くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「上野動物園サル山物語」川口幸男

2009-06-27 06:09:02 | 自然科学
「インディラとともに」の川口幸男さんの本をまた見つけました。「上野動物園サル山物語」(大日本図書)です。
川口さんはゾウの他にサルの飼育係もしていたそうで、サル山の様々な生活が紹介されています。
サルの世界もいろいろあるんですねー。
ボスとメスガシラという役割について紹介してありましたが、こういう優位に立つサルは、自然界にはいないんですって。
えぇっ! と思っていると、伊澤紘生先生がニホンザルの観察をした結果、野性のサルには「食べ物を優先して得られる」「山の高いところから集団を見ている」というような行動は見られなかったそうです。
食べ物は見つけたサルのもの。強いサルが力づくで奪おうとしても、山の中なら逃げきることができるのです。
さらに、サル山のてっぺんは彼らにとって、お客さんの目を引くにはよいポジションというなのであって、べつに集団の安定を見守っている訳ではないんですって。
だから、現在動物園では「ボス」という呼称をやめて、「第一位のオス」と呼んでいるそうです。メスガシラについても同じ。
サルの世界は母系が強いという話がおもしろかったです。代々メスガシラに君臨している家系があって、気の強い娘が後押ししている。世代交代のときにはこの娘が後継者になるのです。中には、メスながらボスの位置にあったサルもいたそうです。
その一匹、モモコのことが印象に残ります。ボスだった彼女が体調を崩したために入院すると、サル山では新しいボスがたつことになります。モモコが帰ってきたときには、もう集団のバランスがすっかりかわっていて、彼女ははじかれてしまったそうです。

サルの名前のつけかたも、おもしろいですよ。母親の名前から一文字もらう、そして同じ年に生まれたサルには特定の共通事項を設けるそうです。
例えばクララというサルの子供は、ライトブルーと名づけられました。この年の共通事項は「色」です。「お菓子」(バームクーヘン)「植物」(クララ)「川」(イワラジ)、「果物」(イヨカン)「薬」(チンクユ)などなど、おもしろい名前がいっぱいでした。
サルの観察の仕方など、今度動物園に行ったらサル山の見方が変わるかも、と思うようなエピソードもいっぱいです。


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1 コメント

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Unknown (ミリオン)
2024-09-22 21:19:22
こんばんは。
嬉しいです。頑張って下さい。今週の土曜日は、1週間分の「虎に翼」を見ます。
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