河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2814- モツコン25番、ラローチャ、ブルックナー7番、テンシュテット、ニューヨーク・フィル 1986.10.16

2022-05-31 19:22:49 | コンサート
1986年10月16日(木) 8pm エイヴリー・フィッシャー・ホール

モーツァルト ピアノ協奏曲第25番 K.503

ピアノ、アリシア・デ・ラローチャ

Int

ブルックナー 交響曲第7番


クラウス・テンシュテット 指揮 ニューヨーク・フィル

(感想別途)

2794- スクリャービン 1番 5番プロメテウス アシュケナージ N響 2006.2.25 N響創立80周年記念

2021-09-04 23:16:18 | コンサート
2794- スクリャービン 1番 5番プロメテウス アシュケナージ N響 2006.2.25 N響創立80周年記念

2006年(平成18年)2月25日(土) 6pm NHKホール
N響創立80周年記念

スクリャービン 交響曲第1番

メゾ、マリーナ・ブルデンスカヤ
テノール、セルゲイ・ラーリン
合唱、国立音楽大学
ウラディミール・アシュケナージ 指揮 NHK交響楽団

INT + プレトーク

スクリャービン 交響曲第5番 プロメテウス

ピアノ、ペーテル・ヤブロンスキー
色光ピアノ、井口真由子
合唱、国立音楽大学

プロデューサー/川口義晴 照明/成瀬一裕 演出/今井伸昭
装置/鈴木俊明 音響技術/関口嘉顕 衣装デザイン/小野寺佐惠
舞台監督/徳山弘毅 舞台監督助手/クリエイション
大道具制作/東宝舞台(株)、村上舞台機構
照明/(株)ライティングカンパニーあかり組、CAT
照明制作/栗山聡之、(株)マグナックス
イメージ・メッシュ/(株)コマデン
音響/T・H・M 衣装制作/東京衣装(株)
色光ピアノ制作/ヤマハ(株) 製作協力/(株)せきれい社

監修 野原泰子

ウラディミール・アシュケナージ 指揮 NHK交響楽団


オペラ嫌いのアシュケナージが組みそうないかにもショートなプログラム・ビルディング。両曲とも短い合唱があるため、同じ日でないとなかなか実現できないのだろう。今日の目玉はもちろんプロメテウス。
音は色である。ステージ後方で映像が色光ピアノとともに変化していく。神秘主義のイメージが具現化されたものであろう。昔であれば相当なインパクトであったことであろう。でも今のデジタル社会の現在、仕掛けも含めて普通。世界の技術的進歩のせいでスクリャービンのイメージしていた世界は実現したわけだが、まわりの現実はこのような技術的映像には十分すぎるほど慣らされてしまっており、皮肉にも、実現した時、過去のものとなってしまった。ウィンドウズ・メディア・プレイヤーでCDを再生しているときに出てくる視覚的模様のようなものだ。
試みは別にしても、視覚的にはインパクトはなかったが、演奏は大変に充実したものであった。この両曲とも演奏される機会はあまりないのでそれ自体貴重である。第1番の充実したサウンド、弛緩することのない緊張感あふれる演奏が曲の弱さを忘れさせてくれる。
プロメテウスの第5番は、録音で聴く音とはかなり迫力が異なり、マッシヴなサウンド。ただ、分解能力があまりあまりよくないのは曲のせいか、オケのせいか、指揮者のせいか。線が不明瞭になってしまうところがある。合唱がはいると、オケとの音色が明確になるせいか良い響きを醸し出していた。最後はニニ・ロッソの夜空のトランペット風なメロディが壮大に曲を締めくくる。
おわり

追記
スクリャービンの5番プロメテウス、N響の解説はちからがこもってる。
フィルハーモニー2006年2月号及び、定期公演冊子2月号は大変に充実したものでファン垂涎ものですね。











2793- シューベルト3番、ブリテン、ディヴァージョンズ、舘野泉、プラハ、阪、山響、2021.6.20

2021-06-20 23:45:33 | コンサート
2021年6月20日(日) 3pm テルサ、山形

シューベルト 交響曲第3番ニ長調D.200 9-5-4-7

ブリテン
左手のピアノと管弦楽のための主題と変奏「ディヴァージョンズ」Op.21  26′
ピアノ、舘野泉

(encore)
山田耕作 赤とんぼ (梶谷修 編曲)  3 

Int

モーツァルト 交響曲第38番ニ長調 プラハK.504  18-10-8

阪哲朗、山形交響楽団

公演二日目、冒頭のシュベ3は昨晩よりややゆっくりめ、たっぷり満喫。ナチュラルラッパのはずしは気にならなくてむしろ、ああそうだったかナチュラルだったかと気づきをさせてくれるところもありますね。3番、大きな作品でした。
他、2曲も概ね前日同様で愉悦の連日でした。
ありがとうございました。
おわり















2792- シューベルト3番、ブリテン、ディヴァージョンズ、舘野泉、プラハ、阪、山響、2021.6.19

2021-06-19 23:40:53 | コンサート
2021年6月19日(土) 7pm テルサ、山形

シューベルト 交響曲第3番ニ長調D.200 9-4-4-6

ブリテン
左手のピアノと管弦楽のための主題と変奏「ディヴァージョンズ」Op.21  26′
ピアノ、舘野泉

(encore)
木島由美子 桃花水 4

Int

モーツァルト 交響曲第38番ニ長調 プラハK.504  18-10-8

阪哲朗、山形交響楽団

緞帳が、のそりと上がり、真っ暗闇の中から何か黒いものが動き出す。フィガロというよりもドンジョワールドの幕開け。この、スーパースローモーションの序奏から、何から何まで、まるでオペラ。確信犯的妙技棒で、ただ事ではない40分に迫るプラハにのけぞる。

