くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「爆笑と愛憎の結婚式劇場」

2011-06-28 20:42:39 | 総記・図書館学
本を読むうえで、わたしが重視するのは語り口だということがよくわかりました。同じような内容でも、おもしろいかどうかは文体による。もう少し品がある方がいいなあとは思いますが、なにしろ宝島文庫ですからね、多少はしかたないかなと思って買ったんですが。
「爆笑と愛憎の結婚式劇場」別冊宝島編集部・編です。
冒頭で、結婚式の下ネタがどんなに嫌かを書いていたお姉さん。でも、その後もちらほらそういう話題があったので残念でした。
結婚という新たな第一歩を記すなかで、どんなふうに道を選択していくのかが、とても気になります。
世の中様々な人間模様があり、結婚式はその関係が凝縮している場ですから、いろいろなことがあるわけです。
式場のキャンセルにしても、「詐欺だった」「親が新興宗教にかぶれていた」などありますが、結婚式直前に海外の留学先から帰ってきた弟の方がいい男だと、母親と姉が盛り上がり、当の花嫁もポーッとなっているのを知った新郎が、黙って式場を後にするエピソードは悲しいです。
また、この話題どこかで聞いたことがあるなーというものが数点あって。
例えば、さほど親しくもない友人(A)の友人(B)から式に招かれ、ちょっと迷っているというと、Aから「Bはあなたのことを素敵な人だと言っていた。これを機会に仲良くしたいんだよ」といわれ、納得して参加する意を伝えたところ、AとBが二人で「ご祝儀目当てなのにまんまとひっかかった」と語っているのを聞いてしまったというもの。
それから、名家に嫁ぐことになって舞い上がる友人から、「お祝いは最低でも七万円」「○○家の式に出られるのは名誉なこと」などと言われ、怖くなって出席を取りやめると次は電話攻撃というのも。
うーむ、「読売小町」ですね……。こういう相談、読んだことがあります。世の中にはよくあることなのでしょうか。(というより、あれがネタもとなのかも)
当然のように文体は違うのですが。同じようなことを語っていても、全体的に読ませる項目もあれば、品のない項目もあり、これはライターさんのせいなのでしょう。
あと、二三印象に残るものを紹介すると、まずは略奪婚の末の披露宴で「お母さんを返して!」と小学生の娘に泣かれるエピソード。二年生なんだって。かわいそう……。
男っぽい外見の花嫁を余興(二次会なので、誰かが女装していると思ったとか)と勘違いしてげらげら笑う友人たちの話も印象的でした。悪のりしすぎて新郎に睨まれ、「男だと思って……」と言い訳。泣き崩れる花嫁。これも気の毒です。
それから、仲の悪い妹が自分より先に結婚なんて許せないからと式をめちゃめちゃにした姉。一年たたずに離婚……。数年後に姉の結婚式に喪服で現れたという顛末には、なんとなく頷けるものがあります。
全体的に、話題としては結構おもしろい。だから、もう少し語りが落ち着いていたらもっと読ませる造りになったのではないかと思うのです。ちょっとゴシップ色が強い。趣味の問題ではありますが、わたしはもう少し考えさせるようなものの方が好きだな。書き方次第で、そうなる可能性はあると思うんですが。