ポポロ通信舎

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「イスラム国」が後藤さんも殺害

2015年02月01日 | 研究・書籍

ちょうど新書『イスラム国の正体』(黒井文太郎著)を読み終えたところに人質事件で拘束中のフリージャーナリスト後藤健二さん殺害のニュースが入ってきた。なんとも非道卑劣な殺人行為に強く憤りを感じる。犠牲になられた湯川さん、後藤さんの御霊に哀悼の意を表します。


ここまで野蛮な過激派集団「イスラム国」とはいったい何なのだろうか。『イスラム国の正体』を一冊読んでそのすべてが分かるものではありませんがアウトライン(大枠)程度は知ることができたかもしれない。著者の黒井文太郎氏は、奥さんがシリア人だったこともあり中東問題をより肌身で感じられたのかとも思う。とても参考になった。

本書の発行は昨年(2014年)12月。その中ですでに同年8月に湯川遥菜さんが、「イスラム国」との戦闘に遭遇し逃げ遅れ捕まったことが書かれている。後藤さんにいたっては10月から連絡がとれなくなっていた。私は今年1月20日の人質脅迫報道から関心を持ち始めましたが、すでに昨年夏から日本人が相次いで行方知れずになっていたということだった。こうした不安材料がある中での首相の1月、中東4カ国訪問であったことも今になって知るところ。

「イスラム国」(IS=Islamic State)のルーツは、どうやらイラク戦争後のスンニ派過激集団にあるようだ。著者は「イスラム国」の問題を解決するには、シリアのアサド政権の打倒も同時に視座に入れなければならないとする。長期に渡るアサド父子独裁政権下では何十万人もの人たちが犠牲になっているからだ。数の上からは「イスラム国」の犠牲者をはるかに上回るほど。しかしそのアサド政権の後ろ盾にはロシア、イランが・・。さりとて反アサド勢力といえども「イスラム国」とは敵対・・。

まことに中東情勢は複雑怪奇で理解しにくい。余りにも長きに渡る出口の見えない戦争でこじれにこじれた状況になってしまった。こうなると力でねじ伏せるやり方では、憎しみの連鎖が続くだけで問題の解決にはつながらない。

日本は中庸の立場で

今回の人質事件では、日本へ対しての要求は必ずしも身代金目当てではなかったことに注意したい。「金に行き詰ったテロリストの犯行」と解説をした一部マスコミがあったが当たっていなかった。
私たち日本は、仮に「八方美人」と言われようとも「憎しみの連鎖」をなんとしてでも断ち切る外交努力と中庸の立場を失ってはならないと思う。世界のポポロ(人々)から愛されつづける日本であるためにも。

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イスラム国の正体 (ベスト新書)
黒井 文太郎 著

KKベストセラーズ                        

 

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