くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「モップの精は深夜に現れる」近藤史恵

2011-06-21 04:19:01 | ミステリ・サスペンス・ホラー
キリコのシリーズの二冊め。ずっと見つからなくて、最近やっと文庫になりました。一冊め「天使はモップを持って」は前任校に置いてきてしまった……。
「モップの精は深夜に現れる」(文春文庫)。大介と結婚し、おばあさんの介護をしながら掃除の仕事も続けるキリコ。しかし、どうしても深夜の仕事のため、朝起きることができないこともあり、ヘルパーさんを頼みながら活動しているのですが、大介の不用意な発言から誤解を受けてしまったらしいのです。
キリコはしばらく旅に出たいというのですが、そこにはある秘密が……。
腕利きの掃除人キリコが、オフィスの謎を解くシリーズですが、わたしは掃除が何より苦手なので、もうその手際のよさに感心しきりです。
ひらひらの服を着ていても、仕事をするのに困らない。ちょっとしたことをヒントに全体を見渡せる。気がきいて、労働を厭わない。
そんな彼女が今回は三つの事件を説き明かします。(大介視点も加えると四つですね)
新しい上司はやり手で評判だけれど、何かそこによくないものを感じさせ……。不安要因に呼び水を加えて、膿を出してしまおうと考えるその思考に驚くキリコたち。
タウン誌の編集長が亡くなった原因になったのは、意外にも……。

モデル仲間に彼を奪われた葵。昔は冴えない女の子だったのに、自分を磨いてやっと自信が出てきたのに。
この作品、「オーバー・ザ・レインボウ」というんですが、一人称なのに突然一カ所「葵はなにが起こったかわからなかった」という表記になっていてびっくりしました。もともとは三人称で書くつもりだったのでしょうね。
次々にトラブルを解決していくキリコですが、掃除同様に頭の中も整理されているのでしょう。勘が冴えています。
さて、旅に出たキリコの足どりをつかむために大介が思いついたことは? そして、彼女の目的は?
わたしも久しぶりにコーヒーショップに行ってみたくなりました(笑)
この本が手に入らなかったものですから、実は三冊めの「モップの魔女は呪文を知っている」を持っているのです。新書で。おばあさんとの別れを知っているから、ちょっと辛い気持ちになりました。
当時からどうしても発見できなかった本なので、やっと文庫になってうれしい。
でも、知らない間に四冊めが出ていたらしいです。いつの間に! 「アルマジロ」って、一体なに?
新書ではもう見つからないと思いますので、気長に待ちたいと思います。