「ダンサー」(文藝春秋)です。有賀さんの新しい生活が、これから始まるのかなあという期待を抱かせるラストでした。
筑波学園都市のある研究所から逃げ出した実験動物「ダンサー」。ヒヒのクローン(という名目)であるこの動物、驚異的な身体能力と知能をもち、「サルサ」とつぶやきながらある女性を追い求めます。
サルサ、高村志摩子。情熱的なダンスを踊り、一時はミュージカルへの出演も期待された彼女には、ストーカー被害にあって何日もの間監禁されたうえ、警察からの逃亡時に事故で怪我を負った過去があります。
現在は幼なじみのニック(黒人とのハーフ。日本語しか話しません)と組んで踊っていますが、彼女の平穏な暮らしを破るものが……。
「KAPPA」から十余年。有賀は四十七歳です。別れて暮らしている息子の雄輝とはある誤解から疎遠になっているのですが、彼の所属する大学でともに研究してきた仲間と教授とが死亡。公式発表に納得のいかない雄輝は姿を消します。
心配した有賀が研究室を訪ねたところ、雄輝の恋人である柴田夏花と知り合います。
一方、執拗に志摩子を追う「ダンサー」は、トラック運転手を殺して着衣を奪い、自分にDNAを与えた男・青柳(事故のあと植物状態になって入院しています)の病室に現れた看護師も手にかけます。
恐怖を感じた志摩子はニックとその恋人が住む家にかくまってもらうことにするのですが、その間にアパートに入りこんだ「ダンサー」が部屋をめちゃめちゃに荒らしたことを見てショックをうけます。
雄輝は、「ダンサー」を自分の手で葬りたいと考え、きっと志摩子の近くに現れるであろうと彼女のことを見張っていますが……。
えーと、物語構成はおもしろかったのですが、わたしには理解できないこともいっぱいありました(笑)。
まず、夏花です。彼女が登場すると、とても明るい雰囲気になっていいんですが、どうも警戒心が薄い。初対面のおやじを、自分の下宿に泊める(しかもベッドの隣に布団を敷いて!)女子大生、いないでしょう!
さらに雄輝が心配なあまり、有賀と出かけたバーに一人でいる場面(警察の副署長になった阿久沢さんが、彼女の風情に心引かれて勘定をもってくれます。まさか公費じゃないよね? 有賀と食べた鰻はそうだったようですが)もあり、ちょっと心配なのですが。
有賀と雄輝が、数年のわだかまりを取っ組み合いで解消するのも、同じようにちょっと鼻白む感じがするのですが、こういうのが男のロマンなんですかね。
「俺は喧嘩十段だ」
にも、ちと脱力……。
雄輝もさあ、「志摩子姉さん」という呼び方はどうなの? わたしが三十四歳なら、二十代の異性にそんなふうに呼ばれるなんてまっぴらです。
そんなわたしの心を慰めるのは、有賀の愛犬・ジャック。どうも今回はこの犬との別れがあるようだと予想してはいたのですが、あああ牛刀かよー。ひどい。でも、これは物語に必要な要因ですから、嫌な感じはしません。(言い換えれば、夏花から「志摩子姉さん」までは必然を感じないということですね)
勝手にジャックを黒い犬だと思っていました。シェパードみたいな。でも、茶色いのね……。
ところで、「ダンサー」がある少女からビーズの飾りものをもらうシーンがありますが、ここは彼が単なる「怪物」ではないことが伝わるいい場面だと思います。ちょっと最悪の事態を思い浮かべたのですが、ホッとさせられました。
ところで、ニックと志摩子は大磯にあるキリスト系の孤児院出身だそうです。もしやサンダースホーム?
筑波学園都市のある研究所から逃げ出した実験動物「ダンサー」。ヒヒのクローン(という名目)であるこの動物、驚異的な身体能力と知能をもち、「サルサ」とつぶやきながらある女性を追い求めます。
サルサ、高村志摩子。情熱的なダンスを踊り、一時はミュージカルへの出演も期待された彼女には、ストーカー被害にあって何日もの間監禁されたうえ、警察からの逃亡時に事故で怪我を負った過去があります。
現在は幼なじみのニック(黒人とのハーフ。日本語しか話しません)と組んで踊っていますが、彼女の平穏な暮らしを破るものが……。
「KAPPA」から十余年。有賀は四十七歳です。別れて暮らしている息子の雄輝とはある誤解から疎遠になっているのですが、彼の所属する大学でともに研究してきた仲間と教授とが死亡。公式発表に納得のいかない雄輝は姿を消します。
心配した有賀が研究室を訪ねたところ、雄輝の恋人である柴田夏花と知り合います。
一方、執拗に志摩子を追う「ダンサー」は、トラック運転手を殺して着衣を奪い、自分にDNAを与えた男・青柳(事故のあと植物状態になって入院しています)の病室に現れた看護師も手にかけます。
恐怖を感じた志摩子はニックとその恋人が住む家にかくまってもらうことにするのですが、その間にアパートに入りこんだ「ダンサー」が部屋をめちゃめちゃに荒らしたことを見てショックをうけます。
雄輝は、「ダンサー」を自分の手で葬りたいと考え、きっと志摩子の近くに現れるであろうと彼女のことを見張っていますが……。
えーと、物語構成はおもしろかったのですが、わたしには理解できないこともいっぱいありました(笑)。
まず、夏花です。彼女が登場すると、とても明るい雰囲気になっていいんですが、どうも警戒心が薄い。初対面のおやじを、自分の下宿に泊める(しかもベッドの隣に布団を敷いて!)女子大生、いないでしょう!
さらに雄輝が心配なあまり、有賀と出かけたバーに一人でいる場面(警察の副署長になった阿久沢さんが、彼女の風情に心引かれて勘定をもってくれます。まさか公費じゃないよね? 有賀と食べた鰻はそうだったようですが)もあり、ちょっと心配なのですが。
有賀と雄輝が、数年のわだかまりを取っ組み合いで解消するのも、同じようにちょっと鼻白む感じがするのですが、こういうのが男のロマンなんですかね。
「俺は喧嘩十段だ」
にも、ちと脱力……。
雄輝もさあ、「志摩子姉さん」という呼び方はどうなの? わたしが三十四歳なら、二十代の異性にそんなふうに呼ばれるなんてまっぴらです。
そんなわたしの心を慰めるのは、有賀の愛犬・ジャック。どうも今回はこの犬との別れがあるようだと予想してはいたのですが、あああ牛刀かよー。ひどい。でも、これは物語に必要な要因ですから、嫌な感じはしません。(言い換えれば、夏花から「志摩子姉さん」までは必然を感じないということですね)
勝手にジャックを黒い犬だと思っていました。シェパードみたいな。でも、茶色いのね……。
ところで、「ダンサー」がある少女からビーズの飾りものをもらうシーンがありますが、ここは彼が単なる「怪物」ではないことが伝わるいい場面だと思います。ちょっと最悪の事態を思い浮かべたのですが、ホッとさせられました。
ところで、ニックと志摩子は大磯にあるキリスト系の孤児院出身だそうです。もしやサンダースホーム?
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