ポポロ通信舎

(旧・ポポロの広場)姿勢は低く、理想は高く。真理は常に少数から・・

集団的自衛権の石破理論

2017年11月11日 | 研究・書籍

『日本人のための「集団的自衛論」入門』(石破茂著 新潮社)を電子書籍BookLiveで読んでみました。BookLive専用タブレットの活用は、ほんとうに久しぶりでした。

石破氏は集団的自衛権の説明をするとき、こんなたとえ話をするそうです。「あなたに山田さんという仲良しの友達がいたとします。もしあなたが強盗に襲われたら山田さんは助けに来てくれるでしょう。もちろん山田さんがやられたら、あなたは助けにいくはずです。しかし、あなたにはそれが出来ないのです。ごめんね。家の掟(おきて)でそういうふうに決まっているから・・」分かりやすい説明ですね。

ところで「山田さん」は果たしてどんな友達なのだろう?よその家には無い「わが家の掟」ができたいきさつは一体何が過去にあったのでしょうか?すぐに疑問が生じてきますが、それでも本書全体を通しての石破氏の説明には、それなりの論理を感じさせられました。安倍総理が、国会で「米艦船の邦人母子の救出」を例に語った説明とはずいぶん隔たりがあるものだと思いました。石破氏の説明には、国民に甘い言葉で本質をそらすようなことはなく、国際政治の現実の舞台を踏まえて、真正面から直球で勝負する、そんな印象でした。

「ベトナム戦争は自衛戦争か」「プラハの春/ニカラグア事件」「憲法改正か解釈変更か」「行使可能でどうなるか」・・など、入門書とはいえ集団的自衛権について突っ込んだ内容になっています。

第二章は集団的自衛権の対話編。疑問に応えるような説明です。
例えば、今はソフトパワーの時代ではないか?の問いに、「ハードパワーとソフトパワーの二者択一ではない」として、ソフトパワーなきハードパワーは単なる暴力、ハードパワーなきソフトパワーは単なる幻想、であると・・。
本書は、安保法制(集団的自衛権容認)推進の論拠になっていて、批判派への反論集ともとれます。それだけに安保法制に批判的な人も一度は目を通すと論戦の上で参考になること疑いありません。書名の「日本人のための」の意味も、はしはしに感じ取ることができました。

読後、次期総理には石破茂氏が適任かな・・そんな予感がいたしました。


【木工さんの写真】矢嶋秀一作 フォト 田口大輔

 

日本人のための「集団的自衛権」入門 (新潮新書 558)
石破茂 著
新潮社

石破政権を展望する

 

 

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