書籍之海 漂流記

看板に掲げているのは「書籍」だけですが、実際は人間の精神の営みすべての海を航海しています。

青木靖三/横山雅彦編訳 『科学の名著』 5 「中世科学論集」

2011年01月11日 | 自然科学
 解説横山雅彦。収録内容は以下。いずれも14世紀の著作。

 ジャン・ビュリダン 「天体・地体論四巻問題集」(青木靖三訳)
 ジャン・ビュリダン 「『自然学八巻問題集』第八巻第一二問」(横山雅彦訳)
 ニコール・オレーム 「『天体・地体論』からの抜萃」(横山雅彦訳) 

 物質について、“重さ”と“軽さ”の概念が共存している。この世には重いものと軽いものがあるという。

(朝日新聞社 1981年1月)

大西広 『現場からの中国論 社会主義に向かう資本主義』

2011年01月11日 | 政治
 この本を読むまで、この著者の中国の民族問題に関する主張(注)は、よくある世間に一石を投じるためのいわばネタかと思っていたが、どうやら本気で「民族問題は経済問題(あるいは階級問題)だ」と思っておられるらしい。「そのやり方や時期の選択にいかに問題があったにせよ」毛沢東の文化大革命を「完全に正しいことであったと私は考える」(「〔補論2〕毛沢東と西洋思想」本書225頁)と言い切るのであればである。

 。たとえば『チベット問題とは何か “現場”からの中国少数民族問題』(かもがわ出版 2008年6月)。

 「文化」は常に守られる対象ではなく、時に否定されねばならないことである。(「〔補論2〕毛沢東と西洋思想」本書225頁)

 この意見自体には私も賛成する。しかし大西氏と私が違うのは、私は、文化の何が「守られる」べきかあるいは「否定されねばならない」かは、その文化の担い手自身が決められるし、また決めねばならないと思っているところである。しかし大西氏の場合、その決定権は民族自身ではなく国家や政府の側にある。

(大月書店 2009年7月)