用意周到のロング序奏、提示部リピ、展開部と再現部を束で丸ごとリピしているようにも聴こえてくる。これでメヌエットとかあったらブラ1レベルの長尺物になるわ。もはや、オペラモード満喫、フィガロ、ドンジョ、マジックフルートなんか振ったらたまらんですよね。
タップリと楽しめたプラハでした。

ディヴァージョンズを弾くべく車椅子での登場となったピアノの主。なにもかも動きそうに無い中、ピアノの椅子に座ると全ての事が動く、音楽が肉体を支えている稀有にして不思議な世界が現れた。ピュアなブリテン全11変奏、明晰でクリア、音楽が滴り零れ落ちる。見事なものだ。

シュベ3、プラハでは棒持たずの振りでしたがディヴァージョンズで棒を持つ。オケもやっぱり伴奏越えの難儀な作品なのだろうと思いましたね。
パーカスは上手に集結。大規模な作品でした。
左手独奏ピアノを補完するようなハープ等々、それと伴奏系ラインが明確に分離している。機能的というかそれに優れた作品のように思えました。
左手で弾く、フメクラーも左サイド、きれいな鳴りが全部前に飛んでくる。聴きごたえ満点でした。

公演初めの曲シュベ3。長い息音ハーモニーがディミヌエンドしていく中、ウィンズの小気味いいスタッカート風なアクセントが沸き立つ。活き活きとしたカウンターメロディーバランス、阪の真骨頂はいきなり1曲目からくる、鮮やかな演奏と言えよう。

以上3曲、音楽表現というものをズッシリと感じ取ることができました。
ありがとうございました。
おわり















2787- コープランド、アパラチアの春、クラリネット協、山口、チャイ4、高関、東京シティフィル、2021.4.17

2021-04-17 22:51:01 | コンサート
2021年4月17日(土) 3pm ティアラこうとう大ホール、住吉

コープランド バレエ組曲 アパラチアの春 24

コープランド クラリネット協奏曲 9-8
 クラリネット、山口真由

Int

チャイコフスキー 交響曲第4番ヘ短調Op.36 20-10-5-9

高関健 指揮 東京シティフィルハーモニック管弦楽団


なだらかな山間、小屋の煙突、空気を浄めるような煙、そんなアトモスフィアに、清く正しくキレキレなサウンドが実に心地よく鳴り響いたアパラチア、原点回帰の室内楽的な線と線の絡み合い、ウィンズ、ブラスが彩りを添える。静謐で極上なコープランド。奏でられる音が水平に広がりを魅せていき、ひとつひとつの線が美しい曲線となりエコーが返ってくる。
この素晴らしきモードが次の協奏曲まで引き継がれていく。ブレス以外くちもとが全く動くことのないクラリネットの山口さんは本当に吹いているのだろうか。まあ、目が点になるプレイ、気持ち良きコープランドの神髄ですなあ。
これら2作品の表現、作曲家が求めていたものだろう。ビューティフルなプレイにうなりました。オケメン、それにオケメンソリスト、光る実力。たっぷりと満喫。

指揮の高関は、昨今は棒持たずの振りだと思うのだが、それとも心変わりしたのかどうか、しっかり持って振っていましたね。あるべき姿だろう。
コンチェルト含め3作品ともに棒持ち振り。チャイ4の3楽章のみ素手振り。このチャイコフスキーの頭2楽章に30分かけた味わいの深さ、ともすると研究室での発表会的なエレメントが前面に出たりすることもあるが、この強固な建築物件にほんのりとニュアンスがナチュラルにちりばめられている。こうなるとラボラトリーも、もはやひとつの芸風なのだろうと感じるところも多いですね。SNSにスコアさらしての講釈は不要とは思いますが。
まあ、発表会は言い過ぎで、完成品の披露でしょう。そのような演奏でした。
ありがとうございました。
おわり















2786- ハイドン95、モーツアルトオボエ協、吉井瑞穂、シューマン春、鈴木雅明、N響、2021.4.16

2021-04-16 23:32:52 | コンサート
2021年4月16日(木) 6pm 東京芸術劇場、池袋

ハイドン 交響曲第95番ハ短調 6-5-3-4

モーツァルト オーボエ協奏曲ハ長調K.314 8-7-6
 オーボエ、吉井瑞穂

(encore) 
トマー 神ともにいまして 2

Int

シューマン 交響曲第1番変ロ長調op.38春 11-7-5-8

鈴木雅明 指揮 NHK交響楽団

この長い禍の折、国内在住の著名日本人指揮者達はあちらこちらと多忙で商売繁盛ということがいいのかどうかわからないけれども、非日常の事態が本来の活躍の場を作ってくれたようにも思えなくもない。中身のほうがが追っかけていくようなものでなければそれはそれでいいのだろうとも思う。ゆがんでいたものが消えたような気もする。
昨今、ウイルスと言えば、コンピュータの話で、生き物と鉄の塊が妙にマッチして違和感のない日常だったのが、2020年1月末か2月初め頃だったろうか、それまであまり考えてなかったことがワッと迫ってきた。本物のウイルス。いまだにおさまらない日常。

