっぱり、ホルンはホルンでお願い。
女性二人の演奏は知性理性に熱がこもり始め、対峙しているわけでもないのに火が飛び散る圧巻の熱演。ブラームスの炎、見ました。
思う存分、ブラームスを楽しみました。
ありがとうございました。
おわり