くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「少年少女飛行倶楽部」加納朋子

2012-03-13 05:47:57 | 文芸・エンターテイメント
おもしろいと聞いていながら、なんとなく読まずにいた本。加納朋子「少年少女飛行倶楽部」(文藝春秋)です。
借りてきてつい三週間放置してしまい、やっと読みました。でも、噂通りすごいおもしろかった~。
主人公は中学一年の佐田海月。親友の樹絵里に付き合って「飛行部」に入ることに。しかし、一体何をする部なの? 部長を名乗る気難しい先輩(斎藤神)と、野球部兼任の中村海星先輩がいるばかり。
やがてどこかのビルをら飛び降りたらしいという仲居朋を部に誘うことになります。マンションに訪ねていくと、なんとその子は「とも」ではなくて「るなるな」という名前だと発覚!
さらに野球が苦手な野球部員の球児も参加することに。全員、名前がちょっとあれっ? て感じで物語は進行します。(ついでに顧問の先生の名前も「信長」ですよー)
唯一普通の名前の良子ちゃんは、海月のイメージでは「イライザ」です。おかしー。この符丁がわかるのは、海月たちの母親世代だと思うんですが、登場する親たちもなんとなく憎めない感じです。「るなるな」の母がライトノベル作家(?)ってのもインパクトありました。
さらに、「神」の姉は「天使」(エンゼ)!
ものすごいな。でも、このクラブのある人物と同じ名前の人を、わたし知っています……。
どうやって飛べばいいのか。会計兼書記に任命されてしまった海月は、活動報告書を書く必要に迫られ、悩んだすえに「トランポリン」を見つけ出します。しかし、斎藤は飛ぼうとはせず、球児は野球をやめたことが親にばれてしまう。
すごいのは、中学生としての日常がちゃんと描かれていて、その中にヒントがあることでしょうか。
おそらく熱気球で飛ぶことになるのだろうと、あとがき見れば予想がつくんですが(笑)、出会いは職場体験! スーパーを経営している星川さんが、かつて熱中していたというのです。そこでふと奥さんとのことが語られる。この揺さぶり。
ちょくちょくからかわれるくせに、なんとかそこに目を向けまいとする海月とか、いつもは「佐田さん」と呼ぶのに、家では「くーちゃんはすごい」と言ってたらしい斎藤先輩が素敵ですね。
熱意溢れる矢島先生。育休とってないし。ちっちゃい子がいても文化祭の早朝から車が必要と聞けば来てくれるし。すごいなー。わたしはまだまだ甘えてばかりですね、すまない。