著名指揮者の登場です。が、シューマンは指揮者がオケに追い越されている。名前が振っているだけなのではないのか。にわかに振ることになった曲なのだろうか。先を急ぐ棒、それを越えて急ぐオケ。

前半、モーツァルトのオーボエコンチェルト、ソリストのリズミカルな流れ、カデンツァでさえそのままのリズムを感じさせてくれる。見事な吹きっぷり。ひとつの線が生き物のように動く曲、際どいと言えば際どい流れの作品、一回崩れたら全部崩壊、みたいな作品をものの見事に完吹。オーボエを聴く醍醐味を満喫しました。
おわり

ハイドン10-10-8-6-3両翼対向
シューマン12-12-8-6-5両翼対向





2784- ベートーヴェン1番、運命、阪哲朗、山響、2020.7.7

2020-07-07 23:35:02 | コンサート
2020年7月7日(火・七夕) 7pm やまぎん県民ホール

ベートーヴェン 交響曲 第1番 ハ長調 op.21 9-7-3-6

Int

ベートーヴェン 交響曲 第5番 ハ短調「運命」 op.67 7-8-5+11

阪哲朗 指揮 山形交響楽団


今年2020年の5月13日に全面オープンした新ホールにお初でうかがいました。全2001席で3階席までのいかにもオーケストラ向きのビューティフルなもの。山形駅から至近距離、広々とした作りは気持ちを落ち着かせてくれる。床など命名権を得た銀行がもっとお金をかけてもよかったのではないかと思わせるところもあるが、まずは聴いてから。

阪の創り出すベートーヴェンを中心としたいわゆるドイツ物はどれもこれも素晴らしいもので、厚い表現とオケをドライブするちから、みなぎる正面突破の演奏に屈服させられてきた。今日の演奏も食指が動く以上のものでここに吸い寄せられた。

ひとつの小節のなかに込められたナチュラルブラスセクションの4つのアタックがひとつずつ異なる強弱と色彩で生き生きと奏でられていき、それらの濃いニュアンスが果ては全インストゥルメントに自然に波及していくさまはお見事の一言に尽きる。生きて甦るベートーヴェン。
そしてソナタで彼がいつも魅せてくれる第2主題の濃さ。主主題と対をなすにふさわしい味わい深さだ。コクあり過ぎ。
それからもうひとつ、例えば運命の第2楽章を思い出してみよう。シームレスな流れがすぅーと進んでいくなか、時折、仕切り直しのように静まり改めて始まるようなこのアトモスフィア。この漂う空気感を何と言っていいのかわからない。フルヴェンの創り出した響きとよく似ている。ひとときやんだ祈りがまた始まる。そんな感じ。

バンテツの真骨頂がよく出た演奏だったように思います。両曲ともに堪能できました。
リピートあり、対向配置。
ありがとうございました。


2001席のホール、コロナウィルスの影響で席は約300席のみの販売。2、3階席はクローズで、1階席のみ。隣席もしくはその隣まで空席で、横通路より前は右サイド左サイドの席もクローズ。
前寄りの席は、やや、スピーカーの中で聴いているような豊かな音で、コンパクトな編成を思わせることはまるで無い。ザッツポイントの位置を模索しているようなところもある。バーンといくのか、遅れてズシーンと始めるのか、色々とも模索しているようにも聴こえてくる。出来立てのホール、これから少しずつホールと音の一体化が構築されていくことだろう。オーケストラ演奏志向のホールに相応しい響きが醸し出されるようになっていくことだろうと思う。
おわり


《やまぎん県民ホール×山響 ベートーヴェン交響曲スペシャル(第1回)》



























2775- モーツァルト、アポロとヒュアキントゥス、協奏交響曲、ブルックナー、ミサ曲第3番、飯森範親、山形交響楽団、2020.2.15

2020-02-15 22:36:13 | コンサート
2020年2月15日(土)  6:40pm 山形テルサホール

ロビー・コンサート 

エリック・イウェイゼン フィルハーモニック・ファンファーレ  3

ヒダシュ・フリジェシュ 金管三重奏のためのトリーガ  6

トランペット、松岡恒介
ホルン、関谷智洋
トロンボーン、太田涼平


2020年2月15日(土)  7pm 山形テルサホール

モーツァルト アポロとヒュアンキントゥス K.38 序奏  3

モーツァルト 協奏交響曲変ホ長調K.364  13-11+8
ヴァイオリン、平澤海里
ヴィオラ、山中保人

(encore)
ヘンデル(ハルヴォルセン編曲) パッサカリアより  2

Int

ブルックナー ミサ曲第3番ヘ短調WAB.28  10-11-18-2-9-9
ソプラノ、梅津碧
アルト、在原泉
テノール、鏡貴之
バリトン、鈴木集
合唱、山響アマデウスコア

