郷土上州、武尊(ほたか)の歌人、江口きち=写真。
その遺品がある川場村歴史民俗資料館を一度訪ねてみたかった。昨日、東毛地域が日中38度を超す猛暑を背に、一路清涼の地、北毛を旋回した。途中、「測ってガイガー」のリクエストにも応えながら・・
「おのずから亡びの家にうまれし子ぞ 死にまむかふはものの故にあらず」
「帰りゆく武尊は荒れてその下に住ひうごかぬ わがさだめなり」
「伝え来て村にはおのず掟あり 住みがたき子はついに去るべし」
厭世的な幻影を感じる短歌です。“女啄木”の異名もあるものの、広く世間に知れ渡った作は見当たらない。
死に装束の白いドレスが遺品として展示されていた。辞世の歌は
「大いなるこの寂けさや天地の時刻 あやまたず夜は明けにけり」
資料館の入口には今は懐かしい「二宮金次郎の像」が。私の通った若宮小(前橋)の校庭にもいた「金次郎」を思い出した。
【江口きち(1913-1938 )】大正2年群馬県川場村谷地に生まれる。川場高等小学校高等科卒業(答辞読む)。一時上京するも帰郷し沼田郵便局に勤める。雑誌『女性時代』の歌人。父親は渡世人。兄は知的障害者、妹は上京し美容院で年季奉公。母が脳疾患で死亡して以来、家業を継ぎ兄の世話をする。叶わぬ恋、父への怨念、一家の生計を背負い苦しみの末、兄を道連れに自刃、没年25歳。
測ってガイガー(群馬県渋川市吹屋付近)
yo ku wa ka ri ma se nn