くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「夜の向こうの蛹たち」近藤史恵

2020-12-07 20:06:26 | 文芸・エンターテイメント
なかなか調子が上がらないときでも、近藤さんの本は読めるんだなー。
「夜の向こうの蛹たち」(祥伝社)。女性三人の葛藤と自立を描く作品だと思いました。
小説家の「わたし」こと織部妙。最近売り出し中の若手作家橋本さなぎを名乗る美人・速水咲子。その秘書をしているという初芝祐。
愛情と焦燥感、嫉妬。表面上は親しくしていながら、一人ひとりの欲望が違う。それでいてどこか重なり合うのです。
妙の視点で展開していくわけですから、彼女の思いがストレートに書かれているはずなのに、外見を否定するほどそれにこだわりを感じさせるのもすごい。
祐の思い切りのよさ! 中学では下級生で唯一合唱メンバーに選ばれたということも含めて、能力的に高い女性なのでしょう。
だけど、様々なコンプレックスにがんじがらめにされている。
後半怒涛の勢いでした。
シャシュリクとかスイカミルクとか、食べ物をエピソードに絡めるのが本当にうまいんだよなあ。
「合コンさしすせそ」が、しばらく頭の中を去りませんでした。

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