飯森範親 指揮 山形交響楽団



ブルックナーのミサ曲を聴きに来たはずでしたが、ロビー・コンサートも含め全部おいしくいただくことができました。大変に素晴らしい一夜でした。

ロビコンは聴くつもりはなかったのですがちらっと覗いたら、ブラスの三重奏をやるというので、おお、これなら聴いてみようと。
お恥ずかしながらこの2曲の作曲家のこと全く知らず、でもまあたぶんブラスゆかりの方達だろうなというぐらいの感覚。3分と6分ほどの曲、エリックの作品はタイトルの通りファンファーレ、ブラスにふさわしい作品。ラッパ群の腕も冴えわたるきれいな音の吹奏。二つ目のヒダシュは結構長くて、途中、もしかして過去にどこかで聴いているかもしれない、そんな気がしてきた。浮き沈みがあって技巧共々凝らした作品でなかなか良かったですね。金管アンサンブルでやってみたくなりますね。きっと吹いているほうが一番楽しいだろう。

ということで、始まる前からなんだかとても儲けもの、聴く気力も充実してきた。

メインプロは、飯森&山響コンビのモーツァルト、これも食指ピクですね。売り場にある彼らのモツ全を横目で流しつつ席へ。
モーツァルトのオペラ、アポロとヒュアンキントゥス、聴いたことが無い。お初で聴く。序奏だけでも聴かせてもらえばこのお得感。良質のオケサウンドで聴くモーツァルト。程よい流れ、当然、オペラまるごと聴きたくなりますね。

次の協奏交響曲はヴァイオリン、ヴィオラに同オケのメンバーを立ててハイレベルのパフォーマンスを魅せてくれました。
緩徐楽章アンダンテ、短調の憂い。ここ、凄くハートに突き刺さりました。規模の大きい曲、同オケのソリスト二人がオケと同質な呼吸で、かつ、ソロの主張が美しい。ほどほどのオーケストラ編成が身についているためか、ナチュラルな響きバランスで協奏曲風な楽しみを味わいました。


キリエ 10
グローリア 11
クレド 18
サンクトゥス 2
ベネディクトゥス 9
アニュスデイ 9

後半はブルミサ3。約60分の熱演。熱演だが全く余計な気張りが無い。すっきりと抜けた声とオケが心地よく飛んでくる。さわやかにしてお見事な演奏でした。
オケは対向、8-8-6-5-3、オルガンと3つのトロンボーンはかみて、合唱とソリスト4名は奥にセットアップ。
頭の3曲キリエ、グローリア、クレド、これで約40分かかる。わけても20分近くのクレド、これが核で、対訳リブレットみつつではあるのだが、やっぱり、歌がメインというか当たり前な話ではあるのだが、透明で清楚、ピッチが一本の線のようであり、ブルックナーの激性と明快な構成感。これらが合わさって理解という頭の中にストレートに刺さってくる。その前のキリエ、グローリア。ブルックナーの回転するリズムや地滑り的な弦の回し、それを支える管達も見事だ。
ここまで3曲、一服。さわやかでヘヴィー、錯綜するのはこっちだけ。ブルックナーの書法が浮き彫りになるような聴き方はいつもシンフォニーばかり聴いているからなのだろうと少し反省しながら音楽に浸ることにした。
サンクトゥスのあとの2曲がまた結構な長さで、でも、力を抜いて聴ける。短い同一歌詞ということもあって出てくる音に集中できるというところもありますね。最後のアニュスデイの印象的なストップ。指揮者がタクトを置いてスコアを閉じても拍手が来ない。耳慣れない作品ということだけではなくて、拍手はあんまりしたくないなあという全員一致の空気感がそこはかとなく漂うような、お見事な集中力とパフォームでしたね。レアなブルミサ3に心から感服。いい曲、いい演奏。
山響アマデウスコアは第一声目から透明感と力感が聴衆にストレートに伝わってくるもので、ピッチの良さとパースペクティヴ感、ブルックナーの息の長いフレーズを支え、時にブルックナー特有なリズム回しが正確に歌われる。オーケストラ演奏も同じ。オケは歌より前に陣取っているものの合唱とソロをきっちり支え切ったという印象がありましたね。これは見事な音響バランスと言えるでしょう。ソリスト4名はみなさんお初で聴きました。いずれも東北・地元にゆかりのある方々でした。合唱共々良きブルックナーを作り上げました。
感動のブルミサ3でした。


終わってからロビーで指揮者、歌い手たちのトークがあったのですが、そこに、今日当演奏会を聴いていたという今を時めくピアノの反田さんがあらわれ、ご指名で一言話をしていました。これにはびっくりでしたね。

充実の公演、楽しめた一夜でした。
ありがとうございました。
おわり




















2774- ベートーヴェン8番、ブラームス1番、飯守泰次郎、仙台フィル、2020.2.14

2020-02-14 23:08:28 | コンサート
2020年2月14日(金) 7pm コンサートホール、日立システムズホール仙台

ベートーヴェン 交響曲第8番ヘ長調Op.93 9-4-5-8

Int

ブラームス 交響曲第1番ハ短調Op.68 18-9-4-18


飯守泰次郎 指揮 仙台フィルハーモニー交響楽団


このホールで聴くのは2度目。前回は硬質なホールサウンドにびっくりしたが、その時の左寄りの席から今回はやや右寄りに座ったところ、硬さがあまり気にならなかった。ちょうどいい感じかな。

先を急ぐことのないものでオケメン達もよくわかっているのだろう。時折魅せるアクセルが効果的、弦が雄弁でお喋りベト8の魅力満開。一本の線のように張り詰めていて美しく鳴る弦、鳴れば静謐さが増幅されるという、この空気感。指揮者とオケの息はあっていると言えよう。

