ポポロ通信舎

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《再読》 新しい政治をめざして(江田三郎著)

2009年07月01日 | 研究・書籍
きょうから7月。
15年前のこの時期は6月末に、自社さきがけ連立の村山政権が誕生して国民は
大いに驚かされました。

これまで印象に残ったいる蔵書を、もう一度読み返して見たいと思います。
まず最初は「新しい政治をめざして」江田三郎著 1977年 日本評論社

江田氏は、構造改革論(江田ビジョン)を提唱していた。これはその後の
小泉純一郎氏の“構造改革”とは、まったく似て非なるものでした。
①アメリカの高い生活水準②ソ連の行きとどいた社会保障③イギリスの議会
制民主主義④日本の平和憲法、の4本のベースからなる未来社会構想だ。

氏は「“政権株式会社”の性格をもつ自民党は容易に分裂しないだろう」と。
確かに歴史は先に解党したのが社会党、自民党は今日なお存続している。

江田氏は、日米関係も重視した。アメリカを訪問しワシントンのナショナル
プレスクラブで「アメリカと社会党の関係が冷却したのは、日米の一部の
人がいうように社会党が『反米的』になったからではなく、アメリカが大戦
直後の民主的改革に関心を失い『反社会党的』になったからだと考えます」
ときっぱりスピーチ。
ウォーターゲート事件で見せたアメリカの健全さやフィードバック機能を
率直に評価しながらも、はっきりアメリカに対しても物申すことのできる
政治家でした。

組織に関して江田氏は、オーストリア社会党を参考に「一般党員」と「活動家
党員」に分けることを早くから提案した。当時、党内では受け入れられなかった
が今、民主党のサポーター制、社民党の協力党員制にそのアイデアが脈々と
受け継がれています。著書には、今日も通用する考えが随所に見て取れる。

三洋電機の北条工場(兵庫)で1976年5月に講演を行っています。
「自民党政治は矛盾を起こしている。野党勢力結集で人間本位の党を。
生産点(職場)だけではなしに生活点(居住地)を守るたたかいを」と
市民、社員に向けて話している。江田氏その時64歳だった。

混迷を深める麻生政権に対し、いま江田氏なら何を思われ、お話されるか
天国で直接マイクを向け聴いてみたいところです。


写真:
著書と氏の講演を伝える三洋労組紙「オール三洋」(昭和46年6月15日号)

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