同じ人間で、こうも勇敢な生き方を選択し献身している人がいることに頭が下がります。
7歳の時にテレビのドキュメンタリー番組で「協力・国境なき医師団(MSF)」のクレジットを見たのが同医師団への志望のきっかけであったといいます。7歳といえば・・小学校一年生ですね。
商業高校から定時制の看護学校を卒業。語学力を養うために豪州の大学(看護学部)に進む。一時はメルボルンの大病院に勤めるも、初心にかえって国境なき医師団(MSF)へ参加をする。自身、恋の“犠牲”もあった・・。
七章で「世界一巨大な監獄で考えたこと」は特に印象的です。パレスチナ自治区のガザ地区に国境なき医師団(MSF)の看護師長として赴任する。そこでパレスチナとイスラエルの厳しい対立の現実を知る。ガザ地区は、「世界一巨大な監獄」のようだ。ホロコーストの悲劇を受け継ぐイスラエルの人びとがなぜ、現代社会に至っては弾圧の側に回ってしまうのか。全世界を敵に回しても戦ってでも生き残るイスラエルの異常な論理・・。
著者が任務を終え帰国する時はテルアビブ空港の取調室で真っ裸にされた。ガザで接触した人物の評価や連絡先。ポーチのレシート1枚まで取り出された。パソコンのデータも。
しかし多くを知った著者は、そのことを一方的に責める気にもなれない。湧き出た涙には、そこまで警戒してチェックするユダヤ人に対する同情の悲しい涙も混じっていた・・。
私の日常とはあまりに想像を絶する紛争地。そこで活躍する医療団。問題をたくさん突きつけられました。
【木工さんの写真】矢嶋秀一作 フォト 田口大輔
紛争地の看護師 | |
白川優子 著 | |
小学館 |
国境なき医師団・看護師 白川優子さんインタビュー(上)