充実のベト8のあとはブラ1。呼吸の合い具合はこの曲でも同じ。
まずは急がない。急ぐことが無い点でオケメン一致している呼吸です。よく見えます。
それと、みなの弱音腐心から答えが出た状態での演奏と言えるもの。弱音の表現に細心のコンセントレーションでのぞみ、今答えが出ている状態。それがストリング全体の混ざりけがなくて線が美しく雄大なアンサンブルとなって実っている。聴き合いながらのプレイ。なにか清々しい。
この1番初楽章の波形はベートーヴェンの運命を思わせるし、激烈さにおいても同様。雄大なアンサンブルにくさびを打つように進むさまはのっけからこのシンフォニーの振幅の大きさをよく表していて、ひとつのスタイルとしてその主張は説得力のあるものだ。執念さえ感じさせる。
アンダンテ楽章、スケルツォ楽章は同スタイルが奏功していて、コクのある内容で噛みしめて聴くに足るもの。あらためて耳を傾ける。いいですね。
両端楽章は本当に大きい。タイミング的にも同規模となり、テンポをいじらず激烈・静寂をダイナミックに繰り返して、核心に迫ってくる演奏で、こういった興奮もあるものだと今更ながらに思うところありましたね。



譜面の無い指揮台、背もたれの無い横長の腰かけが置いてあって、飯守さんが座ったのはブラ1初楽章のあとのチューニングのときだけでしたね。
盛況な演奏会でした。ありがとうございました。
おわり




































2770- スペイン奇想曲、リストPC1、ダニエル・ハリトーノフ、冬の日の幻想、パブロ・エラス・カサド、N響、2019.12.11

2019-12-11 23:07:03 | コンサート
2019年12月11日(水) 7pm サントリー

リムスキー・コルサコフ スペイン奇想曲   16

リスト ピアノ協奏曲第1番変ホ長調  5-4-3+5
 ピアノ、ダニエル・ハリトーノフ

(encore)
ダニエル・ハリトーノフ 幻想曲第2番Op.6  3

Int

チャイコフスキー 交響曲第1番ト短調Op.13冬の日の幻想  11-11-8-13


パブロ・エラス・カサド 指揮 NHK交響楽団


エネルギッシュで目の覚める指揮に、若々しくてフレッシュなピアノ。さえまくった内容のN響定期。この指揮者の事を知っているN響は心強い。

リストの1番コンチェルト。長身ダニエル、甘いマスクで、ホップステップジャンプの生き生き登場。もう、それだけで、若いって素晴らしいていう感じ。
リストは幾何学的、ぎこちなさとはちょっと違う角のある線の集合体を思わせる。両肘を少し狭めて両手が縦に扇子風な動き、広がりよりも垂直的な深さで刺さる。ストレートに即物風味満点。加えて、アダージョのデリカシーも萌える。対比が鮮やか。
このリストピース、一気に持って行ってしまった。有り余るヤングパワー。アンコールは自作自演で、今の彼のエネルギーの両面を見る思い。


冬の日の幻想。コントラストがよく映えるカサド。音が体に巻き付く。素晴らしく明快な指揮ですね。明確な区切りとシャープな節々、なんだが、リズム丸出しの小ロシアよりは少しばかりウェットな冬の日の幻想が得意な現音振りなのか。そこらあたりの微妙なツボもありそう。もはや、丸見えのレントゲン写真型ではあるのだが、ふくらみとかね、血がかよった白黒写真ね。才知が冴えわたる。
カサドは細川の松風の世界初演をした指揮者、それからサントリーのサマーフェスティバルでグルッペンも振っている。まあ、そちら系のオーソリティ、こわいものなしでしょうね。

ところで、冬の日の幻想、初楽章提示部の終わり展開部の頭のところに出てくるコントラバスの、いかにもチャイコフスキー風なメロディーライン、あれってなぜか、あすこに1回だけしか出てこないのよね。それから、スケルツォからトリオに移る所、フランクのシンフォニーの音型、あれも1回だけ。溢れ出るメロディーメーカーの真骨頂なのか。ああいったところもカサドさん、味わわせてくれる。



2009.8.31 サントリー

リゲティ、時計と雲

シュトックハウゼン、グルッペン

スザンナ・マルッキ(オケⅡ)
パブロ=ヘラス・カサド(オケⅠ)
クレメント・パワー(オケⅢ)
東京混声合唱団
N響

おわり








2768- メシアン、ブロッホ、アルトシュテット、コレッリ、メンデルスゾーン、鈴木優人、N響、2019.11.30

2019-11-30 23:18:04 | コンサート

2019年11月30日(土) 6pm NHKホール

メシアン 忘れられたささげもの  3+2+5

ブロッホ ソロモン  20
 チェロ、二コラ・アルトシュテット

(encore)
バッハ 無伴奏チェロ組曲第5番ハ短調BWV1011第4曲サラバンド  4

Int

コレッリ(鈴木優人編) 合奏協奏曲第8番ト短調 クリスマス協奏曲 3-3-2-6
 ハープシコード、鈴木優人

メンデルスゾーン 交響曲第5番ニ短調Op.107 宗教改革(初稿/1830) 11-6-8+6


鈴木優人 指揮 NHK交響楽団


リフォメーション、ほぼノンビブでの初稿版演奏。いつも聴いているものと随分雰囲気違いましたね。それはそれとしてもだ。
第3楽章の滴るような涙雨、極美の下降ライン。途方もない美しさですね。ブロッホのソロモンの解は如何に。様式の違いを越えて、音楽がこんなにちがっていいものか、いや、たぶんいいのだろうけれども、あまりにも違いすぎる。こんなに違うものを一緒に聴けて幸せでした。
アルトシュテットのアンコールはピンを押し込んで、抱き抱えての熱演。

