くじら図書館 いつかの読書日記

本の中 ふしぎな世界待っている

「つくも神さん、お茶ください」畠中恵

2011-06-01 02:49:55 | エッセイ・ルポルタージュ
畠中恵エッセイ集。昨日図書館に寄ったのでつい返してきてしまいました。内容がずれていたらすみません。
「つくも神さん、お茶ください」(新潮社)。畠中さんが引き受けた文庫解説や雑誌の特集で書いた原稿を集めたものです。坂木司や「三銃士」、「シャーシャンクの空に」「なめくじ長屋捕物騒ぎ」「鬼平犯果帳」、杉浦日向子、といった本に関する文章が多かった。
ウェブの連載をまとめたページもあり、忙しいときは三月くらいから年末まで更新がなかったり(笑)。
ここで畠中さんは「畠屋」と名乗り、できるだけ江戸言葉を使って語る努力をしておられます。「かーりんぐ」を「氷上の西洋将棋」と説明しているのには爆笑しました。家鳴をつれて電気屋に行ってみるとか、「あいすくりん」について語るとか、発売されたカレンダーを使っていい初夢をみようという誘いをかけてみるとか(二回も)。
普段、小説を読むときには、作家の人となりを知ることはあまりできないわけです。畠中さんのような人気作家ともなると、「活字倶楽部」や「しゃばけ読本」のようなファンブックでインタビューがありますが、どんなことが好きでどんな生活をしているのか、普通はわからない。エッセイといえども、隠されている部分はあるのですが。
そういえば、畠中さんは元まんが家なのですよね。当時のペンネームは絶対明かさないと決めているという噂ですが。この時代にアシスタントに行って、みんなで餃子を作るエピソード、忙しい中の華やぎや抑圧のようなものが見える気がします。
中国にコース料理を食べにいくのもおもしろい。西太后が食べたようなお料理をたらふく食べたそうです。
畠中さん自身が、本の中の料理の魅力をよく知っている。文章でそれを描きたいと考えてらっしゃることがよくわかります。
たしかに皆川真次郎(「アイスクリン」「若様組」)の作るお菓子はやたらとおいしそうですね。この時代よりも現代の方が技術として高いとは思うのですが。
朝読者としてちまちま読みましたが、楽しゅうございました。