デカオケのサブスクで鈴木優人プログラムをビルディングするのはそう簡単ではない気がする。大も小も兼ねるものではないと今日、実感。メシアンは既にトゥーランガリラもやってるし、コレッリの弾き振りも既知。メンデルスゾーンは親譲りかよくフィットしてる。そこにコンチェルト作品を入れないといけないしね。

N響はメシアン音色でますますフィットしてきた感じです。
おわり



 
 
 
 
 
 
 

2767- シチェドリン、カルメン、ベルリオーズ、イタリアのハロルド、井上典子、ヴォルフラム・クリスト、新日フィル、2019.11.30

2019-11-30 22:36:45 | コンサート
2019年11月30日(土) 2pm サントリー

シチェドリン カルメン組曲  3-3-3-5-2-5-3-4-11   39

Int

ベルリオーズ イタリアのハロルド  15-8-7+11
 ヴィオラ、井上典子

ヴォルフラム・クリスト 指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団


ジェイド・シリーズ、ジョゼップ・ポンスがキャンセル、代振りはベルリン・フィルのヴィオラで良く知っていたヴォルフラム・クリスト。棒を振っていることは知らなかった。お初で見る棒です。また、演目の変更はないものの順番がひっくり返ってシチェドリンを先に演奏。

シチェドリンのカルメンを生で聴くのは、大昔、外山雄三&N響の定期で2日連日聴いて以来のこと(42年ぶり)。カラオケみたいな風味もあって面白い曲だなあとその時は思ったものだ。今回こうやって改めて聴くと風変わりな編成の音に俄然興味が湧いた。
ブラスとウィンズが無い。要は管楽器が無くて弦とパーカッション。ユニークな編成で音が抜けたという感じは無くて新たな空間が出来上がる。奇抜で面白いもの。
弦楽器とパーカスが造る音響空間、面白い。パーカスは4つのグループからできていて膨らんでいるが管の補完をしているのではなくて楽器固有の独特な音になっていてその主張は表現の幅をグッと広げている。シチェドリンのカルメンと言いつつ、他作品の引用もあって、まあ、フシとしては有名どころパレード状態ですからね。これを弦が馴染み深くタップリと歌い込む。弦がフルで鳴り、派手なパーカスがやむとき、これがNJPの弦音だったかと思い至る。ややキーンで、揺れながらも、稜線キワキワではない。光る雲。
クリスト&NJPによるシチェドリンのカルメンは拡散系ではなくステージの中央に向かって集中していくサウンドで、音楽の精髄が凝縮された素晴らしいエクスプレッションでした。

イタリアのハロルド。イタハロ。なにしろ、BPOの元首席ヴィオラのクリストの棒。これも興味津々。ソロヴィオラはこの前までNJPの首席だった井上さん。面白い組み合わせですな。
奇抜な作風、鳴りが突拍子もない面白さ。奇作と思う。ヴィオラ井上さんのソロは内面の安定を感じさせる音作り。気持ちの安定ですね。たっぷりとした鳴りがマイルドにホールに響き音が飛んでくる。元同じオケ連の響きには包容感がある。包み込む感じね。引き締まったブラスはこの奇作にふさわしい。大胆に響かせていて決して邪魔にはならない。ベルリオーズの作品の面白さが浮かび上がる。クリスト棒の成すところが大きいのかもしれない。オケが棒を信頼している響きですね。奇抜さとシンフォニックなスタイルがうまくブレンドしバランスしたよき演奏でした。

NJPのメンバー表に1Vn、2Vn、Vcの3名、イタハロ終楽章でバンダ、と書いてあってどこで弾くのかなと思ったら、ステージレベルのしもての大きいほうの扉を開けてちょっとだけ弾きましたね。R側寄りの席からだと丸見え。

指揮者がポンスからクリストに代わって、プログラム順もいれかえてイタハロを後プロにしたのはクリストのいわば、矜持だろうね。
楽しめたひとときでした。ありがとうございました。
おわり












2766- 作曲家の個展Ⅱ、望月京、細川俊夫、杉山洋一、都響、2019.11.28

2019-11-28 23:20:00 | コンサート
2019年11月28日(木) 7pm-9:15pm サントリー

望月京 むすび(2010)  15

細川俊夫 抱擁 ―光と影― (2016~17) JP  18
  オルガン、クリスチャン・シュミット

Int

望月京 オルド・アプ・カオ (2019) WP  24
  パーカッション、イサオ・ナカムラ

細川俊夫 渦(2019) WP  24

杉山洋一 指揮 東京都交響楽団


今晩の現音演奏会は短めのものでは無くて、最後の作品前の配置換えに10分かかったものの終演が9時15分。休憩後の2作は共に25分におよぶ規模の大きなもので、内容も大変に充実していました。
望月、細川の作風は明確に違っていてそれぞれ、音の刻印が作曲家の固有名詞そのものになっている。これが本来の作風と言うものなのだろう。納得の4曲でした。それに、終わってから、今日のプログラム順も良かったなと。

望月京 むすび
寿ぎ、めでたい多くの事、それらのもつエネルギーのむすびの場。
和の節、ウィンズにこぶしも。それに弦を中心にリゲティ風な高濃度。全体がトーンクラスターのモードに。音の充実感がもの凄い。中間部あたりから和太鼓の様な鳴りが前面に出てくる。ここでも弦の圧力が凄くて声のように絡み合う。色々なものがぎっしりと詰まった音の塊。持続するインスピレーションを感じる。
今日この作品が一番短くて15分。時間の凝縮さえ思わせるもので聴いてて火照ってくる。特に前半が秀逸の濃さ。


細川俊夫 抱擁 ―光と影―
陰影、二面性、等々。それらを音によるメタファーで。細川の作品は多様な表現の中、根底に変わらぬ信念を感じさせる。作曲家自身がオルガン協奏曲と言っている通りその中心的役割を担う。オルガンソリストはフルシャ&バンベルク響の2017年世界初演時の方。
杉山さんの指示無しでオルガンの弱音から始まる。二つのエレメントの掛け合いで徐々にオーケストラに広がっていく。高低の抑揚の無い持続する音。節は無くて裂ける様な音の連続。伴奏越えのオケがシャープに咆える。大仕掛けの音響構築は20世紀ミドルピリオドの頃を彷彿とさせるところがある。
終始苦し気に鳴っていた二つのエレメントは融合し、最後はかすかに予定調和的な響きになり弱音終止する。最後が大きい意味を持つだろうね。


休憩。
ここまでで結構満腹。作品が本当に大きく見えますね。


望月京 オルド・アプ・カオ
秩序とカオス。人間の秘めたる暴力性にインスパイアされたものか。それの表現として打楽器を。雄弁に活き活きとプレイしたイサオ・ナカムラがいたから出来た。作品と同じく演奏家の並々ならぬ腕前にも感服。色々と惹きつけられる魅力的な作品でした。
棒を持たない杉山さんが指揮台に向かう時イサオはいなかったので、おや、どうしたのかなと思ったけれども、よくよく見るとオケのパーカス下手側に既に陣取っていて、始まると一緒にまずはそこで身体ごといかにも打楽器の扱いという感じの大きなモーション、それに着てるものも身体全体を満遍なく動かせそう。派手。
曲はグイグイ進む。イサオは、指揮者の左側にセッティングされた数個の小太鼓からバスドラまで置いてあるコンボ風なところに音を色々と鳴らしながら向かう。ジャンプして床からの音も音楽のリズムになり切っている。天性のリズムの塊。叩くだけでは無くて手でこすったり、とにかく音を出す行為。バックのオケのサウンドが大きく広がり始める。と、
それまで指揮台より大きな譜面をめくっていた杉山さんが左手で指揮台の右横の低い台からなにやら札みたいなものを取り出してオケに見せる。白地にAと書いてある。これはなに?偶然性の音楽ならソリストはどうなるの?などと思っているうちに、その札を左横の台に置き、今度はBという札を取り出して示す。結局、A、B、C、D、E、F、G、H、I。計9回。なんだかよくわからないが、わからないものもいいものだ。ので、プレトークはいつもスキップ。この種の話が有ったかどうかは知らない。知らなくてよいの。
ここらあたりまでが前半。
音楽はさらなる盛り上がりを魅せ、オケがギザギザとはっきりと克明な響きで圧倒的なサウンドで席捲。やがて、オケのパーカス連中とイサオによるカデンツァの様相を呈していく。派手派手。
暴力性の一つの極限値としてなのだろう、パーカス員がピストルを上に向けてパーンと撃つ。見もの聴きものの全体モーションは律動の世界。破格奏者イサオ前提の作品が色濃い。とにもかくにも、世界初演だからね。
本能的野生と理性の共存。イサオの打楽器の雄弁さは弱音でも変わらない。音楽は落ち着きのある世界に向かい、最後は消え入るように終わる。終始息を呑むような演奏でした。


細川俊夫 渦
これもデカい作品。世界初演。還暦を迎えた準メルクルにデディケイトしたもの。
作曲家十八番の手法によるティピカルな細川作品のように聴こえる。松風を観たことがある人なら、あのヒュ~ドロ~の世界が随所に垣間見れる。かも。
同音持続、雅楽風な響き、大太鼓のドドドドッ。まさに、アレだよねと言う感じ。
客席Lサイドトップにはホルンとトロンボーン、R側にはホルンとトランペット。それぞれ二人ずつ配置。デカい音の効果を狙ったものでは無くて、時折ミュートも有ったりで、渦という立体感の強調のようなもの。LB席の上から見るとステージ併せ、なるほど全体が見た目も渦のようだ。
沈殿する渦のような開始から、細川流の進行、ヒュ~ドロ~で最高潮に達し、彼の新しいインスピレーションも肌に感じる。2曲目の抱擁と同じく長い弱音進行を見せながらやや予定調和を魅せて終わる。



杉山さんの現音にかける思いはその指揮を見ればよくわかる。世界初演、日本初演、自分初演、等々。良く咀嚼されたもの。この安心感。並々ならぬ熱意がこのような見事なタクトになって、むすび付き、作曲家やプレイヤー達との抱擁、ペンも乾かないうちのカオスが見事な秩序で創造されて新たな渦の空間を聴いているものにもたらす。
都響の音は冴えていて、現音における見事な立体感、研ぎ澄まされた鋭角な響き、素晴らしすぎて何も言う事は無い。圧倒的なプレイでしたね。

ということで、充実の演奏会でした。もっと長くてもいい。生の現代音楽演奏会の音を浴びる。実に愉悦のリラックスタイム。全身がほぐれました。
ありがとうございました。

ところで、望月京の秩序とカオスに出てくるピストル。演奏前の休憩でオケパカスさんがパーンとやっちまったんだよね。何事かと。
おわり


サントリーホール 作曲家の個展Ⅱ 2019
細川俊夫&望月 京
~サントリー芸術財団50周年記念~
20191128-2766 望月京細川俊夫杉山洋一都響













 
 
 
 
 
 

2763- シューベルト1番、ロココ、山崎伸子、運命、キンボー・イシイ、新日フィル、2019.11.22

2019-11-22 19:51:58 | コンサート
2019年11月22日(金) 2pm トリフォニー

シューベルト 交響曲第1番ニ長調D82  11-7-4-5

チャイコフスキー ロココ風の主題による変奏曲Op.33  19
  チェロ、山崎伸子

(encore)
カザルス 鳥の歌  2

Int

ベートーヴェン 交響曲第5番ハ短調Op.67  7-9-5+10

キンボー・イシイ 指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団



太田弦に替わりキンボー・イシイが振った。演目は変更なし。これはこれで聴き逃せない。お初で観ます。

シューベルトは現在進行形の全曲シリーズの一環と思われる。
めったにない生演奏だし、しっかりと聴いてみるか。噛みしめながら聴くシューベルトでした。やや粘り気味な味が出ている。

ロココ、山崎さんのチェロは弱音まで美音で磨かれていて、1階席中段、良く音が飛んでくる。ニュアンスがものすごくよくわかり飽きることのない佳演でした。あまりウェットに傾斜することが無くて、むしろやや乾き目で作品の線がクリアになっている。そのものをジワッと愉しめました。ルビコン愉悦。
ルビーのコンサートシリーズはいつもゆっくり楽しめるもので好み。いいですね。

後プロの運命は代振りの運命なのかいま一つでした。弦の不揃い、トロンボーンがフラット気味、全体の音響バランスもギクシャク。これはイシイさんの得意演目に変えたほうがよかったのかもしれない。
おわり












2762- ブルックナー8番、ズービン・メータ、ベルリン・フィル、2019.11.21

2019-11-21 23:34:18 | コンサート
2019年11月21日(木) 7pm サントリー

ブルックナー 交響曲第8番ハ短調 ノヴァーク版第2稿(1890) 17-15-28-24

ズービン・メータ 指揮 ベルリン・フィル



2-2-2-4-2-2-2-c1
5-5-5
6-3-4-4-8-c3
2-2-2-8-3-2-2-c3

約85分、手綱から解放されたスペシャリスト集団の自由度マックス・サウンドは稜線キワキワの離れ技、やっぱり、底無し能力オケでした。ひと時の峻烈を追うことのないブルックナーは横広モーメントの連続で実質音幅に正比例しているかのようなもので、揺らして合わせて、この余裕。悠然としたブルックナー・サウンドに心からしびれました。一昨日の川崎公演の締まり具合とはまた別の味わい、このふところの深さ。

2760- ドン・キホーテ、エロイカ、メータ、ベルリン・フィル、2019.11.19

アダージョのABは、Aが2パーツ、Bも2パーツというのがよくわかるもので、ABABA計10回があっという間に過ぎ去る。なんだか、完璧な建築物件でも見ているかのようだ。
滴る3回目Aの経過句のコクが増し、しっとりしなやかにコーダの潤いへ。湯気でもでそうな楽章でした。第九同様、ここにあってよかったな、の第3楽章ですね。ブル9も同様。色々と思い浮かぶ絶品演奏でした。

終楽章は展開部と再現部が珠玉のような充実度、ここはすごかった。音楽の盛り上がりがくっきりと鮮やかに。
長めで変幻自在、たくさんのエレメントが複雑に絡み合う展開部をメータがゆっくりと極みの棒でほぐしていく。充実の展開。
提示部よりさらにスケールの大きい響きの共演となった再現部。大伽藍のコーダの先取りだ。蝋燭炎の狼煙から一転、全インストゥルメントでの一斉強奏。メータは何事もなくスルッと入る。圧巻の既出主題の重なりに、終楽章コーダではなく作品全体のコーダと知る。強烈に空高く聳え立つ最高峰の作品と極みの再現演奏。悶絶しました。

ベルリン・フィルの音はマッシヴで大砲級の威力。なみいる綺羅星のスペシャリストプレイヤー達が鳴らしきる絶対演奏ブルックナーに隙無し。
サラはワグチュー。ドール連中と結構な距離、音色が同質で極めて注意深く練り上げられているプロフェッショナルな色彩の味わいが濃い。アンサンブルの妙はいたるところに見られましたね。

ブルックナー8番、満喫しました。
おわり

8番の保有音源は99個です。